弾き語りの練習のしかた。歌とピアノ・ギターを両立して上手くなるコツ
「ギターは弾ける、歌も歌える。でも、いっしょにやるとどちらかが止まってしまう」 「ピアノを弾きながら歌うと、声が小さくなってしまう」
弾き語りは、ひとりで歌と伴奏をこなす、とても楽しい音楽のかたちです。ただ、はじめのうちは、手と口が思うように動かず、むずかしく感じる方が多いと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌と楽器を合わせるむずかしさや楽しさは、多くの方が感じていることだと思います。
この記事では、弾き語りの練習のしかたを、順番にそってお話しします。歌とピアノ・ギターを両立するためのコツや、弾き語りで歌が上手くなるための工夫もまとめました。大人の方だけでなく、楽器を習っている中学生・高校生の方や、そのお父様・お母様にも読んでいただけたらうれしいです。
弾き語りがむずかしく感じるのはなぜ?
頭が「2つのこと」を同時にしている
弾き語りでは、歌うことと弾くことを、同時に行います。歌詞、メロディー、息つぎ、コード、指のうごき、リズム。考えることがたくさんあるので、どちらかに気をとられると、もう一方がおろそかになりがちです。
リズムのずれが起きやすい
歌のリズムと、伴奏のリズムは、同じではないことが多いです。たとえば、歌は少しおくれて入るのに、伴奏は拍の頭で鳴る、ということがあります。この「ずれ」に体がなれていないと、つられて止まってしまいます。
歌に意識がまわらない
楽器に集中すると、姿勢が前かがみになったり、息が浅くなったりして、歌の声が出にくくなることもあります。弾き語りで声が小さくなりやすいのは、このためです。
練習をはじめる前に
曲は「かんたんなもの」からえらぶ
はじめての弾き語りは、次のような曲がおすすめです。
- テンポがゆっくりめ
- 使うコードの数が少ない
- 歌の音の高さが、むりなく出せる
- 自分がよく知っていて、好きな曲
むずかしい曲にいきなりとり組むと、どちらも中とはんぱになりやすいです。まずは「弾き語りができた」という体験をつくることを大切にしましょう。
キーを自分の声に合わせる
歌が苦しいと、楽器にも力が入ります。ギターならカポをつかう、ピアノなら弾く高さをかえるなどして、自分の声で楽に歌えるキーにしましょう。楽譜によっては、ちがうキーのものが出ていることもあります。
伴奏をかんたんにする
はじめから、原曲どおりの伴奏をめざさなくてだいじょうぶです。
- ギター:1小節に1回、ジャーンと鳴らすだけにする
- ピアノ:右手はコードの音をおさえるだけ、左手は1つの音だけにする
- むずかしいコードは、にた音のかんたんなコードにおきかえる
なれてきたら、少しずつ伴奏をにぎやかにしていきましょう。
弾き語りの練習の順番
1 歌だけを、しっかり歌えるようにする
まずは、楽器をはなれて、歌だけを練習します。歌詞を見なくても歌えるくらいまでおぼえておくと、弾き語りのときに楽器へ気をくばる余ゆうが生まれます。
2 伴奏だけを、見ないで弾けるようにする
次に、伴奏だけを練習します。目標は、手もとをあまり見なくても、止まらずに最後まで弾けることです。コードがかわるところで止まりやすいので、そこだけをくり返し練習するのも効果的です。
3 弾きながら、歌を口ずさむ
伴奏を弾きながら、歌を小さな声で口ずさみます。はじめはハミングでもかまいません。手が止まらないことを、いちばん大切にします。
4 弾きながら、リズムだけ言ってみる
歌詞を、メロディーをつけずに、リズムだけで言いながら弾いてみます。ことばが入るタイミングと、伴奏のタイミングの関係が、体でわかってきます。
5 ひとフレーズずつ合わせる
いよいよ、歌と伴奏を合わせます。いきなり1曲通すのではなく、ひとフレーズずつ区切って練習しましょう。うまくいかないところは、テンポを落としてくり返します。
6 つなげて、1曲を通す
フレーズごとにできるようになったら、少しずつつなげて、1曲を通します。とちゅうでまちがえても、止まらずに続けることを意識すると、本番に強くなります。
弾き語りで歌が上手くなるコツ
伴奏は「歌をささえるもの」と考える
弾き語りで歌が上手く聞こえるためには、伴奏を歌よりひかえめにすることが大切です。伴奏の音が大きすぎると、歌が聞こえにくくなります。サビでは少し強く、静かなところでは弱く、と歌に合わせて音量をかえてみましょう。
姿勢と息を大切にする
楽器を弾くと、どうしても手もとを見て、前かがみになりがちです。
- ギターは、体に引きよせすぎず、背すじをのばせる位置でかまえる
- ピアノは、いすの高さと、けんばんとのきょりを調整する
- ときどき顔を上げて、前を見て歌う
胸がちぢこまらないようにすると、息がすいやすくなり、声も前に出やすくなります。
息つぎの場所を決めておく
弾き語りでは、楽器に気をとられて、息つぎをわすれてしまうことがあります。歌詞カードや楽譜に、息つぎの場所をしるしておくと安心です。
メトロノームをつかう
歌と伴奏がずれやすい方は、メトロノームやリズムのアプリをつかって練習してみましょう。ゆっくりのテンポから始めて、少しずつ速くしていきます。一定のリズムで弾けるようになると、歌も安定しやすくなります。
録音でふりかえる
自分の弾き語りを聞いてみる
ある程度できるようになったら、スマホで録音や録画をしてみましょう。弾いているときには気づかなかったことが、あとから聞くとよくわかります。
- 歌と伴奏の音量のバランスはどうか
- リズムが走ったり、おくれたりしていないか
- 歌詞がはっきり聞こえるか
- 息つぎで、伴奏が止まっていないか
記録をのこして、変化を楽しむ
日づけを入れて録音をのこしておくと、数週間後、数か月後に聞きくらべることができます。上達の記録のつけ方は、こちらの記事でも紹介しています。歌の上達を記録しよう|録音・録画・練習ノートのつけ方と、成長の見つけ方
弾き語りの練習でよくあるなやみ
どうしても手が止まってしまう
手が止まるのは、伴奏がまだ体になじんでいないことが多いです。そんなときは、もう一度「伴奏だけ」の練習にもどってみましょう。テレビを見ながらでも弾けるくらいまでなれると、歌といっしょにしても止まりにくくなります。
歌が伴奏につられてしまう
歌のリズムが伴奏につられるときは、歌だけを手びょうしで練習してみてください。ことばが入るところで手をたたくと、歌のリズムが体に入りやすくなります。そのあとで、伴奏とゆっくり合わせてみましょう。
人前だと、うまくできない
ひとりではできるのに、人前だと手がふるえる、という方もいます。まずは家族の前で1曲弾いてみるなど、小さな「本番」を何度かくり返すと、少しずつなれていきます。録画をしながら弾くのも、本番に近い気持ちで練習する方法のひとつです。
練習で気をつけたいこと
長い時間の練習は休けいをはさむ
ギターの弦をおさえる指が痛くなったり、ピアノで肩や手首がつかれたりすることがあります。30分ほど練習したら、手をぶらぶらさせたり、肩を回したりして、休けいをとりましょう。
のどもいたわる
弾き語りでは、くり返し歌うことになるので、のどもつかれやすくなります。こまめに水分をとり、声がかすれてきたら、伴奏だけの練習にきりかえるのもよい方法です。痛みやかすれが何日も続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
先生にみてもらうのもひとつの方法
歌と楽器、どちらかでつまずいているときは、それぞれの先生にみてもらうと、原因が見つかりやすくなります。教室によっては、弾き語りのレッスンをしているところもあります。近くの歌の教室は、こちらのページからさがせます。歌の教室さがし
まとめ
- 弾き語りがむずかしいのは、2つのことを同時にしているから
- 曲はゆっくり・コードが少ないものから。キーは自分の声に合わせる
- 伴奏は、はじめはかんたんにしてよい
- 歌だけ、伴奏だけを先に練習し、ひとフレーズずつ合わせていく
- 伴奏はひかえめに、姿勢と息つぎを大切にする
- 録音でバランスやリズムをたしかめ、記録をのこす
- 指や肩、のどがつかれたら休み、かすれや痛みが続くときはお医者さんに相談する
弾き語りは、少しずつ練習をかさねるほど、歌と楽器が1つになっていく楽しさを感じられます。練習してきた弾き語りをだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、次の練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ