がなり声・シャウトの出し方と、のどを守るための注意
「ロックの歌で聞くような、がなり声を出してみたい」 「シャウトの出し方がわからない。のどをいためそうでこわい」
カラオケやバンドで歌う方の中には、こんなふうに思っている方も多いと思います。がなり声やシャウトは、歌に強さや熱さをくわえてくれる、かっこいい表現ですよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌にはいろいろな表現がありますが、どんな声も、のどを大切にしてこそ長く楽しめるものだと感じています。
この記事では、がなり声とシャウトの出し方について、どんな声なのか、練習の前に身につけておきたいこと、少しずつためす方法をまとめます。そして、いちばん大切な「のどを守るための注意」も、たくさん書いています。
はじめにお伝えしておきたいのは、がなり声やシャウトは、のどに負担がかかりやすい声だということです。この記事は、むりにできるようになることをすすめるものではありません。自分の声と相談しながら、ゆっくり読んでみてください。
がなり声・シャウトってどんな声?
がなり声
がなり声は、声にざらざらした、にごった音をまぜた声です。「ガー」「ザー」というような、あらい感じの音が、ふつうの歌声にかさなって聞こえます。
歌の中では、ことばの頭や、気持ちが強くなるところで、ほんの少しだけつかわれることが多いです。1曲ずっとがなり声で歌うことは、あまりありません。
シャウト
シャウトは、もともと「さけぶ」という意味のことばです。歌では、さけぶような強い声で、気持ちを一気にぶつける表現をさします。がなりの音をまぜたシャウトもあれば、高い声をはりあげるようなシャウトもあります。
どちらも、ロックやポップス、ソウルなどの歌で聞くことが多い表現です。
「本当にさけんでいる」わけではない
がなり声やシャウトは、聞くと「のどを思いきりつかっている」ように感じます。でも、上手につかっている歌い手は、声帯(声を出すためのひだ)をむりにこすり合わせているわけではない、と言われています。
声帯のまわりにある部分を少しふるわせて、ざらざらした音をくわえたり、体全体の息のささえで強い声を出したりしています。のどだけでがんばってさけぶのとは、ちがうものだと考えてください。
なぜ、のどをいためやすいの?
がなり声やシャウトは、出し方をまちがえると、のどに強い負担がかかります。
- のどをしめつけて、むりに声をおし出してしまう
- 息のささえがないまま、のどだけで強い声を出してしまう
- 大きな声を、長い時間つづけてしまう
- 「いたい」「かすれた」というサインを無視して練習してしまう
こうしたことが続くと、声がかすれたり、出にくくなったりすることがあります。歌うとのどが痛いときのことは、こちらの記事でもまとめています。歌うとのどが痛いのはなぜ?大人の歌い方の見直しとケア
練習の前に身につけておきたいこと
がなり声やシャウトは、きほんの発声ができていてこそ、安全につかえる表現です。いきなりためす前に、次のことを見直してみましょう。
のどに力を入れずに歌える
ふつうに歌うときに、のどや首に力が入っていると、がなりやシャウトでは、さらに力みが強くなります。まずは、らくな声で1曲歌えるかをたしかめましょう。
のどに力が入る歌い方のなおし方は、こちらの記事にまとめています。喉声とは?治し方と、のどに力が入らない歌い方の練習
息のささえがある
強い声は、のどではなく、体と息でささえて出します。おなかのまわりがふくらむように息をすい、ゆっくり同じ強さではく練習をしておきましょう。
体の力をぬける
肩や首、あごがかたいと、強い声を出したときに、のどに負担が集まります。歌う前に、肩をまわしたり、首をゆっくりかたむけたりして、体をほぐしておきましょう。
がなり声のためし方(少しずつ)
ここからは、ためしてみる場合の、ごく軽い入り方をご紹介します。どれも、小さめの声で、短い時間でおこなってください。少しでも痛みやいわかんがあれば、すぐにやめましょう。
1 せきばらいの手前の感じを知る
軽く「ん、ん」とせきばらいをする手前の、のどのおくが少しだけふるえる感じを、そっと感じてみます。強くせきばらいをする必要はありません。のどのおくで、ざらっとした音が、かすかに鳴る感じをさがすくらいでじゅうぶんです。
2 話し声の大きさで「あー」にまぜる
ふだん話すくらいの声で「あー」と言いながら、さきほどのざらっとした感じを、ほんの少しだけまぜてみます。のどがしまる感じがしたら、すぐにふつうの声にもどしましょう。
3 ことばの頭だけにつかう
歌でつかうときは、ことばのはじめの一瞬だけ、ざらっとした音をくわえるところからはじめます。のばす音や、1フレーズ全部をがなり声にするのは、はじめのうちはさけましょう。
シャウトのためし方(少しずつ)
1 声を「ぶつける」のではなく「とばす」
シャウトは、のどで声をぶつけるのではなく、息といっしょに声を遠くへとばすイメージで出します。遠くにいる人に「おーい」とよびかけるような感じを、まずは小さめの声でためしてみましょう。
2 短く、一瞬だけ
はじめは、1秒にもならないくらいの短い声でじゅうぶんです。長くのばすシャウトは、のどへの負担が大きくなります。
3 体でささえる
声を出す瞬間に、おなかのまわりで息をささえる感じを意識してみてください。のどだけでがんばると、すぐにつかれてしまいます。
4 録音して、のどの音を聞く
ためした声をスマホで録音して聞いてみましょう。強く聞こえるのに、のどが楽だったときは、よい方向にすすんでいます。反対に、声が苦しそうに聞こえたり、歌ったあとにのどがつかれていたりするときは、力が入りすぎているサインです。
のどを守るための、大切な注意
がなり声やシャウトを練習するときは、次のことをかならず守ってください。
練習の時間を短くする
1回の練習は、数分くらいにとどめましょう。ほかの練習のあいだに、少しだけとり入れるくらいがおすすめです。
やめどきのサインを知る
- のどがひりひりする、痛い
- 声がかすれる、出にくくなる
- のどに何かがつまったような感じがする
- せきが出やすくなる
こうしたサインがあれば、その日は練習をやめて、声を休めましょう。
毎日つづけてやらない
がなり声やシャウトは、毎日たくさん練習するものではありません。のどを休める日をつくりましょう。
水分をとり、乾燥に気をつける
のどがかわいた状態で強い声を出すと、負担が大きくなります。練習の前やとちゅうに、水を少しずつのみましょう。
かぜのときや、のどが弱っているときはやらない
体調がよくないときは、ふつうの歌もひかえめにしましょう。がなりやシャウトの練習はお休みしてください。
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お子様や中学生・高校生が練習したいと言ったら
好きな歌をまねして、お子様ががなり声やシャウトをやってみたいと言うこともあると思います。お子様や、声がかわる時期の中学生・高校生の声は、まだ育っているとちゅうです。
- まねするときも、大きな声でつづけないように声をかける
- ふだんは、らくな声で歌うことを大切にする
- のどが痛いと言ったら、すぐに休ませる
お父様・お母様は、「かっこいいね」と気持ちを受けとめながら、のどを大切にする声かけをしてあげてください。
先生にみてもらうのも安心
がなり声やシャウトは、ひとりで練習すると、のどに負担がかかっていることに気づきにくい表現です。ロックやポップスにくわしいボイトレの先生にみてもらうと、自分の声に合った、むりのない出し方を教えてもらえることが多いです。
近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
まとめ
- がなり声は、ざらざらした音をまぜた声、シャウトはさけぶような強い声
- どちらも、のどに負担がかかりやすい表現
- 練習の前に、のどに力を入れない発声と、息のささえを身につける
- ためすときは、小さめの声で、短く、ことばの頭だけから
- 痛みやかすれは、やめどきのサイン。続くときはお医者さんに相談する
- ひとりで不安なときは、先生にみてもらうと安心
がなり声やシャウトは、つかいどころをえらぶと、歌にぐっと熱さがくわわります。のどを大切にしながら、自分らしい表現をさがしてみてください。練習してきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ