ステージの照明がまぶしいときの歌い方。客席が見えない中で落ちついて歌うコツ
「ステージに出たら、照明がまぶしくて、前がまっ白に見えた」 「客席が見えなくて、どこを見て歌えばいいのか、わからなくなった」
発表会やコンクールのステージでは、ふだんの練習ではまったく出会わない「光」があります。照明がまぶしいと、目線がふらふらしたり、まばたきが多くなったり、思ったより気持ちがゆれたりします。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、ステージの照明がまぶしいときに、歌う人ができることにしぼってお話しします。広い会場で声を届けるコツや、ホールのひびきについては、別の記事にまとめています。広い会場で声を届けるには。ホールで歌うときのコツ
照明は、歌う人をきれいに見せるためのものです。少しだけ準備をしておくと、まぶしさにおどろかず、いつもの歌を歌いやすくなります。
ステージの照明は、なぜまぶしいの?
歌う人に向けて、光を当てているから
ステージの照明は、客席から歌う人の顔や表情がよく見えるように、前や上から強い光を当てています。客席からはちょうどよく見えても、ステージに立つ人から見ると、光のほうを向くことになるので、とてもまぶしく感じます。
特に、客席のうしろや天井から顔に向けて当たる光は、目線の高さに近いので、まぶしさを感じやすいです。
客席が暗いので、よけいに見えにくい
本番中は、客席の明かりを落とすことが多いです。ステージは明るく、客席は暗いので、ステージに立つと客席がほとんど見えなくなります。
「お客様の顔が見えない」というのは、照明のしくみからすると、ふつうのことです。見えないことに気づいても、あわてなくてだいじょうぶです。
会場や演目によって、明るさはちがう
照明の明るさや向きは、会場や、その日のプログラムによってちがいます。小さなホールでも、前から強い光が当たることがありますし、大きなホールでも、やわらかい光のこともあります。同じ会場でも、出番によって光が変わることもあります。
「行ってみないとわからない」と思っておくと、当日の心の準備がしやすくなります。
まぶしいときの目線のおき方
客席のうしろの、少し上を見る
まぶしいときに、いちばん大切なのは「どこを見るか」を先に決めておくことです。
おすすめは、客席のいちばんうしろの、少し上あたりを見ることです。光の中心から少しずれたところに目線をおくと、まぶしさがやわらぎます。また、目線が少し上を向くので、あごが下がらず、声も前に出やすくなります。
ただし、あごを上げすぎると、のどに力が入ってしまいます。顔はまっすぐのまま、目線だけを少し上にするイメージです。
目じるしになるものを見つける
暗い客席でも、見えるものがあることが多いです。
- 客席のうしろにある出口の案内の明かり
- かべの時計や、うっすら見える手すり
- 照明の機械がある場所のまわり
こうした目じるしを、本番の前に見つけておくと、目線がふらふらしにくくなります。ただし、照明そのものをじっと見るのは、目がつかれるのでさけましょう。
目線は、ゆっくり動かしてよい
ずっと1か所を見つづけなくても、だいじょうぶです。歌のフレーズの区切りで、右の方、まん中、左の方と、ゆっくり目線を動かすと、客席全体に語りかけているように見えます。
まぶしさで目をほそめたり、下を向いたりするよりも、少しずつ目線を動かしたほうが、表情がやわらかく見えます。
本番の前にたしかめておきたいこと
リハーサルや場当たりがあれば、光の中に立ってみる
会場で、ステージに立ってたしかめる時間(リハーサルや場当たり)があるときは、照明がついた状態で立ってみることがいちばんです。
- どのくらいまぶしいか
- どこを見ると、楽に歌えそうか
- 自分の立ち位置に、光がきちんと当たっているか
- 足もとは見えるか
照明の当たり方は、本番とリハーサルで少しちがうこともあります。それでも、一度光の中に立っておくと、本番のおどろきがぐっと小さくなります。
立ち位置の目じるしをたしかめる
ステージの床には、立ち位置の目じるしとしてテープがはってあることがあります。照明は、その位置に合わせて当てていることが多いので、目じるしからはなれると、顔が暗く見えてしまうことがあります。
入場のときに、テープの位置をちらっとたしかめておきましょう。おじぎや入場・退場の流れは、こちらの記事にもまとめています。ステージでのおじぎ・入場・退場のマナー。子どものはじめての本番に
リハーサルがないときは、イメージしておく
コンクールなどでは、ステージでたしかめる時間がないこともあります。そんなときは、「前がまぶしくて、客席は暗い」とイメージしてから出ていくだけでも、心の準備になります。
ほかの人が歌っているときに、客席やそでから、照明がどこから当たっているかを見ておくのも、よいヒントになります。
照明の熱と、のどの守り方
光の下は、思ったより暑い
強い照明の下は、明るいだけでなく、あたたかく感じることがあります。衣装によっては、歌っているうちに汗をかくこともあります。
暑さで息があがったり、口がかわいたりすると、声も出しにくくなります。
出番の前に、のどをうるおしておく
出番の前に、水を少しずつのんで、のどをうるおしておきましょう。いっきにたくさんのむより、こまめに少しずつのほうがおすすめです。
- そでに入る前に、水を少しのむ
- 口の中がかわきやすい方は、出番の前に口をゆすぐ
- 衣装は、暑くなりすぎないものをえらぶ
本番中に口がかわいたときの工夫は、別の記事でもくわしく書いています。歌ったあと、のどの痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
目がつらいときは、むりをしない
まぶしさで、目がしょぼしょぼしたり、なみだが出たりすることもあります。光を直接見つづけないようにして、歌の合間にゆっくりまばたきをすると、少し楽になります。目の痛みが続くときは、むりをせず、お医者さんに相談してください。
楽譜や歌詞を見るときの工夫
照明が紙に反射して、見えにくいことがある
合唱や、楽譜を持って歌うステージでは、照明の光が紙に反射して、文字が見えにくくなることがあります。黒いファイルに入れたり、つやの少ない紙をつかったりすると、反射がやわらぎます。
ただし、ファイルのとうめいなカバーは、かえって光を反射することがあります。リハーサルでたしかめておくと安心です。
できるだけ、前を向いて歌えるように
楽譜ばかり見ていると、顔が下がり、照明が顔に当たりにくくなって、表情が暗く見えてしまいます。
- 歌い出しや、歌詞をまちがえやすいところだけ楽譜を見る
- それ以外は、顔を上げて前を見る
- 譜面台をつかうときは、高さを少し上げる
こうした工夫で、光の中でも、明るい表情のまま歌いやすくなります。
客席が見えないことを、味方にする
見えないほうが、緊張しにくい人もいる
「お客様の顔が見えないと不安」という方もいれば、「見えないほうが、気にならなくて歌いやすい」という方もいます。
客席が見えないときは、目の前に、だいすきな人が1人すわっているとイメージして、その人に向けて歌ってみてください。だれに向けて歌うかが決まると、声に気持ちがのりやすくなります。
拍手が聞こえたら、まずは笑顔で
客席が見えなくても、拍手の音はよく聞こえます。歌い終わったら、拍手のほうに向かって、ゆっくりおじぎをしましょう。見えないからこそ、音でお客様とつながることができます。
お子様がはじめてステージに立つとき
「まぶしいよ」と先に伝えておく
小さなお子様は、まぶしさにおどろいて、目をつぶったり、立ち止まったりすることがあります。本番の前に、お父様・お母様から「ステージは明るくて、まぶしいよ」「お客さんは暗くて見えないけれど、ちゃんと聞いているよ」と伝えておくと、安心しやすくなります。
見る場所を、いっしょに決めておく
「いちばんうしろの、緑の明かりのあたりを見ようね」など、見る場所をいっしょに決めておくのもおすすめです。おうちで練習するときも、かべの1か所を目じるしにして、そこを見ながら歌う練習をしておくと、本番でも目線がおちつきやすくなります。
おうちで練習するときに、明るいライトを顔に当てるようなことは、目によくないのでさけてください。
終わったら、がんばったことをほめる
まぶしい中で歌いきれたことは、それだけで大きながんばりです。結果よりも、「明るい中で、前を向いて歌えたね」と、できたことを言葉にして伝えてあげてください。
まとめ
- ステージの照明がまぶしく、客席が見えないのは、照明のしくみからするとふつうのこと
- 目線は、客席のうしろの少し上におき、照明そのものは見つめない
- 出口の案内の明かりなど、目じるしを先に見つけておく
- リハーサルがあれば、照明の中に立って、立ち位置とまぶしさをたしかめる
- 照明の下は暑くなりやすいので、出番の前に水でのどをうるおす
- 楽譜の反射に気をつけ、できるだけ顔を上げて歌う
- お子様には「まぶしいよ」と先に伝え、見る場所をいっしょに決めておく
ステージの照明は、はじめはおどろくかもしれませんが、少しずつなれていけるものです。会場に行かなくても歌を聞いてもらえる場として、こどもの歌声グランプリもあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、ステージの前の腕だめしとしても、気軽にチャレンジしてみてください。こどもの歌声グランプリ