演歌・歌謡曲の歌い方のコツ。こぶし・ビブラート・ことばの伝え方
「演歌を歌うと、なんだかのっぺりしてしまう」 「こぶしって、どうやって回すんだろう」
カラオケや歌の教室で、演歌や歌謡曲を歌っている方は多いと思います。若いころからなじんできた曲を、心をこめて歌えると、とても気持ちがいいものですよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。ジャンルはちがっても、歌の聞かせどころには、共通するところがたくさんあると感じています。
この記事では、演歌・歌謡曲をもっと味わいぶかく歌うためのコツを、こぶし、ビブラート、ことばの伝え方を中心にまとめました。むずかしい言葉はできるだけ使わずにお話しするので、はじめての方も、ぜひ気楽に読んでみてください。
演歌・歌謡曲は「ことばの歌」
物語を語るように歌う
演歌や歌謡曲の多くは、歌詞にひとつの物語があります。ふるさとを思う気持ち、人を思う気持ち、旅の景色。そうした場面が、ことばの中にえがかれています。
そのため、演歌・歌謡曲では、声の美しさと同じくらい「ことばが聞き手にとどくか」が大切にされます。メロディーを追いかけるだけでなく、「だれに、何を語っているのか」を思いうかべながら歌うと、歌の表情が大きく変わります。
まずは歌詞を読んでみる
新しい曲を練習するときは、いきなり歌わずに、歌詞を声に出して読んでみましょう。
- どんな場面の歌か
- 主人公は、どんな気持ちか
- いちばん伝えたいことばは、どこか
これを考えてから歌うと、どこをやさしく、どこを強く歌えばいいのかが見えてきます。
こぶしの入れ方
こぶしとは
こぶしは、ひとつの音の中で、声を小さく上下にゆらしたり、まわしたりする歌い方です。演歌らしさを感じさせる、大切な味つけのひとつです。
たとえば、「あー」とのばす音の中で、少し上の音にふれて、すっともどる。この小さな動きが、こぶしの基本になります。
はじめは、ゆっくり大きく
いきなり速く回そうとすると、のどに力が入ってしまいます。はじめは、ゆっくり大きく練習しましょう。
- 「あー」と、らくな高さで声をのばす
- のばしたまま、少しだけ上の音にふれて、もとの音にもどる
- 「あ・あ・あー」と、階段をのぼりおりするように、ゆっくり動かす
- なれてきたら、少しずつ動きを小さく、なめらかにしていく
のどをしめつけず、息の流れにのせて声を動かすイメージが大切です。
入れすぎないことも大切
こぶしは、すべての音に入れればいいわけではありません。入れすぎると、ことばが聞きとりにくくなったり、くどく聞こえたりします。
- 歌のお手本をよく聞いて、どこに入っているかを知る
- 気持ちが高まるところ、ことばを強調したいところに入れる
- まずは1曲の中で、2〜3か所からためしてみる
「ここぞ」というところに入れると、こぶしがよりひきたちます。
ビブラートのかけ方
ビブラートとこぶしのちがい
ビブラートは、のばした音を、一定のはやさで、なみのようにゆらす歌い方です。こぶしが「音を動かす味つけ」だとすると、ビブラートは「のばした音にひびきを足す味つけ」といえます。
演歌・歌謡曲では、フレーズの終わりの長くのばす音に、ビブラートをかけることが多いです。
のばした音の「後半」にかける
はじめからゆらすより、まっすぐのばしてから、後半にふわっとビブラートをかけると、自然に聞こえやすくなります。
- まず、まっすぐ声をのばす練習をする
- 声が安定してから、少しずつゆらしてみる
- のどでゆらすのではなく、息の流れでゆれるイメージをもつ
ビブラートの練習のしかたは、こちらの記事にくわしくまとめています。ビブラートのかけ方。むりにゆらさない、自然なビブラートの練習
年をとってからのビブラート
年齢とともに、声がゆれやすくなったと感じる方もいるかもしれません。思いどおりにならないゆれが気になるときは、まずは「まっすぐのばす」練習をていねいにしてみましょう。まっすぐのばせるようになると、ゆらすところと、ゆらさないところを、自分でえらびやすくなります。
ことばを伝える歌い方
母音をていねいに
日本語の歌は、母音(あ・い・う・え・お)が声のひびきをつくります。ことばを大切にしたい演歌・歌謡曲では、母音をはっきりさせることがとくに大切です。
練習のときに、歌詞を母音だけで歌ってみる方法があります。たとえば「ゆうやけ」なら「ううあえ」と歌います。母音がそろうと、声のひびきがなめらかになります。
子音で、ことばの表情をつける
一方で、子音(か行、さ行、た行など)は、ことばの表情をつくります。
- 強く伝えたいことばは、子音を少しはっきりめに
- やさしく語りたいところは、子音をやわらかく
- 語尾は、ぞんざいにならないよう、最後まで気をくばる
口の動きがかたいと、ことばがこもって聞こえることがあります。滑舌の練習は、こちらの記事もさんこうにしてみてください。歌の滑舌をよくする練習。ことばがはっきり伝わる歌い方
「ため」と「間」を生かす
演歌・歌謡曲では、ことばの入り方を少しおくらせる「ため」や、フレーズのあいだの「間」が、歌の味わいを深くします。
ただし、ためすぎると伴奏とずれてしまいます。まずは、伴奏どおりにきちんと歌えるようにしてから、少しずつ自分らしい間をつけていくのがおすすめです。
声の出し方の基本
息をしっかり使う
こぶしもビブラートも、息の支えがあってこそ、らくにできます。肩を上げずに、おなかのまわりがふくらむように息をすい、ゆっくりはいていく練習をしてみましょう。
低い声をむりにおしつけない
演歌には、低い声で深く歌う部分も多くあります。でも、低い声を出そうと、のどをおしつけるように歌うと、のどがつかれやすくなります。低い音は、口の中を少し広げて、ひびかせるように出してみてください。
自分に合うキーをえらぶ
お手本の歌手と同じ高さで歌わなくても、だいじょうぶです。カラオケでも教室でも、キーを上げたり下げたりして、むりなく出せる高さで歌いましょう。らくに出せる高さのほうが、こぶしやビブラートも入れやすくなります。
練習のすすめ方
1曲を、少しずつ仕上げる
1回の練習で、1曲を通して何度も歌うより、短いフレーズに分けて練習すると、こまかいところまで気をくばれます。
- 1日目:歌詞を読み、物語を考える
- 2日目:メロディーをまっすぐな声で歌う
- 3日目:こぶしやビブラートを入れたいところを決める
- 4日目以降:通して歌い、録音して聞いてみる
録音して聞いてみる
自分の歌を録音して聞くと、こぶしが入りすぎていないか、ことばが聞きとれるか、などがよくわかります。はじめは照れくさく感じるかもしれませんが、上達への近道になります。
のどをいたわる
演歌はひとつの音を長くのばすことが多く、のどをつかう歌でもあります。
- 練習の前に、首や肩をかるくほぐす
- 1回の練習は、30分くらいまでを目安に、こまめに休む
- 水をこまめに飲む
- のどがつかれたら、その日は早めに切りあげる
のどの痛みやかすれが何日も続くときは、無理をせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
人前で歌うときの心がまえ
歌う前に、物語を思い出す
カラオケの集まりや発表会など、人前で歌うときは、緊張して早口になったり、こぶしを入れすぎたりしがちです。歌いはじめる前に、ひと呼吸おいて、歌の場面を思いうかべてみましょう。
聞いている人に語りかける
客席の一人ひとりに、そっと語りかけるような気持ちで歌うと、ことばが自然にとどきやすくなります。うまく歌うことより、伝えることを大切にしてみてください。
先生に習うと、わかること
こぶしやビブラートは、ひとりで練習していると、くせがついてしまうこともあります。演歌・歌謡曲を教えている教室や、カラオケ教室では、お手本を見せてもらいながら、自分の声に合った歌い方を教えてもらえることが多いです。
体験レッスンで、「演歌を中心に習いたい」と伝えてみると、合う先生をさがしやすくなります。
まとめ
- 演歌・歌謡曲は「ことばの歌」。物語を語るように歌う
- こぶしは、ゆっくり大きく練習し、入れすぎないことも大切
- ビブラートは、まっすぐのばしたあと、後半にかけると自然に聞こえやすい
- 母音をていねいに、子音で表情をつけると、ことばが伝わる
- 「ため」や「間」は、伴奏どおりに歌えるようになってから
- 自分に合うキーをえらび、のどをいたわりながら練習する
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
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