三線と歌う沖縄の歌。はじめての方の楽しみ方と、沖縄民謡の歌い方
「三線を弾きながら、沖縄の歌を歌ってみたい」 「三線の歌は初心者でもできるのかな。沖縄民謡の歌い方がよくわからない」
ゆったりとした三線の音と、のびやかな歌声。沖縄の歌には、聞いているだけで心がほどけるような、やさしい魅力があります。旅行で聞いて、「自分でもやってみたい」と思った方もいるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、三線と沖縄の歌にしぼって、はじめての方の楽しみ方をお話しします。三線のきほん、楽譜の読み方、沖縄民謡の歌い方のコツ、そして、はじめての方が無理なく続けるための工夫をまとめました。
三線ってどんな楽器?
3本の糸をもつ、沖縄の弦楽器
三線(さんしん)は、沖縄で古くから親しまれてきた弦楽器です。その名前のとおり、3本の糸(弦)があり、指にはめた爪(つめ)などで弾いて音を出します。
- 胴(どう)と呼ばれる丸い部分に、皮がはってある
- 3本の糸は、太い順に、男絃(うーじる)・中絃(なかじる)・女絃(みーじる)と呼ばれる
- ギターのような「フレット」がないので、指をおさえる場所をおぼえていく
見た目は小さくても、あたたかく、よくひびく音がします。
歌といっしょに弾くことが多い
三線は、楽器だけで弾くこともありますが、多くの場合、歌いながら弾きます。三線のメロディは、歌のメロディと近いことが多いので、歌と三線が寄りそうように、いっしょに進んでいきます。
つまり、三線を習うことは、沖縄の歌を習うことでもあるのです。
三線の楽譜「工工四(くんくんしー)」
漢字で書かれた楽譜
三線では、五線の楽譜ではなく、「工工四(くんくんしー)」と呼ばれる楽譜をよく使います。マスの中に、「合」「乙」「老」「四」「上」「中」「尺」「工」などの漢字が書かれていて、それぞれの漢字が、どの糸のどこをおさえるかを表しています。
- 上から下へ、右の列から左の列へと読んでいく
- 1つのマスが、1つの拍を表すことが多い
- 歌の歌詞が、漢字のよこに書かれていることもある
はじめは見なれない形におどろくかもしれません。でも、漢字と指の場所がむすびつけば、楽譜を読むのはそれほどむずかしくありません。
五線の楽譜がわからなくても、だいじょうぶ
工工四は、五線の楽譜を読めなくても使えるのが、うれしいところです。音楽の経験がない方でも、はじめやすい楽器だといわれることが多いです。
沖縄民謡の歌い方のコツ
沖縄らしい音の流れを感じる
沖縄の歌の多くは、「琉球音階」と呼ばれる、独特の音のならびでできています。ドレミでいうと、「ド・ミ・ファ・ソ・シ」の音をよく使い、明るく、どこかなつかしい響きになります。
歌う前に、沖縄の歌をたくさん聞いて、この音の流れに耳をなじませておきましょう。何度も聞いているうちに、自然と口ずさめるようになっていきます。
地声を中心に、のびやかに
沖縄民謡は、ふだん話す声に近い、地声を中心に歌うことが多いです。おなかから、ゆったり息をはくように声を出すと、のびやかに聞こえます。
- 肩の力をぬいて、背すじを軽くのばす
- 口を横にひろげすぎず、自然にあける
- 声をはり上げず、遠くへ声を届けるイメージで歌う
節回し(こぶし)は、少しずつ
沖縄の歌には、1つのことばの中で、音を細かくゆらしたり、上げ下げしたりする「節回し」がよく出てきます。また、高い音で、ふっと裏声にかわるところがあるのも、特ちょうの1つです。
はじめから、すべてをまねしようとしなくても、だいじょうぶです。
- まずは、メロディをシンプルに歌えるようにする
- 次に、音源をよく聞いて、ゆれる音をゆっくりまねする
- 裏声にかわるところは、力をぬいて、そっと声を移す
節回しは、先生や音源をくり返しまねしながら、少しずつ身につけていくものです。
はやしことばを、楽しんで
沖縄の歌には、歌の合間に入る、かけ声のような「はやしことば」がよく出てきます。意味よりも、リズムや気分を楽しむことばです。元気よく、楽しそうに入れると、歌がいきいきとしてきます。
みんなで歌うときは、はやしことばの部分だけ、全員で声を合わせるのも楽しいです。
方言のことばを、大切に
沖縄の歌は、沖縄のことば(方言)で歌われるものが多いです。標準語とはちがう発音のことばもあるので、歌詞の読み方と意味を、先に確かめておきましょう。
ことばの意味がわかると、どんな景色や気持ちを歌っているのかが見えてきて、歌い方も自然とかわってきます。
はじめての方の曲のえらび方
作者のわからない、古い民謡から
沖縄には、むかしから歌いつがれてきた、作者のわからない古い民謡がたくさんあります。はじめての方は、そうした歌の中から、ゆっくりで、短めの曲をえらぶのがおすすめです。
たとえば、「てぃんさぐぬ花」は、親から子へと大切な教えを伝える、わらべうたとして知られる歌です。ゆったりしたテンポで、三線の初心者が最初のころに習うことも多い曲です。
また、「かぎやで風(かじゃでぃふう)」は、お祝いの席で、はじめに演奏されることが多い歌です。おめでたい場で大切にされてきた、格調のある曲です。
どの曲から習うかは、教室や先生によってちがいます。
えらぶときのめやす
- テンポがゆっくりな曲
- 三線のおさえる場所が少ない曲
- 自分が聞いていて「好きだな」と思える曲
好きな曲は、練習していても楽しく、続ける力になります。
三線と歌を合わせる練習のしかた
はじめは、三線と歌を分けて
三線を弾きながら歌うのは、はじめのうちは、少しむずかしく感じるかもしれません。
- まずは、三線だけで、ゆっくり曲を通して弾く
- 次に、歌だけで、メロディとことばをおぼえる
- 最後に、ゆっくりのテンポで、三線と歌を合わせる
三線を弾きながら、口ずさむ
三線のメロディは歌と近いので、三線を弾きながら、小さな声で口ずさむ練習もおすすめです。指の動きとメロディが、だんだん体の中でむすびついていきます。
歌いはじめの高さを決める
三線は、糸の張り方をかえて、全体の音の高さを調整できます。自分の声に合わない高さで歌いつづけると、のどに負担がかかりやすくなります。はじめのうちは、先生に「どの高さが歌いやすいか」をいっしょに見てもらうと安心です。
録音して聞いてみる
三線と歌を合わせられるようになったら、スマホで録音してみましょう。三線の音が大きすぎて歌が聞こえにくくなっていないか、リズムが急いでいないかを、落ちついてたしかめられます。
姿勢も大切に
三線は、すわって弾くことが多い楽器です。背中がまるくなると、息がすいにくくなり、声も出しにくくなります。いすや床にすわったら、背すじを軽くのばし、肩の力をぬいて構えましょう。
三線と沖縄の歌の楽しみ方
沖縄の行事や季節を知る
沖縄の歌の中には、お祝いの席やお盆の行事など、くらしの中の場面とむすびついているものがあります。歌の背景を知ると、その歌をもっと大切に歌いたくなると思います。
仲間と歌う
三線は、何人かで合わせて弾くと、音がとても豊かにひびきます。教室の仲間や家族と、いっしょに弾いて歌う時間は、きっと楽しいものになると思います。
習い方をえらぶ
三線は、教室で先生に習う方法のほか、オンラインのレッスンや、教本・動画を見ながら練習する方法もあります。節回しや、楽器の持ち方は、先生に直接みてもらうと身につきやすいことが多いです。
民謡全体の歌い方の特ちょうや習い方は、こちらの記事でもまとめています。民謡をはじめたい。民謡の歌い方の特ちょうと、習い方
歌うときに気をつけたいこと
のどに無理をさせない
沖縄民謡は、のびやかに声を出す歌が多いので、長く歌いつづけると、のどがつかれることがあります。
- こまめに水をのんで、のどをうるおす
- 高い音や裏声は、むりに出さない
- 声がかすれてきたら、その日はおしまいにする
痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
指のいたみにも気をつけて
三線を弾きはじめのころは、糸をおさえる指が痛くなることがあります。むりに長い時間弾かず、少しずつ時間をのばしていきましょう。
まとめ
- 三線は、3本の糸をもつ沖縄の弦楽器。歌といっしょに弾くことが多い
- 楽譜は「工工四」という漢字の楽譜。五線が読めなくても、はじめやすい
- 沖縄民謡の歌い方は、地声を中心に、のびやかに
- 節回しや裏声は、音源や先生をまねしながら、少しずつ
- はじめは、ゆっくりで短い、古い民謡から
- のどや指の痛みが続くときは、むりをせず休む。のどはお医者さんに相談する
三線と沖縄の歌は、何歳からでも、ゆっくり楽しめます。節回しや声の出し方を習ってみたくなったら、近くの教室をさがしてみてください。歌の教室さがしそして、練習した歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ