シニアの声を若々しくたもつ毎日の習慣。話す・歌う・笑う
「最近、声が小さくなったと言われる」 「電話で聞き返されることがふえた」 「昔のように、声がすっと出なくなった気がする」
年をかさねると、声の出方がかわってきたと感じる方は多いと思います。声も、体と同じように、使わないでいると出しにくくなることがあると言われています。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。歌の場には、子どもから大人、シニアの方まで、いろいろな年代の方がいます。声は、年れいに関係なく、ふだんの使い方で、感じ方がかわってくるものだと思います。
この記事では、シニアの声を若々しくたもつために、毎日の暮らしの中でできる習慣をまとめました。ボイトレの教室で習うような練習ではなく、「話す・歌う・笑う」という、ふだんの生活でできることにしぼってお話しします。
年をかさねると、声はどうかわる?
よくあるなやみ
年をかさねると、こんなふうに感じる方が多いようです。
- 声が小さくなった
- 声がかすれやすい
- 高い声が出にくくなった
- 長く話すと、つかれる
- 朝、声が出にくい
こうした変化は、年をかさねると多くの方が感じるものです。体の筋肉と同じように、声を出すときに使う体の部分も、年れいとともにかわっていくと言われています。
「話さない日」がふえていないか
仕事をはなれたり、ひとりですごす時間がふえたりすると、1日の中で声を出す時間が少なくなることがあります。「今日はほとんど話さなかった」という日が続くと、声が出しにくく感じることもあります。
声をたもつために大切なのは、特別な練習より、毎日少しずつ声を出すことです。
習慣1 話す
1日の中で「声を出す時間」をつくる
まずは、毎日、声を出す時間をつくることからはじめましょう。むずかしいことをする必要はありません。
- 朝、家族や近所の方に、はっきり「おはようございます」とあいさつする
- 電話で、家族や友人と話す
- お店の人に「ありがとう」と声をかける
- テレビのニュースに、ひとりごとで返事をしてみる
小さなことでも、毎日声を出すことが、声をたもつ土台になります。
声に出して読む
新聞や本、雑誌を、声に出して読んでみるのもおすすめです。1日に数分でもかまいません。ゆっくり、はっきり、ことばの1つ1つをていねいに読むようにしましょう。
読むときは、背すじを軽くのばし、紙を少し目の高さに近づけて持つと、うつむかずに読めて、声が前に出やすくなります。
口をしっかり動かして話す
年をかさねると、口の動きが小さくなり、ことばがはっきりしなくなることがあります。話すときは、いつもより少しだけ口を大きく動かすことを意識してみてください。
鏡の前で「あ・い・う・え・お」と、口の形をたしかめながらゆっくり言ってみるのもよい方法です。顔のまわりがほぐれて、話しやすくなります。
相手の顔を見て話す
うつむいて話すと、声がこもって聞きとりにくくなります。相手の顔を見て、少し顔を上げて話すと、声が前に届きやすくなります。
習慣2 歌う
好きな歌を1日1曲
歌うことは、声を出すよい習慣になります。好きな歌を、1日に1曲だけ歌ってみましょう。上手に歌う必要はまったくありません。楽しく、気持ちよく歌えることが、いちばん大切です。
なつかしい歌や、季節の歌、若いころに聞いていた歌など、口ずさみたくなる曲をえらんでみてください。
無理のない高さで歌う
昔と同じ高さで歌おうとすると、のどに力が入ってしまうことがあります。カラオケなどでは、キーを下げて、らくに出せる高さで歌いましょう。らくな高さで歌うほうが、声も気持ちよくひびきます。
ハミングから歌いはじめる
いきなり歌い出すより、口をとじて「んー」とハミングをしてから歌いはじめると、のどにやさしく声を出しやすくなります。顔のまわりがかるくひびく感じがあれば、じゅうぶんです。
みんなで歌う場に出かける
歌の会や合唱、カラオケのサークルなど、みんなで歌える場に出かけるのもおすすめです。人と声を合わせる楽しさがあり、出かけるきっかけにもなります。会話がふえるのも、声をたもつうえでうれしいことです。
シニアのボイトレについては、こちらの記事でくわしくまとめています。シニアのボイトレ。声の若さをたもつ、やさしい発声練習
習慣3 笑う
笑うと、声を出す体がほぐれる
声を出して笑うと、おなかや胸、顔のまわりがよく動きます。大きな声で笑うことは、それだけで声を出すことになります。
楽しいテレビ番組を見たり、家族や友人とおしゃべりしたりして、声を出して笑う時間をふやしてみましょう。
笑顔で話すと、声が明るくなる
口角を少し上げて話すと、声が明るく聞こえやすくなります。電話のときも、笑顔で話すと、相手に声のあたたかさが伝わりやすくなります。
人と会う機会を大切に
笑う時間は、人とのかかわりの中で生まれることが多いです。趣味の集まりや地域の行事など、人と会う機会を大切にすることが、声をたもつことにもつながります。
声を守るための、ふだんの心がけ
のどをうるおす
のどが乾燥すると、声が出にくくなります。こまめに水やお茶をのんで、のどをうるおしておきましょう。部屋が乾燥する季節は、加湿器をつかったり、ぬれたタオルを干したりするのもおすすめです。
姿勢をととのえる
背中がまるくなると、息がすいにくくなり、声も小さくなりがちです。いすにすわるときは、深くこしかけて、背すじを軽くのばしましょう。立つときも、頭が上から軽くひっぱられているイメージをもつと、姿勢がととのいやすくなります。
ゆっくり息をはく
声は、息にのって出ています。1日に何回か、ゆっくり息をすって、細く長く息をはく時間をつくってみましょう。息をはくことになれてくると、話すときや歌うときも、らくに声が出しやすくなります。
体を動かす
散歩や軽い体操など、体を動かす習慣も、声をたもつことにつながると言われています。体が元気だと、声にも元気が出やすくなります。
無理をしない
声を出す習慣は、毎日少しずつ続けることが大切です。大きな声を長い時間出しつづけるなど、無理な使い方はさけましょう。声のかすれや、のどの痛み、飲みこみにくさなどが続くときは、自己判断せず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
毎日の習慣を続けるコツ
「ついで」に組みこむ
新しい習慣は、ふだんの生活の「ついで」に組みこむと続けやすくなります。
- 朝の新聞を読むついでに、1つの記事を声に出して読む
- 料理をしながら、好きな歌を口ずさむ
- お風呂で、ハミングをする
- 散歩のとちゅうで、会った人にあいさつする
記録をつけてみる
カレンダーに、「歌った日」「声に出して読んだ日」に印をつけていくと、続けるはげみになります。ときどきスマホで自分の声を録音しておくのもおすすめです。
楽しいことを中心に
声をたもつ習慣は、「がんばる練習」ではなく、「楽しい時間」にすることが、長く続けるコツです。好きな歌、好きな人との会話、笑える時間。そうしたものを、毎日の中に少しずつふやしていきましょう。
ご家族といっしょにできること
話しかける時間をふやす
ご家族がシニアの方の声を気にかけているときは、まず話しかける時間を少しふやしてみてください。「今日はどうだった?」「この前の話、もう一度聞かせて」など、相手がたくさん話せるような声かけをすると、自然と声を出す時間がふえます。
電話やビデオ通話をつかう
はなれて暮らしているご家族なら、電話やビデオ通話もよい方法です。週に1回でも、決まった曜日に話す時間をつくると、楽しみにしてもらえることが多いです。お孫さんといっしょに歌を歌うのも、声を出すうれしい時間になります。
「声が小さい」とせめない
声が聞きとりにくいとき、「声が小さいよ」「もっと大きな声で」とくりかえし言われると、話すこと自体がおっくうになってしまうことがあります。聞こえにくいときは、近くに行って聞いたり、テレビの音を小さくしたりと、聞く側が工夫することも大切です。
まとめ
- 年をかさねると、声が小さい、かすれるなどの変化を感じやすい
- 声をたもつには、特別な練習より、毎日少しずつ声を出すことが大切
- 話す:あいさつ、電話、声に出して読む、口をしっかり動かす
- 歌う:好きな歌を1日1曲、らくな高さで、みんなで歌う場にも出かける
- 笑う:声を出して笑う、笑顔で話す、人と会う機会を大切にする
- のどをうるおし、姿勢と息をととのえる
- かすれや痛みが続くときは、お医者さんに相談する
歌う習慣をもっと楽しみたい方は、近くの歌の教室やサークルをさがしてみてはいかがでしょうか。歌の教室さがしまた、こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるコンクールで、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、毎日の歌の時間の、ちょっとした目標にしてみるのも楽しいと思います。こどもの歌声グランプリ