エッジボイスとは?やり方と、歌でのつかい方・注意
「ボイトレで、エッジボイスという練習があると聞いた」 「歌い出しにエッジをきかせた声を出してみたい。でも、やり方がわからない」
ボイトレの本や動画を見ていると、「エッジボイス」ということばを目にすることがあると思います。なんだかむずかしそうに聞こえますが、じつは、だれでも一度は出したことのある、身近な声です。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌の練習には、いろいろな方法がありますが、どれも「むりなく、少しずつ」が大切だと感じています。
この記事では、エッジボイスとはどんな声なのか、やり方、ボイトレとしての練習のしかた、歌の中でのつかい方、そして気をつけたいことをまとめます。
エッジボイスは、うまくつかうと、声を出す感覚をつかみやすくなる練習です。ただ、やりすぎると、のどがつかれることもあります。自分の声のようすを見ながら、ためしてみてください。
エッジボイスとは?
「ア゛ア゛ア゛」というような、つぶつぶした声
エッジボイスは、低くて小さな声で、「ア゛ア゛ア゛」「エ゛エ゛エ゛」と、つぶつぶ、ぷちぷちと音がとぎれて聞こえる声のことです。
たとえば、こんなときに出ている声に近いです。
- 朝おきたばかりで、声がまだ出にくいときの「あー」
- 重いものを持ち上げるときの「うー」という小さな声
- ドアがゆっくり開くときの「ギィー」という音をまねした声
英語では「ボーカルフライ」とよばれることもあります。
どうしてこんな音になるの?
のどの奥には、声帯(声を出すための、ひだのような部分)があります。ふつうに声を出すときは、声帯が細かくふるえて、なめらかな音になります。
エッジボイスでは、声帯がゆるく合わさった状態で、ゆっくり、とぎれとぎれにふるえます。そのため、音がつぶつぶに聞こえます。息の量はとても少なく、大きな声ではありません。
エッジボイスのやり方
1 体とのどの力をぬく
まずは、肩をまわしたり、首をゆっくりかたむけたりして、体をほぐします。あごの力もぬいておきましょう。エッジボイスは、力が入っていると、うまく出ません。
2 ため息のように、低く小さく「あー」
口を少しだけ開けて、ため息をつくような感じで、低く小さな声で「あー」と言ってみます。声はできるだけ小さく、話し声よりも低めにしましょう。
3 息をへらしていく
「あー」と言いながら、息の量を少しずつへらしていきます。息がへってくると、声がとぎれとぎれになり、「ア゛ア゛ア゛」というつぶつぶした音にかわるところがあります。そこが、エッジボイスです。
4 らくに、数秒だけつづける
つぶつぶの音が出たら、そのまま数秒つづけてみます。のどに力を入れず、らくに鳴っている感じがあれば、うまくできています。
うまく出ないときは
- 声が大きすぎないか、もう少し小さくしてみる
- 声が高すぎないか、もう少し低くしてみる
- のどをしめつけていないか、あくびのあとのような、らくな感じにもどす
- 口を開けすぎていないか、少しだけ開けた形にする
はじめは、出たり出なかったりしても、だいじょうぶです。何度かためしているうちに、感じがつかめてくることが多いです。
ボイトレとしてのエッジボイスの練習
声帯が合わさる感じをつかむ
エッジボイスは、息がもれにくく、声帯がやさしく合わさった状態で出る声です。そのため、息もれの多い声になやんでいる方が、「声帯が合わさる感じ」をつかむための練習としてつかわれることがあります。
エッジボイスから、ふつうの声へ
練習のしかたとして、よくおこなわれるのが、エッジボイスから、ふつうの声へうつる方法です。
- 低く小さく「ア゛ア゛ア゛」とエッジボイスを出す
- そのまま、少しずつ息をふやして「あー」とふつうの声にする
- ふつうの声になったら、そこで止める
エッジボイスの、息がもれにくい感じを、ふつうの声にもちこむイメージです。
高さをかえてためす
なれてきたら、エッジボイスから声にうつるときの高さを、少しずつかえてみましょう。低い音、まん中の音、少し高い音と、むりのないはんいでためしてみてください。
高い音をむりに出そうとすると、のどに力が入ります。らくに出せる高さまでにしておきましょう。
地声と裏声のつながりについては、こちらの記事でもくわしくまとめています。地声と裏声の違いとは?切り替えのコツと、境目をなめらかにする練習
歌でのエッジボイスのつかい方
歌い出しに、エッジをきかせる
歌の中では、ことばのはじめに、ほんの一瞬だけエッジボイスを入れることがあります。たとえば「あいしてる」の「あ」の頭に、ごく短くつぶつぶした音をそえると、せつなさや、ささやくような感じが出ます。
ポップスやバラードなどで、よくつかわれる表現です。
フレーズのおわりに、そっとそえる
フレーズのさいごの音を、ふっと力をぬいて、エッジボイスにかえて終わる表現もあります。声がとけるように消えていく感じになり、やさしい印象がのこります。
つかいすぎないことが大切
エッジボイスは、ほんの少しつかうから、すてきに聞こえる表現です。あちこちに入れると、くせのある歌い方に聞こえたり、ことばが聞きとりにくくなったりします。
- 1曲の中で、ここぞというところだけにつかう
- 曲のふんいきに合っているか、録音して聞いてみる
- 童謡や声楽の曲では、つかわないほうが合うことも多い
曲のジャンルによって、合う・合わないがあるので、まずは録音して、自分の耳でたしかめてみましょう。
エッジボイスの練習の組み立て方
歌う前の、短いウォーミングアップに
エッジボイスは、歌う前の準備として、ほんの少しとり入れることもできます。たとえば、次のような流れです。
- 体と首をほぐす(1分ほど)
- エッジボイスを数秒、2〜3回(30秒ほど)
- エッジボイスからふつうの声にうつる練習(1分ほど)
- ハミングや、好きな曲を小さめの声で
全部で数分ほどの、短い流れでじゅうぶんです。長くやるより、毎回ていねいにおこなうことを大切にしてください。
録音して、声のかわり方を聞く
エッジボイスからふつうの声にうつる練習を録音して、聞いてみましょう。ふつうの声になったときに、息の音がまざりすぎていないか、すっと声が出ているかを聞くと、練習のよい手がかりになります。
エッジボイスの注意
長い時間やらない
エッジボイスは、のどにやさしい練習と言われることもありますが、長い時間つづけると、のどがつかれることがあります。1回の練習は、数分くらいにしておきましょう。
のどをおしつぶさない
つぶつぶの音を出そうとして、のどをぎゅっとしめつけるのはやめましょう。エッジボイスは、力をぬいたときに自然に出る声です。力を入れないと出ない場合は、やり方を見直すか、その日はお休みしてください。
話し声がエッジボイスばかりにならないように
ふだんの話し声で、ことばのおわりがいつもエッジボイスになっている方もいます。くせになると、声がかすれて聞こえることがあります。練習ではつかっても、ふだんの話し声では、なるべくふつうの声で話すことを意識してみてください。
痛みやかすれがあればやめる
- のどがひりひりする、痛い
- 練習のあと、声がかすれる
- のどに、いわかんがある
こうしたときは、すぐに練習をやめて、声を休めましょう。歌うとのどが痛いときのことは、こちらの記事にもまとめています。歌うとのどが痛いのはなぜ?大人の歌い方の見直しとケア
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
お子様が練習するときは
お子様の声は、まだ育っているとちゅうです。エッジボイスは、大人のボイトレでつかわれることが多い練習なので、お子様がためすときは、あそびの中で「ドアの音のまね」をするくらいの、軽い気持ちにとどめておくと安心です。
- 長くつづけさせない
- のどに力を入れていないか見てあげる
- 痛いと言ったら、すぐにやめる
お子様の歌の練習は、楽しく、短く、を大切にしてください。
まとめ
- エッジボイスは、低く小さな声で出る、つぶつぶした声
- ため息のような「あー」から、息をへらしていくと出しやすい
- ボイトレでは、声帯が合わさる感じをつかむ練習としてつかわれることがある
- 歌では、歌い出しやフレーズのおわりに、ほんの少しそえる
- つかいすぎず、長い時間練習しない
- 痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
エッジボイスは、知っておくと、声の出し方や歌の表現のはばを広げてくれる練習です。むりなく、少しずつためしてみてください。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ