半音の音程を正確に歌う練習。半音が取れない・ずれやすいときのコツ
「ほかのところは合っているのに、半音のところだけ、いつも音程がずれてしまう」 「先生に『そこ、半音だよ』と言われるけれど、どう歌えばいいのかわからない」
歌の練習をしていると、こんなふうに感じることがあると思います。半音は、音と音のあいだがとてもせまいので、少しのずれでも、聞いている人には「あれ?」と感じられやすいところです。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌の音程の中でも「半音」にしぼって、半音が取れない理由と、正確に歌うための練習をまとめました。歌っているうちに全体の音程が下がってしまうなやみとは、少しちがうお話です。そちらが気になる方は、こちらの記事も読んでみてください。歌っているうちに音程が下がる・上ずるとき。原因と直し方の練習
半音とは?まずはしくみを知ろう
ピアノのとなりどうしの音
半音は、ピアノでいうと、となりどうしにある鍵盤の音のあいだのことです。白い鍵盤と黒い鍵盤をまぜて、すぐとなりにある音へ動くと、半音になります。
- ドからド#(ドのシャープ)
- ミからファ
- シからド
ミとファ、シとドのあいだには黒い鍵盤がありません。なので、白い鍵盤どうしでも、ここは半音になります。ドレミの中に、もともと半音がかくれているのです。
全音とのちがい
ドからレのように、あいだに黒い鍵盤をひとつはさむ動きを「全音」といいます。全音は、半音ふたつぶんのはばです。
歌で音程がずれやすいのは、この全音と半音の区別があいまいになるときです。半音で歌うところを広く取りすぎたり、全音のところをせまく取りすぎたりすると、メロディの感じがかわってしまいます。
楽譜では「#」「♭」「ナチュラル」に注目
楽譜に#(シャープ)や♭(フラット)、ナチュラルの記号がついている音は、半音の動きになっていることが多いです。とくに、曲のとちゅうで急に出てくる記号は、半音でずれやすいところの目じるしになります。楽譜を読むのがにがてな方も、記号に色をつけておくだけで、気をつけるところがわかりやすくなります。
半音の音程が取れない・ずれる理由
耳がまだ半音のせまさになれていない
半音は、音と音のはばがとてもせまいので、耳がまだそのせまさになれていないことがあります。これは、練習で少しずつなれていけるものです。
上がる半音・下がる半音には、ずれ方のくせがある
半音には、人によってずれやすい「くせ」があります。
- 上がる半音は、上がりきれずに低めになりやすいと言われる
- 下がる半音は、下がりすぎて低くなる人もいれば、こわごわ歌って高めにのこる人もいる
どちらにずれやすいかは、人によってちがいます。とくに、ゆっくりした音で半音が続くところや、ことばが少なく、のばす音が多いところでは、このくせが出やすくなります。
前の音のイメージに引っぱられる
すぐ前に歌った音の感じが強くのこっていると、つぎの音もそれに引っぱられてしまいます。たとえば、明るい感じの音が続いたあとに、急に半音さがって少しさみしい感じになるところでは、さきほどまでの明るい音のまま歌ってしまうことがあります。
のどに力が入っている
半音を「正しく取らなきゃ」と思うほど、のどや肩に力が入りやすくなります。力が入ると、声が固くなって、細かい音の高さの調整がしにくくなります。
半音を正確に歌うためのコツ
上がる半音は「少し高め」を意識する
上がる半音は低めになりやすいので、自分の感覚より、ほんの少し高めをねらうくらいの気持ちで歌ってみましょう。ただし、声を押し上げるのではなく、目線や表情を少し明るくするようなイメージで十分です。
下がる半音は「一段だけ」下りる
下がる半音は、こわごわ歌うと高めにのこり、勢いよく下りると下がりすぎてしまうことがあります。階段を一段だけ、しっかり足をつけて下りるようなイメージで歌うと、音がはっきりしやすくなります。
半音の「色のちがい」を感じる
半音の動きは、音のはばがせまいかわりに、ふんいきがはっきりかわることがあります。明るい音から少しさみしい音へ、あるいは、ふしぎな感じの音から落ちついた音へ、などです。
音の高さだけを追いかけるより、「ここで色がかわる」と感じて歌うほうが、自然に音程が合うことがあります。お子様には「ここで少しくもり空になるね」「ここでお日さまが出るね」のように、たとえで伝えてみるのもよいと思います。
息を止めずに、なめらかにつなぐ
半音の前で息を止めてしまうと、つぎの音を新しく出しなおすことになり、ずれやすくなります。前の音から、細い線でつなぐような気持ちで、息を流したまま動いてみましょう。
家でできる半音の練習
ピアノやアプリで、となりの音を聞きくらべる
まずは、歌う前に「聞く」練習です。ピアノや鍵盤のアプリで、ドとド#、ミとファのように、となりどうしの音を何回か鳴らしてみましょう。
- ふたつの音を、ゆっくりかわりばんこに鳴らす
- どちらが高いか、目をとじて当ててみる
- 全音(ドとレ)とも聞きくらべてみる
「半音はこんなにせまいんだ」と、耳で知るだけでも、歌い方がかわってきます。
ハミングで、半音を行ったり来たり
口をとじて「んー」とハミングしながら、半音の上り下りをゆっくりくりかえします。ハミングは声がやさしく出るので、のどに力が入りにくく、音の細かい動きを感じやすい練習です。
半音ずつ上がる・下がる練習
ピアノに合わせて、ドから半音ずつ、ゆっくり上がってみましょう。ド、ド#、レ、レ#…と、となりの音へひとつずつ進みます。上まで行ったら、同じように半音ずつ下りてきます。
ことばは「ら」や「な」など、言いやすい音でかまいません。むずかしければ、ほんの少しのはんいだけでも十分です。音の名前で歌う練習については、こちらの記事もあわせて読んでみてください。ドレミで歌う練習。ソルフェージュとは?子どもにも大人にもやさしく
曲の中の半音だけを取り出して練習する
練習している曲の中で、半音が出てくるところに印をつけます。そして、その前後の音だけを取り出して、ゆっくり何回か歌ってみましょう。
- まずはピアノの音といっしょに歌う
- つぎに、さいしょの音だけ鳴らして、あとは自分で歌う
- さいごに、ピアノの音で合っているかたしかめる
うまくいったら、前後のフレーズにもどして、曲の流れの中で歌ってみます。
録音して、半音のところだけ聞く
スマホで自分の歌を録音して、半音のところだけを聞きなおしてみましょう。歌っているときは合っているつもりでも、あとで聞くと、低めや高めになっていることに気づけます。
お子様に半音を教えるときのポイント
「ちがう」より「おしい」で伝える
半音のずれは、とても細かいものです。お子様が歌っているときに「ちがう」とくりかえすと、歌うことそのものがいやになってしまうかもしれません。「おしい、もう少しだけ上だね」のように、やさしく伝えてあげてください。
あそびの中で耳をそだてる
お父様・お母様がピアノで、となりの音とはなれた音を鳴らして、「どっちが近いかな?」とクイズにするのもおすすめです。あそびの中で聞きくらべるうちに、半音のせまさが少しずつわかってきます。
練習は短く、楽しく
半音の練習は集中力がいるので、長く続けるとつかれてしまいます。短い時間で切り上げて、さいごは好きな歌を楽しく歌っておわると、つぎの練習にもつながりやすくなります。
のどをいたわりながら練習しよう
半音を合わせようとして、同じところを何回も強い声で歌うと、のどがつかれてしまいます。小さめの声やハミングをつかい、つかれたら休むようにしましょう。のどの痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
ひとりで練習していると、自分のずれに気づきにくいこともあります。先生に聞いてもらうと、どちらにずれやすいかを教えてもらえることが多いです。
まとめ
- 半音は、ピアノのとなりどうしの音のあいだ。ミとファ、シとドも半音
- 上がる半音は低めになりやすく、下がる半音のずれ方は人によってちがう
- 上がる半音は少し高めを、下がる半音は「一段だけ」下りることを意識する
- 音の高さだけでなく、半音で「色がかわる」感じをつかむ
- ピアノで聞きくらべる、ハミング、半音ずつの上り下り、録音を練習にとり入れる
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
半音がきれいに歌えるようになると、メロディの細かい表情がぐっと伝わりやすくなります。練習してきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリにもチャレンジしてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、気をつけてきた音程が伝わっているか、たしかめるきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ