練習・発声のコツ

歌の楽譜によく出る記号の意味。強弱記号の一覧と、速さ・くりかえしの記号

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「楽譜に、pやfって書いてあるけれど、どういう意味?」 「くりかえしの記号があって、どこにもどればいいのか、わからなくなる」

歌の楽譜には、音符のほかにも、いろいろな記号が書かれています。お子様の楽譜を見て、「これは何だろう」と思ったことがあるお父様・お母様も多いと思います。大人になってから歌をはじめた方も、同じようにまよいやすいところです。

わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。楽譜の記号は、作曲した人が「こんなふうに歌ってほしい」とのこしてくれた、大切なメッセージです。意味がわかると、歌い方のヒントがぐっとふえます。

この記事では、歌の楽譜によく出る記号の意味を、強弱、速さ、くりかえし、音のつなぎ方に分けて、一覧にしてまとめます。音符や休符のよみ方からはじめたい方は、こちらの記事を先に読んでみてください。楽譜が読めなくても歌える?楽譜のよみ方のはじめの一歩

楽譜の記号は、作った人からの手紙

楽譜の記号の多くは、イタリア語がもとになっています。むずかしそうに見えますが、歌によく出てくる記号は、そんなに多くありません。

記号を見たときに考えたいのは、次の3つです。

  • どのくらいの強さで歌うのか
  • どのくらいの速さで歌うのか
  • どこをくりかえして、どこで終わるのか

この3つがわかるだけでも、楽譜を見ながら歌うのが、ずっとらくになります。

強弱記号の一覧

基本の強弱記号

強弱記号は、音の強さ、つまり声の大きさや勢いをあらわす記号です。よく出てくるものを、弱いものから順にならべました。

記号 読み方 意味
pp ピアニッシモ とても弱く
p ピアノ 弱く
mp メゾピアノ 少し弱く
mf メゾフォルテ 少し強く
f フォルテ 強く
ff フォルティッシモ とても強く

pは「ピアノ」と読みますが、楽器のピアノではなく「弱く」という意味です。fは「フォルテ」で「強く」です。「メゾ」は「少し」という意味なので、mpは少し弱く、mfは少し強く、となります。

歌うときのポイント

強弱記号は、声の大きさだけで考えないことが大切です。

  • p(弱く)でも、息を止めずに、声がとどくように歌う
  • f(強く)でも、どならずに、ひびきのある声で歌う
  • mpとmfのちがいは、少しでもいいので、意識してみる

とくにお子様は、fを見ると、つい大きな声でさけぶように歌ってしまうことがあります。のどに力が入ると、声がつかれやすくなります。「大きな声」より「ゆたかな声」をイメージするように伝えてあげてください。

だんだん強く・だんだん弱く

記号 読み方 意味
cresc. または < の形 クレッシェンド だんだん強く
decresc. または > の形 デクレッシェンド だんだん弱く
dim. ディミヌエンド だんだん弱く

横に長い「<」の形の記号は、口が開いていくように、だんだん強くします。「>」の形は、その反対で、だんだん弱くします。形が、ひらいた口やとじていく口のように見えるので、お子様にも伝えやすい記号です。

歌うときは、記号のはじめから急に強くするのではなく、少しずつかえていくのがコツです。

1つの音を強くする記号

  • アクセント(音符の上や下の「>」の形):その音を、とくに強く、はっきりと
  • sf、sfz(スフォルツァンド):その音だけを、急に強く
  • fp(フォルテピアノ):強く出して、すぐに弱く

アクセントは、だんだん強くの記号とにていますが、音符のすぐそばに小さく書かれます。歌では、ことばのはじめを少しはっきり言うようなイメージで歌うと、のどにやさしく表現できます。

速さの記号

速さをあらわすことば

曲のはじめに書かれていることが多いのが、速さの記号です。

記号 読み方 意味
Largo ラルゴ ゆるやかに、はばひろく
Adagio アダージョ ゆるやかに
Andante アンダンテ 歩くような速さで
Moderato モデラート 中くらいの速さで
Allegretto アレグレット やや速く
Allegro アレグロ 速く

Andanteの「歩くような速さ」は、走らず、のんびりしすぎない速さです。童謡や唱歌にも、よく出てきます。

数字で書かれた速さ

音符と「=」と数字がならんでいる記号もあります。たとえば「四分音符=96」なら、1分間に四分音符を96回打つ速さ、という意味です。メトロノームをつかうと、この速さをたしかめることができます。

速さをかえる記号

記号 読み方 意味
rit. リタルダンド だんだんおそく
rall. ラレンタンド だんだんおそく
accel. アッチェレランド だんだん速く
a tempo ア・テンポ もとの速さで

rit.は、曲の終わりの近くによく出てきます。急におそくするのではなく、ブレーキを少しずつかけるようにします。そのあとにa tempoがあれば、もとの速さにもどります。

のばす記号

  • フェルマータ(半円の中に点がある形):その音や休みを、ほどよく長くのばす

どのくらいのばすかは、決まっていません。曲のふんいきや、先生の指示によってかわります。伴奏の人と合わせるときは、息をそろえるところなので、練習のときに、のばす長さを話しておくと安心です。

くりかえしの記号

リピート記号

太い線と細い線に、点が2つついた記号です。「:」が右がわについている記号から、左がわについている記号までを、くりかえして歌います。はじめの記号がないときは、曲のはじめにもどります。

1かっこ・2かっこ

くりかえしのところに、「1.」「2.」と書かれたかっこがあることがあります。1回目は「1.」のところを歌い、くりかえした2回目は「1.」をとばして、「2.」のところを歌います。歌詞の1番と2番で、終わり方がちがうときによくつかわれます。

D.C.、D.S.、Fine、Coda

記号 読み方 意味
D.C. ダ・カーポ 曲のはじめにもどる
D.S. ダル・セーニョ セーニョ記号のところにもどる
Fine フィーネ ここで終わり
Coda コーダ 曲の終わりの部分

セーニョ記号は、Sの字にななめの線と点がついた形です。Codaへ進む場所には、まるに十字の形の記号が書かれることが多いです。

くりかえしの記号が多い曲は、はじめに楽譜をながめて、「どこからどこへ進むのか」を指でたどってみましょう。歌いながらだと、まよいやすいからです。

音のつなぎ方の記号

スラーとタイ

どちらも、音符と音符をむすぶ、弓のような線です。

  • スラー:ちがう高さの音を、なめらかにつなげて歌う
  • タイ:同じ高さの音をつないで、1つの長い音として歌う

歌では、1つのことばを、いくつかの音にのせて歌うところにスラーがつくことがよくあります。タイは、ことばを言いなおさずに、そのまま声をのばします。

スタッカートとテヌート

  • スタッカート(音符の上や下の小さな点):音を短く切って歌う
  • テヌート(音符の上や下の短い横線):その音の長さを、じゅうぶんにたもって歌う

スタッカートは、はずむような明るい曲によく出てきます。音を切るときも、のどをしめずに、おなかからはずむように息をつかうと歌いやすくなります。

息つぎの記号

楽譜によっては、小さな「V」の形や「,」のような記号で、息つぎの場所が書かれていることがあります。書かれていないときは、ことばの切れ目などで、自分で息つぎの場所を決めます。

歌の表情をあらわすことば

強弱や速さのほかに、歌い方の気持ちをあらわすことばが書かれていることもあります。

  • dolce(ドルチェ):やさしく、あまく
  • cantabile(カンタービレ):歌うように
  • espressivo(エスプレッシーヴォ):表情ゆたかに
  • legato(レガート):なめらかに
  • grazioso(グラツィオーソ):かわいらしく、優雅に

こうしたことばは、「どんな気持ちで歌うか」を考えるヒントになります。意味を知ったうえで、歌詞の内容とあわせて考えてみると、歌の表情がゆたかになります。

記号をおぼえるコツ

  • 一度に全部おぼえようとしない
  • いま練習している曲に出てくる記号から、意味をしらべる
  • 意味がわかったら、楽譜のそばに小さくメモしておく
  • 声に出して読み方を言ってみる

記号は、曲の中で出会うたびに、少しずつおぼえていけばだいじょうぶです。課題曲の練習のすすめ方は、こちらの記事でもまとめています。コンクールの課題曲の練習のすすめ方。楽譜をもらってから本番までの流れ

まとめ

  • 楽譜の記号は、作った人からの「こう歌ってほしい」というメッセージ
  • 強弱記号は、pp・p・mp・mf・f・ffの6つが基本
  • fでもどならず、pでも息を止めずに歌う
  • 速さの記号は、曲のはじめや、速さがかわるところに書かれる
  • くりかえしの記号は、歌う前に指でたどって進み方をたしかめる
  • スラー・タイ・スタッカートなど、音のつなぎ方の記号も歌い方のヒントになる

記号の意味がわかると、楽譜を見ながら歌うのが、ぐっと楽しくなります。練習してきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、強弱や表情をつけて歌えているか、ふりかえるきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ

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