バンドのボーカルの練習方法。大人のスタジオ練習・モニターの聞き方・声を守るコツ
「社会人になってから、友だちとバンドを組むことになった」 「スタジオで練習すると、いつも途中で声がかれてしまう」
大人になってからバンドをはじめる方は、少なくありません。仕事のあとや休みの日に、仲間と音を合わせる時間は、とても楽しいものです。ただ、ボーカルの練習方法となると、楽器とくらべて「何をすればいいのか、わかりにくい」と感じる方も多いようです。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。ジャンルはちがっても、歌の土台になる体と息のつかい方は同じだと感じています。
この記事では、大人のバンドのボーカルにしぼって、スタジオ練習のすすめ方、モニターの聞き方、個人練習のメニュー、声を守るコツをまとめました。学校の軽音部ではじめてボーカルになった方は、こちらの記事も読んでみてください。軽音部のボーカルになったら。初心者のはじめての練習と、バンドの音に負けない声の出し方
大人のバンドのボーカル練習で、むずかしいところ
練習できる時間がかぎられている
大人のバンドは、メンバーの予定を合わせるのがたいへんです。スタジオに入れるのは、月に数回という方も多いと思います。だからこそ、スタジオの時間をむだにしない準備が大切になります。
声を出せる場所が少ない
楽器は、ヘッドホンをつかえば家でも練習できます。でも、歌は声を出すので、家で思いきり練習するのはむずかしいことがあります。ボーカルの練習方法は、「家でできること」と「スタジオでしかできないこと」を分けて考えると、すすめやすくなります。
長い時間歌いつづけることになる
スタジオでは、2時間や3時間、同じ曲を何回も合わせることがあります。楽器の人は手を休められても、ボーカルは歌いつづけることになりがちです。のどのつかれをどう防ぐかが、大人のボーカルにとって大きなテーマです。
スタジオ練習の前にしておくこと
歌詞とメロディは、家で入れておく
スタジオで歌詞を見ながら歌うと、まわりの音を聞く余裕がなくなります。少なくとも、歌い出しのタイミングとメロディは、家でおぼえておきましょう。歌詞カードは、見やすい大きな字で書き出しておくと、スタジオでも安心です。
今日の目標を、メンバーと決めておく
「今日は1曲目の、サビのハモリを合わせる」「新しい曲の構成をたしかめる」など、その日の目標を先に決めておくと、練習がまとまりやすくなります。ボーカルとして気になっているところも、前もって伝えておきましょう。
声の準備は、スタジオに入る前に
スタジオに入ってすぐに大きな声で歌うと、のどに負担がかかります。家を出る前や、スタジオまでの道で、軽く体と声をあたためておくのがおすすめです。
- 首や肩を、ゆっくり回す
- 口をとじて「んー」とハミングする
- くちびるをふるわせるリップロールをする
- 低めの音から、ゆっくり声を出す
スタジオ練習の流れ
1 音づくり(セッティング)
スタジオに入ったら、まず楽器とマイクの準備をします。ボーカルは、マイクの音量や、モニターの向きをたしかめましょう。この時間に、軽く声を出して、自分の声がどう聞こえるかを見ておきます。
2 音のバランスをたしかめる
全員で1曲合わせてみて、歌がちゃんと聞こえるかをたしかめます。ボーカルは自分の場所からだけではなく、ときどき部屋の真ん中に立って、全体の音を聞いてみるのもおすすめです。スマホで録音して、休けい中に聞いてみるのもよい方法です。
3 曲の合わせ
曲を通して合わせたら、うまくいかなかったところだけをくりかえします。そのとき、ボーカルは毎回全力で歌わなくてもだいじょうぶです。楽器のリズムやつなぎをたしかめるときは、小さめの声や、ハミングで合わせると、のどを休めることができます。
4 ふりかえり
練習の終わりに、5分でいいので、ふりかえりの時間をとりましょう。「次までに、2番の歌い出しを合わせておく」など、次の練習の目標を決めておくと、限られた時間を生かしやすくなります。
モニターの聞き方と、自分の声の聞こえ方
モニターってなに?
モニターは、演奏している人が自分の音を聞くためのスピーカーです。足もとに置かれていることが多く、ボーカルは、ここから自分の声を聞いて、音程やリズムをたしかめます。
自分の声が聞こえないと、どうなるか
モニターから自分の声が聞こえないと、つい大きな声で歌ってしまいます。音程もずれやすくなり、のどにも負担がかかります。「声が聞こえない」と感じたら、がまんせずに伝えることが大切です。
聞こえにくいときに、ためしたいこと
- モニターの向きを、自分の顔のほうへ向ける
- モニターに入るボーカルの音量を、少し上げてもらう
- ギターやキーボードの音量を、少し下げてもらう
- 自分の立ち位置を、ドラムやアンプから少しはなす
- 片方の耳を軽くおさえて、自分の声を聞く
片方の耳をおさえると、骨をつたわる自分の声が聞きやすくなり、音程をたしかめやすくなる、と感じる方もいます。ただし、ずっとそうして歌うのではなく、たしかめたいときにつかう方法として考えてください。
耳を守ることも、わすれずに
スタジオの音は、思っているより大きいものです。長い時間大きな音を聞きつづけると、耳がつかれてしまうことがあります。音量は「みんなが心地よく聞こえる大きさ」をめやすにして、上げすぎないようにしましょう。練習用の耳せんをつかう方もいます。
イヤホンやヘッドホンをつかった練習については、こちらの記事でもまとめています。歌の練習でイヤホン・ヘッドホンを使うコツ。音量・片耳・録音との組み合わせ方
家でできる、ボーカルの個人練習メニュー
スタジオに入れない日は、家でできる練習をつづけましょう。大きな声を出さなくても、できることはたくさんあります。
15分のメニュー例
- 姿勢をととのえて、細く長く息をはく(3分)
- ハミングやリップロールで、低い音から高い音まで声を出す(3分)
- バンドの音源に合わせて、小さめの声で歌う(5分)
- 自分の歌を録音して、聞きなおす(4分)
録音で見ておきたいところ
- ことばが、はっきり聞こえるか
- 息つぎで、ことばが切れていないか
- 高いところで、声がかたくなっていないか
- リズムが、音源より前や後ろにずれていないか
バンドの音源に合わせて歌うときは、ドラムやベースの音をよく聞いて、リズムにのることを意識しましょう。ボーカルのリズムが安定すると、バンド全体がまとまって聞こえます。
カラオケボックスも練習場所に
大きな声を出したいときは、カラオケボックスをつかう方も多いです。自分たちの曲の音源を流せるお店もあるので、ひとりで通し練習をしたいときに便利です。
長い練習でも声を守るコツ
全力で歌うところを決める
スタジオで毎回100パーセントの声で歌っていると、すぐにのどがつかれてしまいます。「この曲は、最後の通しだけ全力で歌う」など、力を出すところと、ひかえるところを決めておくとよいです。
休けいをこまめにとる
1時間に1回は、声を休める時間をとりましょう。休けい中は、なるべく話さないようにするのもポイントです。話し声も、のどをつかっています。
水分と、部屋の空気
スタジオはエアコンがきいていて、空気がかわいていることがあります。水やお茶をこまめにのみましょう。冷たすぎるのみものより、常温のもののほうがのみやすいと感じる方も多いです。
シャウトなどの強い声は、とくに注意
ロックなどでは、さけぶような声をつかうこともあります。強い声は、のどに負担がかかりやすいので、つかう場所をしぼったり、先生にみてもらったりしながら練習しましょう。
痛みやかすれが続くときは
練習のあと、のどの痛みや声のかすれが何日も続くときは、歌うのをお休みしてください。耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
先生にみてもらうのも、ひとつの方法
バンドのボーカルは、自分の声を客観的に聞くのがむずかしい役わりです。「声がかれやすい」「高い音がつらい」など、なやみがあるときは、ボイトレの教室で先生にみてもらうのもよい方法です。ポップスやロックのレッスンをしている教室もあり、バンドの曲をつかってレッスンしてくれることもあります。どんな曲であつかってもらえるかは、教室によってちがいます。
まとめ
- 大人のバンドは練習時間がかぎられるので、スタジオの前の準備が大切
- 歌詞とメロディは家で入れておき、スタジオではまわりの音を聞く
- スタジオでは、音づくり、バランス、合わせ、ふりかえりの流れで
- モニターから声が聞こえないときは、がまんせずに伝える
- 家では、息とハミング、小さめの声、録音の練習を
- 全力で歌うところを決めて、休けいと水分をこまめに
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
バンドで歌う声を、もっとらくに出したいと思ったら、近くのボイトレ教室をさがしてみてください。歌の教室さがしまた、バンドとは別に、ひとりで歌った動画を聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリもあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどきます。こどもの歌声グランプリ