コールユーブンゲンとは?合唱や声楽で使われる練習本の使い方と、すすめ方
「合唱団で、コールユーブンゲンを使うと言われた」 「声楽の先生から名前を聞いたけれど、どんな本なのかな」
合唱や声楽、ソルフェージュを習っていると、「コールユーブンゲン」という名前を耳にすることがあると思います。少しかわった名前なので、はじめて聞くと、どんな本なのか想像しにくいですよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、コールユーブンゲンとはどんな練習本なのか、そしてどんなふうに使えばいいのかを、はじめての方にもわかるようにお話しします。むずかしく考えすぎず、毎日少しずつ進めるための使い方をまとめました。
コールユーブンゲンとは
「合唱の練習」という意味の名前
コールユーブンゲンは、ドイツ語の名前です。「コール」は合唱、「ユーブンゲン」は練習という意味で、名前のとおり、合唱のための練習本です。
フランツ・ヴュルナーがまとめた練習本
コールユーブンゲンは、19世紀のドイツの音楽家、フランツ・ヴュルナーがまとめた練習本として知られています。もともとは、合唱を学ぶ人が、楽譜を読んで正しく歌う力を身につけるためのものでした。
日本でも長く使われてきた
日本でも、コールユーブンゲンは長く使われてきました。音楽大学の受験のための練習や、合唱団の練習、声楽やソルフェージュのレッスンなどで、教材として使われることがあります。
コールユーブンゲンは、いくつかの部分に分かれています。日本では、はじめの部分をまとめた本がよく使われています。どの本を使うかは、先生や合唱団の方針によってちがうので、先にたしかめておくと安心です。
どんな内容の本?
番号のついた、短い練習がならんでいる
コールユーブンゲンには、番号のついた短い練習がたくさんならんでいます。1つ1つは短いので、少しずつ進めることができます。
かんたんなところから、少しずつむずかしく
はじめのほうは、長い音符で、となりの音へゆっくり動くような、かんたんな練習からはじまります。進むにつれて、音と音のはばが広くなったり、リズムがこまかくなったりして、少しずつむずかしくなっていきます。
歌詞のない練習
コールユーブンゲンの練習には、歌の歌詞はついていません。ドレミなどの音の名前で歌うことが多く、音の高さとリズムに集中して練習できるようになっています。
コールユーブンゲンで身につくこと
正しい音程で歌う力
となりの音や、はなれた音を、ていねいに歌う練習をくりかえすので、音と音のはばを正しくとる力が育ちます。
リズムを正しく歌う力
いろいろな長さの音符や休符が出てくるので、拍を感じながら歌う力がつきます。
楽譜を読む力
1つ1つの練習を、楽譜を見て歌うので、楽譜を読むことになれていきます。はじめて見る曲を歌う力にも、つながっていきます。
みんなで声をそろえる力
合唱団でみんなで歌うと、音の高さやリズムをそろえる練習になります。まわりの声を聞きながら歌う力も、育っていきます。
ドレミで歌う練習そのものについては、こちらの記事にくわしく書いています。コールユーブンゲンをはじめる前に、読んでみてください。ドレミで歌う練習。ソルフェージュとは?子どもにも大人にもやさしく
コールユーブンゲンの使い方
はじめる前に知っておきたいこと
コールユーブンゲンをはじめる前に、つぎのようなことができると、練習しやすくなります。
- ト音記号の楽譜で、ドレミの位置がわかる
- 4分音符、2分音符、全音符などの長さがわかる
- ドレミファソラシドを、なんとなく歌える
まだ自信がなくても、だいじょうぶです。先生にみてもらいながら、いっしょに覚えていくこともできます。
1つの練習のすすめ方
1つの練習を、つぎのような順番で進めてみましょう。
- 楽譜ぜんたいを見て、拍子と、はじめの音をたしかめる
- 音の高さは気にせず、手をたたいてリズムだけ練習する
- 音の動き(上がる、下がる、とぶ)を目で追う
- ドレミで、ゆっくり歌ってみる
- ピアノやアプリで、正しい音かどうかをたしかめる
- なれてきたら、少しずつ速さをととのえる
いきなり歌いはじめず、リズムと音の動きを先にたしかめておくと、まちがいがへります。
手で拍をとりながら歌う
手でひざを軽くたたいたり、指揮をするように手を動かしたりしながら歌うと、拍が安定します。長い音のときも、心の中で拍をかぞえておくことが大切です。
声は、らくに出せる大きさで
コールユーブンゲンは、音程やリズムの練習が中心です。大きな声を出す必要はありません。らくに出せる大きさの声で、ていねいに歌いましょう。
高い音や低い音がつらいときは、むりをしないことが大切です。のどに痛みやかすれが続くときは、練習を休んで、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
1日に少しずつ進める
1日にたくさん進めるより、毎日少しずつ続けるほうが、力がつきやすくなります。
- 前の日に練習したものを1つ歌う
- 新しいものを1つ練習する
このくらいでも、じゅうぶんです。かんたんに歌えたものも、ときどきふりかえって歌ってみると、力がしっかり身につきます。
つまずきやすいところと工夫
音が大きくとぶところ
はなれた音へとぶところは、音がずれやすいところです。とぶ前の音と、とんだあとの音を、ピアノでならしてたしかめてから歌ってみましょう。とちゅうの音を小さな声で通ってから、もう一度とぶ練習をする方法もあります。
休符のあと
休符のあとの音は、入るタイミングがずれやすいところです。休符のあいだも、拍をかぞえながら待ちましょう。
付点のリズム
付点のついた音符は、長さがあいまいになりやすいところです。歌う前に、そのところだけ手でたたいて練習しておきましょう。
途中で出てくるシャープやフラット
練習が進むと、途中でシャープやフラットが出てくることがあります。見おとしやすいので、えんぴつで小さくしるしをつけておくと安心です。楽譜への書きこみ方については、先生の方針も聞いてみてください。
ひとりで使うときに気をつけたいこと
正しい音かどうかを、たしかめる
ひとりで練習していると、まちがった音のまま覚えてしまうことがあります。ピアノやキーボード、音を出せるアプリなどで、ときどき音をたしかめながら進めましょう。
録音して、聞きなおす
自分の歌を録音して、正しい音と聞きくらべてみるのもおすすめです。音がずれやすいところや、リズムがくずれやすいところに気づけます。
ときどき先生にみてもらう
ひとりでも練習はできますが、ときどき先生にみてもらうと、自分では気づきにくいくせを教えてもらえます。声楽やソルフェージュのレッスンで、コールユーブンゲンを使っている教室もあります。使う教材は教室によってちがうので、体験レッスンなどで聞いてみてください。
お子様が使うとき
お子様がコールユーブンゲンを使うかどうか、何歳ごろからはじめるかは、教室や先生の考え方によってちがいます。
お子様と練習するときは、つぎのようなことを大切にしてみてください。
- 1回の練習は短めにする
- できたところを、たくさんほめる
- まちがえても、せめずに「もう一回やってみようか」と声をかける
- 先生に言われた進め方を守る
お父様・お母様がピアノで音をならしてあげるだけでも、お子様にとっては心強い手助けになります。
ほかの練習本とのちがい
歌の練習本には、いろいろな種類があります。声楽では、歌の練習曲として知られる「コンコーネ」なども使われています。コールユーブンゲンは、その中でも、音程やリズム、楽譜を読む力をきたえることに向いた練習本です。
どの本が合うかは、目的や、いまの力によってちがいます。練習本のえらび方については、こちらの記事にまとめています。歌が上手くなる本のえらび方。練習本・楽譜集・読みもの、自分に合う1冊の見つけ方
まとめ
- コールユーブンゲンは、「合唱の練習」という意味の名前の練習本
- フランツ・ヴュルナーがまとめた練習本として知られ、日本でも長く使われてきた
- 番号のついた短い練習が、かんたんなものから少しずつむずかしくなっていく
- 音程、リズム、楽譜を読む力、声をそろえる力が身につく
- 1つの練習は、リズム、音の動き、ゆっくり歌う、音をたしかめる、の順で進める
- ひとりで使うときは、音をたしかめ、録音し、ときどき先生にみてもらう
コールユーブンゲンは、地味に見えるかもしれませんが、毎日少しずつ続けることで、歌の土台がしっかり育っていきます。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎの練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ