耳が聞こえにくくなっても歌を楽しむ。シニアの方の工夫
「最近、耳が聞こえにくくなって、伴奏に合わせて歌うのがむずかしい」 「みんなとずれていないか気になって、歌の会に行くのがおっくうになった」
年齢をかさねると、耳の聞こえ方がかわってくることがあります。歌が好きだった方ほど、思うように歌えなくなったと感じて、さびしい気持ちになるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、耳が聞こえにくい高齢者の方が、歌を楽しむための工夫をまとめます。難聴があっても歌を楽しむために、音の聞き方、歌う場所の環境、歌の会や教室での工夫、そしてご家族ができることについてお話しします。
耳の聞こえ方がかわっても、歌を楽しむ方法はあります。できないことより、できることに目を向けて、ご自分らしい歌の楽しみ方をさがしてみましょう。
耳が聞こえにくくなったと感じたら
まずは耳鼻科や専門家に相談を
聞こえにくさを感じたら、まずは耳鼻科のお医者さんに相談してみてください。聞こえにくさの理由は人によってちがい、自分では判断しにくいものです。
補聴器などの聞こえを助ける道具について知りたいときも、お医者さんや、補聴器をあつかう専門のお店の方に相談するのがおすすめです。音楽を楽しみたいことを伝えておくと、それに合わせた相談にのってもらえることもあります。
聞こえにくさは、人それぞれ
ひとくちに「聞こえにくい」といっても、その感じ方はさまざまです。
- 高い音が聞こえにくい
- 小さな音が聞こえにくい
- まわりがざわざわしていると、聞き分けにくい
- 片方の耳だけ聞こえにくい
- 音は聞こえるけれど、ことばがはっきりしない
ご自分がどんなときに聞こえにくいのかを知っておくと、歌うときの工夫も考えやすくなります。
歌うときに感じやすいこまりごと
伴奏やまわりの声に合わせにくい
伴奏の音や、まわりの人の声が聞こえにくいと、歌い出しのタイミングや、音の高さを合わせるのがむずかしく感じることがあります。
自分の声の大きさがわかりにくい
自分の声が聞こえにくいと、知らないうちに大きな声になったり、反対に小さくなったりすることがあります。大きな声を出しつづけると、のどがつかれてしまうこともあるので、気をつけたいところです。
音の高さがずれていないか気になる
聞こえにくさがあると、自分の音程が合っているのか、不安になることがあります。その不安から、歌うこと自体をためらってしまう方もいます。
音を聞きやすくする工夫
音の出るところに近づく
ピアノやスピーカーなど、音の出るところに近い席にすわると、伴奏を聞きとりやすくなります。歌の会や合唱では、聞こえやすい方の耳を、伴奏の方に向けるようにすわるのもよいと思います。
静かな場所をえらぶ
まわりがざわざわしていると、音を聞き分けにくくなります。
- 窓の外の音や、エアコンの音が少ない部屋をえらぶ
- テレビやラジオを消してから練習する
- 人数が少ない時間帯をえらぶ
おうちで練習するときは、静かな時間を見つけて歌うと、音をとらえやすくなります。
イヤホンやヘッドホンを使う
おうちで歌の練習をするときは、イヤホンやヘッドホンで伴奏を聞くと、音がはっきり聞こえることがあります。ただし、音を大きくしすぎると耳の負担になるので、音量はひかえめにしてください。補聴器を使っている方は、使い方をお店の方やお医者さんに相談してから、ためしてみてください。
イヤホンやヘッドホンを使う練習のコツは、こちらの記事にもまとめています。歌の練習でイヤホン・ヘッドホンを使うコツ。音量・片耳・録音との組み合わせ方
音だけにたよらない歌い方
目で合わせる
耳だけでなく、目からも合図を受けとると、歌いやすくなります。
- 指揮をする人や、伴奏をする人の手の動きを見る
- となりの人の口の動きを見る
- 歌い出しの合図を、手や目で送ってもらう
歌の会では、前に立つ方の動きが見える席にすわるのがおすすめです。
体でリズムを感じる
リズムは、耳だけでなく、体でも感じることができます。
- 歌いながら、ひざを軽くたたく
- 足で、ゆっくりリズムをとる
- ピアノのそばで、ふるえを感じる
体でリズムを感じると、まわりと合わせやすくなることがあります。
歌詞と楽譜を大きくして見る
歌詞カードや楽譜の文字を大きくすると、目で追いやすくなります。歌詞を見ながら歌うと、いまどこを歌っているのかがわかりやすく、安心して歌えます。見やすい歌詞カードの作り方は、教室や歌の会の方に相談してみてもよいと思います。
よく知っている歌をえらぶ
むかしからよく知っている歌は、メロディが頭に入っているので、伴奏が聞こえにくくても歌いやすいことが多いです。新しい歌に挑戦するのもすてきですが、まずはなつかしい歌から楽しむのもおすすめです。
自分の声との付き合い方
のどに力を入れすぎない
自分の声が聞こえにくいと、つい大きな声を出そうとしてしまいます。のどに力が入ると、声がかすれたり、つかれたりしやすくなります。
- 肩の力をぬいて、らくな姿勢で歌う
- 声の大きさは、まわりの人に聞いてたしかめる
- のどがつかれたら、休む
痛みやかすれが続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
録音して聞いてみる
自分の歌を録音して、音量を上げて聞いてみると、歌っているときには気づかなかったことがわかることがあります。ご家族や先生にいっしょに聞いてもらうのもよいと思います。
声の振動を感じる
歌うとき、のどや胸に手を軽く当ててみると、声のふるえを感じることができます。耳だけでなく体の感覚でも、自分の声をたしかめてみてください。
歌の会や教室での工夫
先生や歌の会の方に伝えておく
聞こえにくさがあることを、先生や歌の会のまとめ役の方に伝えておくと、席の位置や合図の出し方を工夫してもらいやすくなります。
- 「右の耳のほうが聞こえやすいです」
- 「伴奏の近くにすわらせてもらえると助かります」
- 「歌い出しの合図を、手で出してもらえるとうれしいです」
伝えるのは少し勇気がいるかもしれませんが、伝えることで、ご自分もまわりの方も安心して歌えるようになります。
少人数の教室や個人レッスンをえらぶ
大人数の歌の会では、音がまざって聞き分けにくいこともあります。少人数の教室や、先生と一対一の個人レッスンなら、先生の声や伴奏を聞きとりやすく、ご自分のペースですすめやすいと思います。
シニアの方の歌の教室えらびについては、こちらの記事でまとめています。シニアの歌の教室えらび。カラオケ教室・ボイトレ・声楽・合唱のちがいと、自分に合う教室の見つけ方
聞こえにくくても楽しめる、歌の楽しみ方
歌の楽しみ方は、大勢で合わせて歌うことだけではありません。聞こえ方に合わせて、ご自分が楽しめる形をえらんでみてください。
ひとりで、好きな歌を口ずさむ
伴奏に合わせることを気にせず、好きな歌を自由に口ずさむのも、りっぱな歌の楽しみ方です。家事をしながら、散歩をしながら、思いうかんだ歌を歌ってみてください。だれかに合わせなくてよいので、気がねなく声を出せます。
歌詞を味わう
歌詞を声に出して読んだり、歌詞の意味を思いうかべたりするのも、歌の楽しみのひとつです。なつかしい歌の歌詞を読むと、そのころの思い出がよみがえってくることもあります。
体を動かしながら歌う
手をたたいたり、腕をゆらしたりしながら歌うと、リズムを体で感じられて、楽しい気持ちになりやすくなります。すわったままでもできるので、体に無理のない範囲でためしてみてください。
少人数で、ゆっくり歌う
ご家族や気心の知れたお友だちと、少人数で歌うのもおすすめです。大勢の歌の会より、おたがいの声を聞きとりやすく、ペースも合わせやすくなります。「もう少しゆっくり歌おう」と声をかけ合えるのも、少人数のよいところです。
ご家族ができること
ご家族の中に、耳が聞こえにくくなった方がいるときは、次のようなことを心がけてみてください。
- 歌うことをやめるようにすすめず、楽しみ方をいっしょに考える
- 音量や席の位置など、聞きやすい環境をととのえる
- ずれていても、指摘しすぎない
- いっしょに歌って、楽しい時間をすごす
歌うことは、気持ちを明るくしたり、人とのつながりを感じたりする大切な時間です。聞こえにくさがあっても、歌の時間を大切にできるよう、そっとささえてあげてください。
まとめ
- 聞こえにくさを感じたら、まずは耳鼻科や専門家に相談する
- 聞こえにくさは人それぞれ。どんなときに聞こえにくいかを知っておく
- 音の出るところに近づく、静かな場所をえらぶなど、聞きやすくする工夫をする
- 目で合わせる、体でリズムを感じるなど、耳だけにたよらない歌い方もある
- のどに力を入れすぎず、つかれたら休む
- 先生や歌の会の方に、聞こえにくさを伝えておく
- ご家族は、歌の楽しみ方をいっしょに考える
耳の聞こえ方がかわっても、歌を楽しむ気持ちは大切にしたいものです。ご自分に合った教室をさがしたいときは、こちらのページを使ってみてください。歌の教室さがしまた、こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるので、おうちの静かな場所で、聞きとりやすい環境をととのえて歌った動画で参加できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、歌をつづける楽しみのひとつになると思います。こどもの歌声グランプリ