16分音符・16ビートの歌い方。こまかいリズムにことばをのせるコツ
「16分音符がつづくところで、ことばがもつれてしまう」 「16ビートの曲を歌うと、どうしてもリズムがおくれてしまう」
ポップスやアニメの歌、ダンスの曲などを練習していると、こんななやみにぶつかることがあります。16分音符は、1拍を4つに分けた、とてもこまかい音符です。ことばがたくさんつまっているので、はじめはむずかしく感じて当たり前です。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。いろいろな曲にふれる中で、こまかいリズムは、ちょっとした練習のしかたで、ぐっと歌いやすくなるものだと感じています。
この記事では、16分音符と16ビートの歌い方にしぼって、こまかいリズムにことばをのせるコツと、家でできる練習をお話しします。お子様にも大人の方にも使える内容です。
16分音符・16ビートとは
16分音符は「1拍を4つに分けた音」
4分音符を1拍とすると、8分音符は1拍を2つに、16分音符は1拍を4つに分けた長さになります。
- 4分音符 1拍に1つ
- 8分音符 1拍に2つ
- 16分音符 1拍に4つ
つまり、16分音符がならぶところでは、1拍のあいだに4つの音やことばが入ります。テンポが速い曲だと、あっというまにすぎてしまうので、口がおいつかなくなりやすいのです。
16ビートは「16分のきざみを感じるリズム」
16ビートは、曲の中で16分のこまかいきざみがずっと流れているようなリズムのことです。ドラムやギターが「タカタカタカタカ」とこまかく動いている曲を思いうかべると、わかりやすいと思います。
16ビートの曲では、歌のメロディも、16分のきざみにのって進むことが多いです。拍の頭だけでなく、そのあいだの細かいところにことばが入ってくるので、きざみを体で感じられるかどうかが、歌いやすさを大きく左右します。
8ビートとのちがい
8ビートは、1拍を2つに分けたきざみを感じるリズムです。どっしりとした、まっすぐなノリになります。16ビートは、それよりこまかいきざみがあるので、軽くはずむような、こきざみなノリになります。
同じテンポでも、8ビートで感じるか16ビートで感じるかで、歌のノリはかわります。16ビートの曲を8ビートの感覚で歌うと、ことばが入りきらなかったり、のんびり聞こえたりすることがあります。
こまかいリズムで歌いにくくなる理由
きざみを感じないまま歌っている
いちばん多いのは、16分のきざみを感じずに、なんとなくメロディを追いかけてしまうことです。きざみがないと、ことばを入れる場所がはっきりしないので、前につんのめったり、うしろにずれたりしやすくなります。
ことばが口の中でつまっている
ことばが多いところでは、口や舌がいそがしくなります。1つ1つの音をはっきり言おうとして力が入ると、かえって口が回りにくくなります。
息がたりなくなる
16分音符がつづくところでは、息つぎをする場所が少ないことがあります。息がたりなくなると、あわてて歌うので、リズムがみだれやすくなります。
速さに気持ちがあせっている
「速いところだ」と思うと、気持ちが先に走って、体も前のめりになりがちです。すると、リズムが少しずつ前にずれてしまいます。
16分のきざみを体で感じる練習
「タカタカ」と口でとなえる
まずは歌わずに、16分のきざみを口でとなえてみましょう。
- 手で1拍ずつ、ゆっくりひざをたたく
- 1回たたくあいだに「タ・カ・タ・カ」と4つとなえる
- これを4拍、8拍とつづける
1拍に4つの音が、同じ長さで入っているかを意識します。はじめは、ゆっくりのテンポでかまいません。
手とひざで16分をとる
つぎに、右手と左手を交代で動かして、16分をとってみます。
- 右手でひざをたたく(1つめ)
- 左手でひざをたたく(2つめ)
- 右手(3つめ)
- 左手(4つめ)
これを1拍として、くりかえします。両手が同じ間かくで動くように、ゆっくりからはじめましょう。こまかいきざみが体に入ってくると、歌のときにもことばを入れる場所が見えやすくなります。
メトロノームを使う
テンポを一定にするには、メトロノームがべんりです。はじめは曲より少しおそいテンポに合わせて、1拍に4つのきざみをとってみましょう。メトロノームの使い方や速さの決め方は、こちらの記事にまとめています。メトロノームを使った歌の練習。リズムが安定するコツと、速さの決め方
ことばを16分にのせるコツ
まずはリズムだけで歌う
いきなり歌詞で歌うと、ことばとリズムを同時に考えることになり、むずかしくなります。まずは、歌詞のかわりに「タ」や「ラ」などの1つの音で、リズムだけを歌ってみましょう。
- 歌詞を「タタタタ」にかえて、リズムだけを歌う
- 手でひざをたたきながら、16分のきざみに合っているかたしかめる
- 合ってきたら、歌詞をリズムに合わせて読む
- さいごに、メロディをつけて歌う
このように、1つずつ分けて重ねていくと、ことばがつまりにくくなります。
歌詞をリズムで読む
メロディをつけずに、歌詞をリズムどおりに読んでみるのも、よい練習です。手でひざをたたきながら、16分のきざみに合わせて、ことばを読んでいきます。
どのことばがどこに入るかを、口でおぼえておくと、メロディをつけたときにもあわてにくくなります。楽譜を見ながら、1拍ごとに区切りの線を入れておくのもおすすめです。
拍の頭のことばを少しだけ意識する
16分音符がならぶと、すべてのことばを同じ強さで言おうとしがちです。でも、拍の頭に来ることばを少しだけ意識すると、リズムが聞きとりやすくなり、自分でもいまどこを歌っているかがわかりやすくなります。
ただし、強くしすぎると、かくかくした歌い方になってしまいます。「少しだけ」がポイントです。
口の動きは小さめに
こまかいリズムのところでは、口を大きく動かしすぎると、つぎのことばに間に合わなくなります。口の動きは少し小さめにして、舌やくちびるを軽く使うイメージで歌ってみましょう。
ことばをはっきりさせたいときは、口を大きくあけるより、子音を軽くていねいに出すほうが、こまかいリズムには合いやすいです。
息つぎの場所を先に決めておく
16分音符がつづくところの前後で、どこで息をすうかを、先に決めておきましょう。楽譜や歌詞カードに、息つぎのしるしを書いておくと安心です。
息は、たっぷりすうよりも、少しずつこまめにすうほうが、こまかいリズムの曲には合うことが多いです。
ゆっくりから、少しずつ速くする
テンポをおとして練習する
こまかいリズムの練習で、いちばん大切なのは、ゆっくりからはじめることです。曲のテンポより、かなりおそいテンポで練習して、ことばとリズムがぴったり合うようにします。
ゆっくりで正しく歌えるようになったら、少しずつテンポを上げていきます。速くしたとたんにくずれるときは、1つ前のテンポにもどってかまいません。
むずかしいところだけを取り出す
1曲を通して歌うより、16分音符がつづく、むずかしいところだけを取り出して練習するほうが、早く歌いやすくなります。
- むずかしい2小節だけを、10回くりかえす
- その前の1小節から、つなげて歌う
- うしろの1小節まで、つなげて歌う
こうして、前後と少しずつつなげていくと、曲の中でも自然に歌えるようになります。
録音して聞いてみる
練習した歌をスマホで録音して、伴奏や手びょうしと合っているか聞いてみましょう。歌っているときには気づかなかった、前のめりやおくれに気づきやすくなります。
16ビートのノリを出すコツ
体を小さくゆらす
16ビートの曲では、体を小さくゆらしながら歌うと、ノリを感じやすくなります。大きく動かなくても、ひざを軽くまげのばしするだけで、きざみが体に入ってきます。
伴奏のこまかい音を聞く
伴奏の中の、こまかくきざんでいる音に耳をすませてみましょう。ドラムのこまかい音や、ギターのきざみなどです。その音にことばを合わせるつもりで歌うと、リズムがそろいやすくなります。
テンポの速い曲や、ことばの多い曲の歌い方は、こちらの記事でもくわしく紹介しています。アニメの歌を上手に歌うコツ。テンポの速い曲・高い音・ことばの多い曲
はねる曲かどうかをたしかめる
16ビートの曲の中には、16分のきざみを、同じ長さではなく、少しはねるように歌う曲もあります。お手本の歌や伴奏をよく聞いて、まっすぐなきざみか、はねるきざみかをたしかめてから練習しましょう。
お子様と練習するときのポイント
お子様が16分音符の多い曲を歌うときは、まず、リズムあそびとして楽しむのがおすすめです。
- お父様・お母様といっしょに、「タカタカ」とひざをたたく
- 好きなことばを、16分のリズムでとなえてみる
- ゆっくりできたら、ほめてあげる
速く歌えることよりも、リズムに合っていることを大切にしてあげてください。こまかいリズムで歌うと、つい力が入って、のどがつかれることもあります。のどの痛みやかすれが続くときは、むりをさせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 16分音符は、1拍を4つに分けた音。16ビートは、16分のきざみを感じるリズム
- 歌いにくい理由は、きざみを感じていない、ことばがつまる、息がたりない、あせりなど
- まずは「タカタカ」と口でとなえたり、手とひざでとったりして、きざみを体に入れる
- 歌詞はリズムだけ、読むだけ、メロディをつける、の順に重ねていく
- 拍の頭を少しだけ意識し、口の動きは小さめにする
- ゆっくりからはじめて、むずかしいところだけを取り出して練習する
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
16分音符や16ビートの曲が歌えるようになると、歌えるジャンルがぐっと広がります。練習した歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、リズムの練習の成果をたしかめるきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ