練習・発声のコツ

朝・寝起きに声が出ないときの歌い方。歌う前の声の起こし方と、気をつけたいこと

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「朝、起きてすぐに歌おうとしたら、ぜんぜん声が出ない」 「寝起きは声がかすれていて、高い音がまったく出ない」

朝に歌の練習をしようとして、こんなふうに感じたことはありませんか。夜はふつうに歌えていたのに、朝になると声が低くなったり、ガラガラしたりすることは、多くの人が感じていることです。

わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌の行事は、朝早くからはじまることも少なくありません。だからこそ、朝の声とどうつきあうかは、歌う人にとって大切なテーマだと思っています。

この記事では、朝や寝起きに声が出ないと感じるときに、歌う前にできる声の起こし方をまとめます。むりに声を出すのではなく、体と声をゆっくり目ざめさせていく考え方です。大人の方にも、お子様にも、つかえる内容にしています。

なお、のどの痛みやかすれが何日も続くときは、むりに歌わず、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談してください。この記事は、体調がよい日の「朝の声」についてのお話です。

朝、寝起きに声が出ないと感じるのはなぜ?

体も声も、まだ「おやすみ中」

寝ているあいだは、体をほとんど動かしません。声を出すときにつかう、おなかやせなか、首や顔のまわりも、じっと休んでいます。起きたばかりのときは、こうした体のあちこちが、まだかたいままのことが多いです。

朝に声が出ないと感じるのは、声だけでなく、体ぜんたいがまだ目ざめきっていないからだと考えると、わかりやすいと思います。

のどや口の中がかわいている

寝ているあいだは、水をのみません。口をあけて寝ていたり、へやが乾燥していたりすると、朝、のどや口の中がかわいていることがあります。かわいた状態では、声がかすれたり、ひっかかったりしやすくなります。

冬はとくに、へやの空気がかわきやすい季節です。

声が低く出やすい

朝は、ふだんより声が低く感じられる方が多いです。話し声はなんとか出ても、歌になると高い音が出にくく、「いつもの声じゃない」と感じることがあります。

これは、めずらしいことではありません。時間がたち、体が動いてくると、だんだんいつもの声にもどっていくことが多いです。あせって高い声を出そうとしないことが、いちばん大切です。

起きてすぐにしないほうがよいこと

いきなり高い声や大きな声で歌う

起きてすぐに、いちばん高い音や、大きな声で歌うのは、ひかえましょう。かたいままの体で、むりに声を出すと、のどに力が入りやすくなります。

声が出ないからと、せきばらいをくりかえす

声がひっかかると、つい「ゴホン」とせきばらいをしたくなりますよね。でも、つよいせきばらいを何回もくりかえすと、のどに負担がかかりやすいといわれています。気になるときは、まず水をひと口のんでみてください。

「今日は声が出ない日だ」と決めつける

朝の声だけで、その日の調子を決めてしまわないことも大切です。朝は出にくくても、少したつと、ふつうに歌えることは多いです。気持ちが落ちこむと、体もかたくなってしまいます。

歌う前の声の起こし方 朝のやさしいメニュー

ここからは、朝に歌う前にできる、声の起こし方をしょうかいします。ぜんぶやらなくても、だいじょうぶです。できるものから、えらんでみてください。

1 起きたら、まず水分をとる

起きたら、コップ1ぱいくらいの水や白湯を、ゆっくりのみましょう。のどや口の中がうるおうと、声が出しやすくなります。つめたすぎるものより、常温やあたたかいもののほうが、のみやすいという方が多いです。

2 体をのばして、ゆっくり動かす

声は、体ぜんたいで出すものです。まずは体を起こしてあげましょう。

  • 両手をうえにあげて、ぐーっとのびをする
  • 肩を前から後ろへ、ゆっくり回す
  • 首を左右に、やさしくたおす
  • その場で、足ぶみを30秒ほどする

体があたたまってくると、息がふかくすえるようになります。歌う前の体のほぐし方は、こちらの記事にもくわしく書いています。歌う前の準備運動。体と顔をほぐす、やさしいストレッチ

3 顔と口のまわりをほぐす

朝は、顔の筋肉もかたくなっています。

  • ほっぺたを両手で、くるくるとやさしくマッサージする
  • 口を大きくあけて「あ・い・う・え・お」と、声を出さずに動かす
  • くちびるをとじて、ほっぺをふくらませたり、しぼませたりする

鏡を見ながらやると、口の動きがよくわかります。

4 ため息のような声から出してみる

いきなり歌うのではなく、「はぁ〜」とため息をつくような、力の入らない声から出してみましょう。高いところから低いところへ、すべりおりるように声を出すと、のどに力が入りにくくなります。

5 ハミングで、小さな声からはじめる

口をとじて「んー」とハミングをします。話し声くらいの、らくな高さでかまいません。鼻のあたりや、くちびるが少しびりびりするように感じたら、声がひびいているしるしです。

大きな声を出しにくい朝でも、ハミングなら、家族を起こさずに練習しやすいと思います。

6 らくな高さで、短いフレーズを歌う

体と声が少しずつ目ざめてきたら、らくに出せる高さで、短いフレーズを歌ってみましょう。

  • 「ドレミレド」を、ゆっくり小さめの声で
  • 好きな歌の、いちばん歌いやすいところだけ
  • 少しずつ、半音ずつ高さを上げていく

とちゅうで声がひっかかったり、出にくくなったりしたら、むりに上げずに、そこでやめてだいじょうぶです。

朝に歌うときの、時間のめやす

起きてすぐより、少し時間をあける

声がらくに出るようになるまでには、時間がかかることが多いです。どのくらいかかるかは、人によってちがいます。朝に歌う予定があるときは、できれば起きてから少し時間をあけて、体を動かしたり、朝ごはんを食べたりしてから歌うと、声が出やすいと感じる方が多いです。

大切な本番の日は、早めに起きる

コンクールや発表会など、朝から歌う日には、いつもより早めに起きると安心です。本番の日の朝のすごし方は、こちらの記事にくわしくまとめています。本番の日の朝のすごし方。起きてから歌うまでにできること

毎朝の練習は「短く」がちょうどいい

朝に練習する習慣をつけたい方は、5分から10分くらいの短い時間からはじめるのがおすすめです。朝はいそがしい時間なので、長い練習をしようとすると、つづきにくくなります。声の起こし方だけで終わる日があっても、それでじゅうぶんです。

朝の声を出しやすくする、前の日の工夫

へやの乾燥に気をつける

寝ているあいだののどのかわきをへらすために、へやの湿度に気をくばってみましょう。加湿器をつかう、ぬれタオルをかけておくなど、家に合ったやり方でかまいません。

寝る前に、のどをつかいすぎない

夜おそくまで大きな声で話したり、長い時間歌いつづけたりすると、次の朝に声がつかれていることがあります。大切な日の前の夜は、のどを休める時間をつくってあげてください。

寝る時間を、なるべくととのえる

ねむる時間が短いと、朝、体がだるく、声も出にくいと感じる方がいます。毎日同じくらいの時間に寝て、同じくらいの時間に起きるようにすると、体のリズムがととのいやすくなります。

お子様の朝の声で気をつけたいこと

朝の登校前に、むりに歌わせない

お子様が歌の練習をしているご家庭では、「朝のうちに少し練習を」と考えることもあると思います。でも、起きてすぐのお子様に、いきなり大きな声で歌わせるのは、ひかえましょう。体が目ざめていないと、のどに力が入りやすくなります。

あそびの中で、声を起こしてあげる

お子様には、あそびの感覚で声を起こしてあげると、楽しく続けやすくなります。

  • 「おはよう」を、ひくい声・ふつうの声・高い声で言ってみる
  • 動物のなき声をまねして、いろいろな声を出してみる
  • お父様・お母様といっしょに、ハミングでしりとりのように歌う

朝ごはんのあとに、お気に入りの歌を1曲、いっしょに口ずさむくらいでじゅうぶんです。

声のようすに、気をつけてあげる

お子様は、のどの調子がわるくても、自分ではうまく伝えられないことがあります。朝の声がいつもよりかすれている、話すのがつらそう、といったようすが何日も続くときは、むりに歌わせず、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談してください。

こんなときは、お医者さんに相談を

朝の声が出にくいのは、多くの場合、時間とともに楽になっていきます。でも、次のようなときは、むりに歌わず、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談しましょう。

  • 声のかすれが、何日も続いている
  • のどの痛みが、なかなかよくならない
  • 昼になっても、夜になっても、声が出にくい
  • 声を出すと、いつもとちがう違和感がある

歌が好きな方ほど、「少しくらいなら」と歌ってしまいがちです。でも、のどを大切にすることは、長く歌いつづけるためにも、とても大切なことです。

まとめ

  • 朝や寝起きに声が出ないのは、体や声がまだ目ざめきっていないことが多い
  • 起きてすぐに、高い声や大きな声で歌うのはひかえる
  • 水分をとる、体をのばす、顔をほぐす、ため息の声、ハミング、短いフレーズの順で起こしていく
  • 朝に歌う日は、起きてから少し時間をあけ、大切な日は早めに起きる
  • 前の日は、へやの乾燥やのどのつかいすぎに気をつける
  • お子様には、あそびの中で声を起こしてあげる
  • かすれや痛みが続くときは、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談する

朝の声とうまくつきあえるようになると、早い時間の本番でも、あわてずに歌いやすくなります。おうちで練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られるので、声の調子がよい時間にとった動画で応募できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、つぎの練習のヒントにもなると思います。こどもの歌声グランプリ

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