民謡をはじめたい。民謡の歌い方の特ちょうと、習い方
「民謡を歌ってみたいけれど、どうやってはじめたらいいの?」 「民謡の歌い方って、ふつうの歌とどうちがうの?」
おまつりや盆おどりで聞く民謡に、心をひかれる方は多いと思います。ふるさとの歌をもう一度歌ってみたい方、和楽器といっしょに歌ってみたい方、お子様に日本の歌を伝えたい方など、民謡をはじめるきっかけはさまざまです。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌にはいろいろなジャンルがありますが、民謡には、ほかの歌にはない、とくべつな味わいがあると感じています。
この記事では、民謡の歌い方の特ちょう、おうちでできる練習、民謡が上手くなるためのコツ、そして民謡を習うときの教室えらびのポイントをまとめます。
民謡とは?
昔から歌いつがれてきた、くらしの歌
民謡は、昔から人びとのくらしの中で歌いつがれてきた歌です。だれが作ったのかわからないものが多く、口から口へと伝えられてきました。
- 田植えや漁など、しごとのときに歌った歌
- おまつりや盆おどりで歌う歌
- 子どもをあやすときの歌
- お祝いの席で歌う歌
たとえば、北海道の「ソーラン節」は、ニシン漁のときに歌われていたと伝えられています。富山の「こきりこ節」は、とても古くから伝わる歌として知られています。このように、民謡には、その土地のくらしや風景がつまっています。
地いきによって、歌い方がちがう
民謡は、地いきごとに、ことばやリズム、節まわしがちがいます。同じ曲でも、伝わってきた土地や、教える先生によって、少しずつ歌い方がことなることもあります。「これが正しい」というひとつの形があるわけではないのも、民謡のおもしろさです。
民謡の歌い方の特ちょう
1. 地声を生かした、まっすぐな声
民謡では、話し声に近い、地声を生かした声で歌うことが多いです。声楽のように、頭のほうへひびかせる歌い方とは、少しちがいます。
外で、たくさんの人に聞こえるように歌ってきた歌なので、遠くまでとどく、はりのある声が好まれます。ただ、「大きな声」と「どなる声」はちがいます。のどに力を入れすぎず、息にのせて声をとばすイメージが大切です。
2. こぶし(小さな音のゆれ)
民謡の大きな特ちょうが「こぶし」です。こぶしは、ひとつの音の中で、声を細かく上げ下げして、節に味わいをつける歌い方です。
演歌のこぶしと似ていますが、民謡のこぶしは、曲や地いきによって、つけ方がずいぶんちがいます。はじめから、たくさんつけようとしなくてもだいじょうぶです。まずは、先生のお手本をよく聞いて、少しずつまねしていくのがよいと思います。
演歌・歌謡曲のこぶしについては、こちらの記事でもふれています。演歌・歌謡曲の歌い方のコツ。こぶし・ビブラート・ことばの伝え方
3. 長くのばす音と、息のつかい方
民謡には、ひとつの音を長くのばしたり、ゆったりと節をまわしたりする曲がたくさんあります。とくに、リズムにしばられず、自由にうたう曲(「追分(おいわけ)」のような曲)では、息を長く、なめらかにつかうことが大切です。
4. はやしことば・かけ声
「ハイハイ」「ヤーレン」「ア、ヨイショ」など、歌の合間に入るかけ声を「はやしことば」といいます。歌う人と、はやす人が分かれていることも多く、みんなでいっしょに楽しめるのが民謡のよさです。
はやしことばは、元気よく、リズムにのって入れるのがコツです。歌の気分をもり上げる、大事な役わりがあります。
5. 楽譜より「耳」でおぼえる
民謡は、もともと口伝えで広まった歌なので、楽譜を見ながらより、聞いておぼえることが多いです。教室でも、先生が歌ったあとに、まねして歌う形ですすめることがよくあります。楽譜が読めなくても、はじめやすいジャンルといえます。
民謡が上手くなるための練習とコツ
たくさん聞いて、節まわしを耳に入れる
民謡が上手くなるいちばんの近道は、よく聞くことです。同じ曲を、何回もくりかえし聞いてみましょう。
- まずは、歌全体の流れをつかむ
- 次に、のばす音やこぶしの場所に気をつける
- 声の強さや、息をすうところを聞きとる
聞いているうちに、節まわしが自然と体に入ってきます。
短く区切って、まねして歌う
いきなり1曲を通して歌うより、ひとくぎりずつ、まねして歌うほうがおぼえやすくなります。お手本を少し聞いて、とめて、歌ってみる。これをくりかえします。
姿勢と息をととのえる
民謡は、すわって歌うこともあれば、立って歌うこともあります。どちらの場合も、背すじをのばし、肩の力をぬくと、息をらくにつかいやすくなります。正座で歌うときは、足がしびれないよう、むりのない時間で練習しましょう。
録音して聞いてみる
自分の歌をスマホで録音して、お手本とくらべてみると、ちがいに気づきやすくなります。「こぶしが強すぎるかな」「のばす音がゆれているかな」など、自分で気づけることが、上達につながります。
のどにむりをさせない
地声で、はりのある声を出そうとすると、のどに力が入りやすくなります。練習のあとに、のどがつかれたと感じたら、声を休めましょう。痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
民謡を習うには
民謡の教室・サークル
民謡は、地いきの教室やサークル、カルチャーセンターなどで習えることが多いです。和楽器の教室で、三味線や尺八といっしょに民謡を教えているところもあります。
- 先生ひとりに、少人数で習うグループレッスン
- 先生とふたりで習う、個人レッスン
- 地いきの保存会や、おまつりの歌の会
習い方は、教室によってさまざまです。月の回数や費用も、教室によってちがいます。
教室えらびで見ておきたいこと
- 習いたい地いきの民謡や、歌いたい曲を教えているか
- 三味線や太鼓の伴奏で歌う練習ができるか
- 先生の教え方が、わかりやすいか
- はじめての人でも、入りやすいふんいきか
- 発表会や舞台に出る機会があるか、それが自分に合っているか
- 着物など、そろえるものがあるか
見学や体験ができる教室なら、まずは一度、ようすを見に行ってみるのがおすすめです。近くの教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
お子様が民謡を習うとき
民謡は、お子様からシニアまで、はば広い年れいの方が楽しんでいます。お子様には、元気なはやしことばや、手びょうしをしながら歌える曲から入ると、楽しく続けやすいと思います。
小さなお子様の声は、まだやわらかくデリケートです。大人と同じように、大きな声や高い声を長く出しつづけないよう、お父様・お母様が見てあげてください。
シニアの方にも
民謡は、ゆったりした曲も多く、なじみのある節まわしが多いので、シニアの方にも人気があります。なかまといっしょに歌ったり、おまつりで歌ったりと、地いきとのつながりが生まれるのも、民謡のよさのひとつです。
よくある疑問
声が小さくても、民謡はできる?
できます。民謡の声は、のどの力だけで出すものではなく、息のつかい方やひびかせ方で、少しずつ遠くへとどくようになっていきます。はじめは、らくに出せる声で歌ってみてください。
方言の歌詞がむずかしい
民謡には、その土地のことばがたくさん出てきます。意味がわからないときは、先生に聞いたり、歌詞の意味をしらべたりしてみましょう。どんな場面の歌なのかがわかると、気持ちをこめて歌いやすくなります。
民謡と演歌は、どうちがう?
どちらも、こぶしをつかう日本の歌ですが、民謡は昔から伝わるくらしの歌、演歌は作曲家や作詞家がつくった歌、というちがいがあります。声の出し方やこぶしのつけ方にも、それぞれの特ちょうがあります。
まとめ
- 民謡は、昔からくらしの中で歌いつがれてきた歌で、地いきごとに歌い方がちがう
- 歌い方の特ちょうは、地声を生かした声、こぶし、長くのばす音、はやしことば
- 民謡が上手くなるには、たくさん聞いて、短く区切ってまねして歌うのが近道
- 地声で歌うときは、のどに力を入れすぎないように気をつける
- 民謡を習うなら、教室やサークルで見学・体験をしてからえらぶと安心
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
民謡は、何歳からでもはじめられ、なかまといっしょに楽しめる歌です。まずは、気になる教室をさがして、見学や体験に行ってみてください。歌の教室さがし練習した歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由なので、民謡でも応募できます。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ