朝・寝起きに声が出ないときの歌い方。歌う前の声の起こし方と、気をつけたいこと
「朝、起きてすぐに歌おうとしたら、ぜんぜん声が出ない」 「寝起きは声がかすれていて、高い音がまったく出ない」
朝に歌の練習をしようとして、こんなふうに感じたことはありませんか。夜はふつうに歌えていたのに、朝になると声が低くなったり、ガラガラしたりすることは、多くの人が感じていることです。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌の行事は、朝早くからはじまることも少なくありません。だからこそ、朝の声とどうつきあうかは、歌う人にとって大切なテーマだと思っています。
この記事では、朝や寝起きに声が出ないと感じるときに、歌う前にできる声の起こし方をまとめます。むりに声を出すのではなく、体と声をゆっくり目ざめさせていく考え方です。大人の方にも、お子様にも、つかえる内容にしています。
なお、のどの痛みやかすれが何日も続くときは、むりに歌わず、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談してください。この記事は、体調がよい日の「朝の声」についてのお話です。
朝、寝起きに声が出ないと感じるのはなぜ?
体も声も、まだ「おやすみ中」
寝ているあいだは、体をほとんど動かしません。声を出すときにつかう、おなかやせなか、首や顔のまわりも、じっと休んでいます。起きたばかりのときは、こうした体のあちこちが、まだかたいままのことが多いです。
朝に声が出ないと感じるのは、声だけでなく、体ぜんたいがまだ目ざめきっていないからだと考えると、わかりやすいと思います。
のどや口の中がかわいている
寝ているあいだは、水をのみません。口をあけて寝ていたり、へやが乾燥していたりすると、朝、のどや口の中がかわいていることがあります。かわいた状態では、声がかすれたり、ひっかかったりしやすくなります。
冬はとくに、へやの空気がかわきやすい季節です。
声が低く出やすい
朝は、ふだんより声が低く感じられる方が多いです。話し声はなんとか出ても、歌になると高い音が出にくく、「いつもの声じゃない」と感じることがあります。
これは、めずらしいことではありません。時間がたち、体が動いてくると、だんだんいつもの声にもどっていくことが多いです。あせって高い声を出そうとしないことが、いちばん大切です。
起きてすぐにしないほうがよいこと
いきなり高い声や大きな声で歌う
起きてすぐに、いちばん高い音や、大きな声で歌うのは、ひかえましょう。かたいままの体で、むりに声を出すと、のどに力が入りやすくなります。
声が出ないからと、せきばらいをくりかえす
声がひっかかると、つい「ゴホン」とせきばらいをしたくなりますよね。でも、つよいせきばらいを何回もくりかえすと、のどに負担がかかりやすいといわれています。気になるときは、まず水をひと口のんでみてください。
「今日は声が出ない日だ」と決めつける
朝の声だけで、その日の調子を決めてしまわないことも大切です。朝は出にくくても、少したつと、ふつうに歌えることは多いです。気持ちが落ちこむと、体もかたくなってしまいます。
歌う前の声の起こし方 朝のやさしいメニュー
ここからは、朝に歌う前にできる、声の起こし方をしょうかいします。ぜんぶやらなくても、だいじょうぶです。できるものから、えらんでみてください。
1 起きたら、まず水分をとる
起きたら、コップ1ぱいくらいの水や白湯を、ゆっくりのみましょう。のどや口の中がうるおうと、声が出しやすくなります。つめたすぎるものより、常温やあたたかいもののほうが、のみやすいという方が多いです。
2 体をのばして、ゆっくり動かす
声は、体ぜんたいで出すものです。まずは体を起こしてあげましょう。
- 両手をうえにあげて、ぐーっとのびをする
- 肩を前から後ろへ、ゆっくり回す
- 首を左右に、やさしくたおす
- その場で、足ぶみを30秒ほどする
体があたたまってくると、息がふかくすえるようになります。歌う前の体のほぐし方は、こちらの記事にもくわしく書いています。歌う前の準備運動。体と顔をほぐす、やさしいストレッチ
3 顔と口のまわりをほぐす
朝は、顔の筋肉もかたくなっています。
- ほっぺたを両手で、くるくるとやさしくマッサージする
- 口を大きくあけて「あ・い・う・え・お」と、声を出さずに動かす
- くちびるをとじて、ほっぺをふくらませたり、しぼませたりする
鏡を見ながらやると、口の動きがよくわかります。
4 ため息のような声から出してみる
いきなり歌うのではなく、「はぁ〜」とため息をつくような、力の入らない声から出してみましょう。高いところから低いところへ、すべりおりるように声を出すと、のどに力が入りにくくなります。
5 ハミングで、小さな声からはじめる
口をとじて「んー」とハミングをします。話し声くらいの、らくな高さでかまいません。鼻のあたりや、くちびるが少しびりびりするように感じたら、声がひびいているしるしです。
大きな声を出しにくい朝でも、ハミングなら、家族を起こさずに練習しやすいと思います。
6 らくな高さで、短いフレーズを歌う
体と声が少しずつ目ざめてきたら、らくに出せる高さで、短いフレーズを歌ってみましょう。
- 「ドレミレド」を、ゆっくり小さめの声で
- 好きな歌の、いちばん歌いやすいところだけ
- 少しずつ、半音ずつ高さを上げていく
とちゅうで声がひっかかったり、出にくくなったりしたら、むりに上げずに、そこでやめてだいじょうぶです。
朝に歌うときの、時間のめやす
起きてすぐより、少し時間をあける
声がらくに出るようになるまでには、時間がかかることが多いです。どのくらいかかるかは、人によってちがいます。朝に歌う予定があるときは、できれば起きてから少し時間をあけて、体を動かしたり、朝ごはんを食べたりしてから歌うと、声が出やすいと感じる方が多いです。
大切な本番の日は、早めに起きる
コンクールや発表会など、朝から歌う日には、いつもより早めに起きると安心です。本番の日の朝のすごし方は、こちらの記事にくわしくまとめています。本番の日の朝のすごし方。起きてから歌うまでにできること
毎朝の練習は「短く」がちょうどいい
朝に練習する習慣をつけたい方は、5分から10分くらいの短い時間からはじめるのがおすすめです。朝はいそがしい時間なので、長い練習をしようとすると、つづきにくくなります。声の起こし方だけで終わる日があっても、それでじゅうぶんです。
朝の声を出しやすくする、前の日の工夫
へやの乾燥に気をつける
寝ているあいだののどのかわきをへらすために、へやの湿度に気をくばってみましょう。加湿器をつかう、ぬれタオルをかけておくなど、家に合ったやり方でかまいません。
寝る前に、のどをつかいすぎない
夜おそくまで大きな声で話したり、長い時間歌いつづけたりすると、次の朝に声がつかれていることがあります。大切な日の前の夜は、のどを休める時間をつくってあげてください。
寝る時間を、なるべくととのえる
ねむる時間が短いと、朝、体がだるく、声も出にくいと感じる方がいます。毎日同じくらいの時間に寝て、同じくらいの時間に起きるようにすると、体のリズムがととのいやすくなります。
お子様の朝の声で気をつけたいこと
朝の登校前に、むりに歌わせない
お子様が歌の練習をしているご家庭では、「朝のうちに少し練習を」と考えることもあると思います。でも、起きてすぐのお子様に、いきなり大きな声で歌わせるのは、ひかえましょう。体が目ざめていないと、のどに力が入りやすくなります。
あそびの中で、声を起こしてあげる
お子様には、あそびの感覚で声を起こしてあげると、楽しく続けやすくなります。
- 「おはよう」を、ひくい声・ふつうの声・高い声で言ってみる
- 動物のなき声をまねして、いろいろな声を出してみる
- お父様・お母様といっしょに、ハミングでしりとりのように歌う
朝ごはんのあとに、お気に入りの歌を1曲、いっしょに口ずさむくらいでじゅうぶんです。
声のようすに、気をつけてあげる
お子様は、のどの調子がわるくても、自分ではうまく伝えられないことがあります。朝の声がいつもよりかすれている、話すのがつらそう、といったようすが何日も続くときは、むりに歌わせず、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談してください。
こんなときは、お医者さんに相談を
朝の声が出にくいのは、多くの場合、時間とともに楽になっていきます。でも、次のようなときは、むりに歌わず、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談しましょう。
- 声のかすれが、何日も続いている
- のどの痛みが、なかなかよくならない
- 昼になっても、夜になっても、声が出にくい
- 声を出すと、いつもとちがう違和感がある
歌が好きな方ほど、「少しくらいなら」と歌ってしまいがちです。でも、のどを大切にすることは、長く歌いつづけるためにも、とても大切なことです。
まとめ
- 朝や寝起きに声が出ないのは、体や声がまだ目ざめきっていないことが多い
- 起きてすぐに、高い声や大きな声で歌うのはひかえる
- 水分をとる、体をのばす、顔をほぐす、ため息の声、ハミング、短いフレーズの順で起こしていく
- 朝に歌う日は、起きてから少し時間をあけ、大切な日は早めに起きる
- 前の日は、へやの乾燥やのどのつかいすぎに気をつける
- お子様には、あそびの中で声を起こしてあげる
- かすれや痛みが続くときは、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談する
朝の声とうまくつきあえるようになると、早い時間の本番でも、あわてずに歌いやすくなります。おうちで練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られるので、声の調子がよい時間にとった動画で応募できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎの練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ