フォークソングの歌い方。ことばを大切にする歌い方と、弾き語りの楽しみ方
「フォークソングを、ギターを弾きながら歌ってみたい」 「むかしよく聞いていた歌を、もう一度、自分の声で歌いたい」
そんなふうに思っている方は、きっと多いと思います。フォークソングは、むずかしいテクニックよりも、ことばや気持ちを大切にする歌です。だからこそ、大人になってからはじめる方にも、とても向いている歌だと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、フォークソングの歌い方にしぼってお話しします。ことばがまっすぐ届く歌い方、語るような声の出し方、ギターといっしょに歌うときに気をつけたいこと、そして、ひとりでも仲間とでも楽しめる歌い方のコツをまとめました。
フォークソングってどんな歌?
ことばが主役の歌
フォークソングは、もともと「人びとの歌」という意味をもつことばです。日本では、ギター1本で、自分の思いや、くらしの中のできごとを歌う歌として、多くの人に親しまれてきました。
フォークソングの大きな特ちょうは、ことばが主役であることです。
- 歌詞に、物語やメッセージがあることが多い
- メロディは、シンプルで口ずさみやすいことが多い
- 声をはり上げるより、語りかけるように歌うことが多い
- ギターやハーモニカなど、身近な楽器で歌いやすい
声がとても大きくなくても、高い声が出なくても、ことばを大切に歌えば、聞く人の心に届きやすい歌です。
「上手さ」よりも「伝わること」
フォークソングでは、きれいな声や、ひろい音域よりも、「何を歌っているのかが伝わること」が大切にされます。少しかすれた声や、ひくめの声が、かえって味になることもあります。
ですから、「声に自信がない」という方でも、楽しみやすいジャンルだと思います。
ことばを大切にする歌い方
まず、歌詞を声に出して読んでみる
フォークソングを歌うときに、いちばんおすすめしたいのが、メロディをつける前に、歌詞を声に出して読んでみることです。
- 詩を読むように、ゆっくり読む
- どこで息をつぐと、意味がわかりやすいかを考える
- 大切だと思うことばに、えんぴつで印をつける
- 「だれに向かって話している歌なのか」を考えてみる
話すように読めたら、そのリズムや気持ちを、そのままメロディにのせていきます。こうすると、ことばが自然に聞こえる歌い方に近づいていきます。
子音をていねいに、母音をのばしすぎない
ことばがはっきり聞こえるかどうかは、子音(ことばのはじめの音)が大きく関わっています。「か」「さ」「た」などのはじめの音を、少していねいに出すだけで、歌詞がぐっと聞きとりやすくなります。
いっぽうで、母音(あ・い・う・え・お)を長くのばしすぎると、ことばがぼやけて聞こえることがあります。フォークソングでは、話すときに近い長さを意識すると、すっきり聞こえやすくなります。
母音と子音の出し方は、こちらの記事でもくわしくまとめています。歌の母音と子音をきれいに。ことばがはっきり伝わる歌い方のコツ
語尾は、やさしく置くように
フレーズのおわりの音を、どう終わらせるかでも、歌の印象はかわります。
- 気持ちをこめたいところは、少しだけのばす
- さらっと語りたいところは、短めに切る
- 強く切らず、ことばを「置く」ようなイメージで終える
いつも同じ終わり方にせず、歌詞の意味に合わせてかえてみると、語りかけるような歌い方になっていきます。
語るような声の出し方
話し声に近い高さで歌う
フォークソングは、話し声に近い高さで歌える曲が多いです。むりに高い声を出そうとせず、自分が楽に話せる高さを中心に歌うと、ことばが自然に聞こえます。
原曲のキーが高すぎるときは、キーを下げてもまったく問題ありません。ギターのカポ(弦をおさえる道具)を使えば、同じ指の形のまま、キーをかえることもできます。
声を「はる」より「とどける」
大きな声を出そうとすると、のどに力が入りやすくなります。フォークソングでは、目の前の1人に話しかけるようなイメージで歌うと、ちょうどよい声の大きさになりやすいです。
- 肩の力をぬいて、まっすぐ立つ(すわる)
- 息を、ゆっくり長くはくように声を出す
- 部屋のむこうのかべに、ことばを届けるつもりで歌う
声を「はる」のではなく、ことばを「とどける」。この感覚をもつだけで、歌い方がずいぶんかわってきます。
声の強さに、少しだけ変化をつける
語るような歌い方でも、ずっと同じ強さだと、少し平らに聞こえることがあります。
- 歌い出しは、ささやくように静かに
- サビ(いちばん盛り上がるところ)で、少しだけ声を大きく
- 最後のフレーズは、また静かにもどる
ほんの少しの変化でも、物語の流れが聞く人に伝わりやすくなります。
ギターといっしょに歌うときのコツ
ギターの音より、声を少し前に
フォークソングをギターで弾き語りするときは、ギターの音が大きくなりすぎないように気をつけましょう。ことばが主役なので、声が少し前に聞こえるくらいがちょうどよいです。
- ストローク(かき鳴らす弾き方)は、強くしすぎない
- しずかな部分は、指で1本ずつ弾く弾き方もためしてみる
- 録音して、声とギターのバランスを聞いてみる
リズムは、体でゆったり感じる
フォークソングは、ゆったりしたリズムの曲が多いです。足で軽く拍をとったり、体を小さくゆらしたりしながら歌うと、歌とギターがそろいやすくなります。
歌詞のことばが、きっちり拍の上にのらないこともあります。そんなときは、話すときのリズムを大切にして、少し前や後ろにずらしてもかまいません。
はじめは、歌とギターを別々に
いきなり両方をいっしょにやろうとすると、どちらもむずかしく感じることがあります。
- まずは、ギターだけで曲を通して弾けるようにする
- 次に、歌だけで、ことばとメロディをおぼえる
- 最後に、ゆっくりのテンポで合わせてみる
弾き語りの練習のすすめ方は、こちらの記事でくわしくまとめています。弾き語りの練習のしかた。歌とピアノ・ギターを両立して上手くなるコツ
フォークソングの楽しみ方
ひとりで、気持ちのままに歌う
フォークソングは、ひとりで歌うのにもぴったりです。夜にしずかに歌ったり、休みの日にのんびり歌ったり。その日の気分で歌い方をかえてみるのも、楽しみの1つです。
仲間と、声を合わせて歌う
フォークソングは、みんなで声を合わせて歌うのにも向いています。シンプルなメロディが多いので、はじめての方でも参加しやすいです。
- 1人がギターを弾き、みんなで歌う
- かけあいのように、交代で歌う
- なれてきたら、かんたんなハモリ(ちがう高さの音を重ねること)をつけてみる
声を合わせると、ひとりで歌うときとはちがう、あたたかさを感じられると思います。
自分のことばで歌ってみる
フォークソングに親しんでくると、「自分の思いを歌にしてみたい」と思う方もいます。むずかしく考えず、日記のように短いことばを書いてみて、知っているコードにのせて口ずさんでみるところから、はじめてもよいと思います。
1曲をしあげるまでの練習の流れ
1週目は「聞く」と「読む」
はじめの1週目は、歌う前に、曲をよく聞くことと、歌詞を読むことに時間を使います。どんな物語なのか、どこがいちばん伝えたいところなのかを、自分のことばでメモしておきましょう。
2週目は「小さな声で歌う」
2週目は、小さめの声で、メロディとことばを合わせていきます。この時期は、大きな声で歌うより、ことばがはっきり聞こえるかを大切にします。
3週目は「録音して聞く」
3週目は、スマホで録音して聞いてみましょう。「ことばが聞きとりにくいところ」「急いで歌ってしまうところ」が見つかったら、そこだけを、ゆっくりくり返し練習します。
4週目は「だれかに聞いてもらう」
さいごに、家族や友だちに聞いてもらいましょう。「どんな気持ちが伝わったか」を聞いてみると、次の練習のヒントになります。
歌うときに気をつけたいこと
のどに無理をさせない
語るような歌い方でも、長い時間歌いつづけると、のどがつかれることがあります。
- こまめに水をのむ
- 30分くらい歌ったら、少し休む
- 声がかすれてきたら、その日はおしまいにする
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
姿勢がくずれないように
ギターをかかえて歌うと、背中がまるくなりやすいです。いすに深くすわりすぎず、背すじを軽くのばすと、息が楽にすえて、声も出しやすくなります。
まとめ
- フォークソングは、ことばが主役の歌。上手さより「伝わること」が大切
- 歌う前に、歌詞を声に出して読んでみる
- 子音をていねいに、母音はのばしすぎず、語尾はやさしく置く
- 話し声に近い高さで、声を「はる」より「とどける」気持ちで歌う
- 弾き語りでは、声が少し前に聞こえるバランスに
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
フォークソングは、自分のペースで、長く楽しめる歌です。ことばの伝え方や声の出し方を、先生にみてもらいたくなったら、歌の教室をさがしてみるのもおすすめです。歌の教室さがしそして、練習した歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ