歌うとおなか・わき腹が痛くなるとき。おなかに力を入れすぎない歌い方
「歌っていると、おなかが痛くなってくる」 「腹式呼吸を練習したら、わき腹が痛くなった」 「おなかから声を出そうとすると、つらくなる」
歌の練習では、「おなかを使って」「おなかで支えて」と言われることがあります。そのことばを大切にして、いっしょうけんめい練習するうちに、おなかやわき腹が痛くなってしまうこともあります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌うとおなかやわき腹が痛くなるときにしぼって、お話しします。痛くなる原因として考えられること、おなかに力を入れすぎない歌い方、痛くなったときの休み方、そして、お医者さんに相談したいときの目安をまとめました。
腹式呼吸のきほんのやり方については、歌の腹式呼吸のやり方。子どもにも大人にもわかる、やさしい練習にくわしく書いています。この記事では、「痛くなってしまうとき」の見直し方を中心にお伝えします。
まず、痛みがあるときは練習を休む
はじめにお伝えしたいのは、痛みがあるときは、むりに練習を続けないでほしい、ということです。
歌の練習で、おなかやわき腹が少しつかれた感じがすることはあります。でも、「痛い」と感じるのは、体からのサインかもしれません。がまんして練習を続けるより、いったん休んで、体を楽にしてあげてください。
痛みがひどいとき、なかなかおさまらないとき、歌っていないときも痛むときは、自分で判断せず、お医者さんに相談しましょう。くわしくは、この記事の後半にまとめています。
歌うとおなか・わき腹が痛くなる原因として考えられること
おなかに、ぎゅっと力を入れすぎている
「おなかで支える」ということばを聞いて、おなかを、かたくぎゅっとしめつけるように力を入れてしまうことがあります。おなかをずっとかためたまま歌い続けると、おなかやわき腹がつかれて、痛くなってしまうことがあります。
歌の「支え」は、おなかをかたくすることとは、少しちがいます。支えの考え方については、歌の「支え」とは?息と体で声を安定させる考え方にまとめています。
息をむりに長くのばそうとしている
ひと息で長く歌おうとして、息がなくなってもがまんして声を出し続けると、おなかやわき腹に、強い力が入ります。苦しいところまで息をしぼりだすくせがあると、痛みにつながることもあります。
おなかを、ふくらませすぎている
腹式呼吸の練習で、おなかを大きくふくらませようとがんばりすぎることもあります。むりにふくらませたり、急にへこませたりをくりかえすと、おなかやわき腹がつかれやすくなります。
準備運動をしないで、いきなり練習している
体がかたいまま、いきなり大きな声で歌ったり、腹式呼吸の練習を長く続けたりすると、おなかまわりに負担がかかりやすくなります。
食後すぐに歌っている
おなかがいっぱいのときに歌うと、おなかが苦しく感じたり、わき腹が痛くなったりすることがあります。食事のあとは、少し時間をあけてから歌うと、らくになることがあります。
姿勢がくずれている
背中がまるくなっていたり、こしをそりすぎていたりすると、おなかまわりがうまく動きにくくなります。そのぶん、どこかによけいな力が入ってしまうこともあります。
おなかに力を入れすぎない歌い方
「かためる」のではなく「ゆるやかに使う」
歌うときのおなかは、ぎゅっとかためて動かなくするのではなく、息の流れに合わせて、ゆるやかに動くのが目安です。
息を吸うと、おなかやわき腹、背中のあたりが、自然にふわっと広がります。息をはくと、それが少しずつ、ゆっくりもどっていきます。この自然な動きを、じゃましないことが大切です。
息を吸うときは、ふくらませようとしない
「おなかをふくらませて吸う」と考えると、力が入りやすくなります。それよりも、体の力を抜いて、息が自然に入ってくるのを待つようなイメージをもってみてください。
- 口から、ゆっくり息をはききる
- 体の力を、ふっと抜く
- 鼻や口から、息が自然に入ってくるのを感じる
こうすると、おなかはむりにふくらませなくても、自然に広がることがあります。
息は、苦しくなる前に吸う
歌うときは、息がなくなるまでがまんしないようにしましょう。苦しくなる前に、楽譜の息つぎの場所で、ゆとりをもって吸うことが大切です。
どうしても息が続かないところは、息つぎの場所をふやしてもよいか、先生に相談してみてください。むりに長くのばすより、らくに歌えるほうが、声も安定しやすくなります。
声を大きくしようと、おなかをしめつけない
大きな声を出そうとして、おなかをぎゅっとしめつけると、おなかにも、のどにも力が入りやすくなります。声の大きさは、おなかの力だけで決まるものではありません。口の中を広くして、声をひびかせることを意識すると、むりに力を入れなくても声がとどくことがあります。
おなかの力を抜く練習
ここでは、おなかに力が入りすぎるときにためしてみたい、やさしい練習を紹介します。痛みがあるときはおやすみして、痛みがないときに、短い時間でためしてみてください。
あおむけで、息の動きを感じる
あおむけにねて、ひざを軽く立てます。おなかの上に、そっと手をのせてみましょう。
- 体の力を抜いて、ふだんどおりに息をする
- 息を吸うと、おなかが自然にふわっと上がるのを感じる
- 息をはくと、ゆっくりもどるのを感じる
ねた姿勢だと、体の力が抜けやすく、自然なおなかの動きがわかりやすくなることがあります。
「すー」と、細く長く息をはく
口を少しだけあけて、「すー」と細く息をはいてみましょう。おなかをぎゅっとしめるのではなく、息がしずかに、なめらかに出ていくことを意識します。
苦しくなる前に、はくのをやめて、体の力を抜きます。すると、息が自然に入ってきます。これを何回か、ゆっくりくりかえします。
わき腹に手をあてて、やわらかさをたしかめる
両手をわき腹にあてて、声を出してみましょう。わき腹が、かちかちにかたくなっていないか、たしかめてみてください。歌っているあいだも、わき腹がやわらかく、少し動いているくらいが目安です。
かたくなっていると感じたら、いったん声を止めて、体の力を抜いてから、もう一度ためしてみましょう。
体をほぐしてから歌う
歌う前に、体をやさしくほぐしておくのもおすすめです。
- 両手を上にのばして、大きくのびをする
- 体を、左右にゆっくりたおす
- こしを、ゆっくり回す
どれも、痛みが出ない、らくなところまでで止めてください。
痛くなったときの休み方
歌っているとちゅうで、おなかやわき腹が痛くなったら、すぐに歌うのをやめましょう。
- いすにすわるか、楽な姿勢になる
- 体の力を抜いて、ゆっくり息をする
- 痛みが落ちつくまで、しばらく休む
痛みがおさまっても、その日は練習をひかえめにしておくと安心です。次の日も痛みが残るときは、練習をお休みしてください。
こんなときは、お医者さんに相談を
歌の練習で、おなかやわき腹がつかれたように感じることはあります。でも、次のようなときは、自分で判断せず、お医者さんに相談してください。声やのどのことも気になるときは、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
- 痛みが強い、またはなかなかおさまらない
- 歌っていないときも、おなかやわき腹が痛む
- 痛みをくりかえす
- 息苦しさや、胸の苦しさがある
- 吐き気や、気分の悪さがある
- 声のかすれや、のどの痛みが続いている
おなかの痛みには、いろいろな原因が考えられます。「歌の練習のせいだろう」と決めつけず、気になることがあるときは、早めに相談しておくと安心です。
まとめ
- おなかやわき腹が痛いときは、むりに練習を続けず休む
- おなかをかためすぎる、息をむりにのばす、ふくらませすぎるなどが、痛みにつながることがある
- 食後すぐや、準備運動なしの練習も見直してみる
- 歌うときのおなかは、かためるのではなく、息に合わせてゆるやかに使う
- 息は苦しくなる前に吸い、声を大きくしようとおなかをしめつけない
- あおむけでの練習や、細く長く息をはく練習で、力を抜く感覚をつかむ
- 痛みが強い、続く、くりかえすときは、お医者さんに相談する。声やのどのことは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
おなかの使い方は、ひとりでは気づきにくいくせが出やすいところです。先生に見てもらうと、自分に合った力の入れ方を教えてもらえることがあります。歌の教室は歌の教室さがしからさがせます。らくな歌い方が身についてきたら、目標をもって歌ってみるのもよいかもしれません。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。出た方には、講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ