歌うと声が震えるときの対処法。歌のテストや本番で緊張したときの体と息の工夫
「人前で歌うと、声が震えてしまう」 「歌のテストで、声が震えて、うまく歌えなかった」
歌うと声が震えるなやみは、子どもから大人まで、とても多くの方が持っています。家ではふつうに歌えるのに、学校の歌のテストや、発表会、コンクールの本番になると、声がふるふるとゆれてしまう。そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。声が震えるのは、だれにでもおこる、ごく自然なことです。そして、体と息のつかい方を少しかえるだけで、震えがおさまりやすくなることもあります。
この記事では、歌うと声が震える原因と、本人ができる体と息の工夫にしぼって、対処法をまとめました。中学生・高校生の学校の歌のテストについても、くわしくお話しします。
緊張しているお子様に、お父様・お母様がかけることばについては、こちらの記事にまとめています。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
歌うと声が震えるのはなぜ?
緊張すると、体がかたくなる
人前に立つと、心臓がドキドキしたり、手があせばんだりします。このとき、肩や首、のどのまわりにも、知らないうちに力が入っています。
体がかたくなると、声を出すための体の動きが、なめらかにいかなくなります。それが、声のゆれとなってあらわれることがあります。
息が浅く、少なくなる
緊張すると、息が胸のあたりだけで、浅く、はやくなりがちです。歌うための息が足りなくなると、声をささえる力が弱くなり、声がふらつきやすくなります。
息を止めたり、おしすぎたりする
「失敗しないように」と思うほど、息をぐっと止めてしまったり、反対に、のどでおし出そうとしたりします。どちらも、声が震える原因になりやすい形です。
ビブラートとのちがい
歌の先生が教えるビブラートは、自分で調節できる、気持ちのよい声のゆれです。いっぽう、緊張で声が震えるときは、自分の思いとは関係なく、細かく、ふぞろいにゆれてしまいます。
「ゆれてしまう」と感じているなら、ここでお話しする工夫がやくに立つと思います。
本番の前にできること 体をゆるめる
声の震えをへらすために、まず大切なのは、体の力をぬくことです。本番の前、待っている時間にもできることを紹介します。
肩を上げて、ストンと落とす
- 息をすいながら、肩を耳に近づけるように上げる
- 2〜3びょう、そのまま止める
- 息をはきながら、肩をストンと落とす
これを2〜3回くりかえすと、肩の力がぬけやすくなります。
首・あご・顔をゆるめる
- 首を、ゆっくり左右にかたむける
- 口を軽く開けて、あごの力をぬく
- ほっぺたを手でやさしくなでる
- 口をとじたまま、くちびるを「ブルブル」とふるわせる
あごや顔に力が入っていると、のどにも力が入りやすくなります。顔がゆるむと、声も出しやすくなります。
足のうらで、床を感じる
立って歌うときは、足を肩はばくらいに開いて、足のうら全体で床をふむようにします。ひざは、ピンとのばしきらず、少しだけゆとりをもたせます。
足もとがしっかりすると、上半身の力がぬけやすくなります。
はく息を長くする呼吸
緊張しているときは、すう息より、はく息を長くするのがおすすめです。
- 鼻から、ゆっくり息をすう
- 口を細くして、すった時間より長く、ゆっくりはく
- これを何回かくりかえす
たとえば「4つ数えてすって、8つ数えてはく」くらいをめやすに、自分がらくなリズムでおこなってください。はく息が長くなると、気持ちもおちつきやすくなります。
歌っている最中に震えてしまったら
息を少し多めに、前へ流す
声が震えてきたら、息を止めずに、少し多めに、前へ流すように歌ってみましょう。遠くの人に声をとどけるイメージをもつと、息がまっすぐ出やすくなります。
声を少しだけ大きくする
小さな声ほど、震えが目立ちやすくなります。こわごわ小さく歌うより、ほんの少し声を大きくしたほうが、声がおちつくことがあります。どなるような大声ではなく、「いつもより少し大きめ」くらいをめやすにしてください。
目線を遠くにおく
下を向くと、首がまがって、のどがせまくなりやすいです。目線は、聞いている人の頭の少し上や、うしろのかべのあたりにおきましょう。人の目を見るのがこわいときにも、この方法はやくに立ちます。
震えても、止まらずに歌いつづける
声が震えても、そのまま歌いつづけて大丈夫です。聞いている人は、歌う人が思っているほど、震えに気づいていないことが多いものです。
歌いすすめるうちに、体があたたまって、だんだん声がおちついてくることもよくあります。「震えてもいい」と思えると、かえって力がぬけていきます。
学校の歌のテストで声が震えるとき
中学生・高校生になると、音楽の授業で、ひとりずつ、またはグループで歌う「歌のテスト」があることがあります。クラスのみんなの前で歌うのは、本番のステージとはまたちがう、とくべつな緊張があると思います。
歌のテストで声が震えやすい理由
- ふだん顔を合わせている友だちの前で歌う
- 出番を待つ時間が長く、緊張がふくらみやすい
- 声がわりの時期で、自分の声になれていないことがある
- ひとりで歌うことに、なれていない
声が震えるのは、まじめに取り組んでいるしるしでもあります。自分をせめなくて大丈夫です。
出だしの音を、体に入れておく
歌のテストでいちばん緊張するのは、さいしょの1音です。出だしの音とことばを、家で何回もくりかえして、体におぼえさせておきましょう。
- さいしょのフレーズだけを、くりかえし練習する
- 伴奏の前奏を聞いて、出だしの音をハミングしてみる
- 出だしの前に、どこで息をすうかを決めておく
出だしがうまくいくと、そのあとも、おちついて歌いやすくなります。
待っている間にできること
自分の番を待っている間は、つくえの下で手をにぎって、ぱっと開くのをくりかえしたり、はく息を長くする呼吸をしたりしてみてください。まわりの人に気づかれずにできるので、教室の中でもためしやすい方法です。
当日の朝、声を出しておく
朝おきてすぐは、声が出にくいものです。歌のテストの日は、通学の前に、小さな声で鼻歌を歌ったり、軽くハミングしたりしておくと、声が出しやすくなります。
声がわりの時期の声のなやみについては、こちらの記事もあわせてどうぞ。声がわりの時期の男の子と歌。続けていい?気をつけたいこと
ふだんの練習で、震えにくい声をつくる
小さい声でも、息でささえる練習
声を小さくしたときに、声が震えたり、とぎれたりしやすい方は、小さめの声で、ゆっくり、まっすぐ声をのばす練習をしてみましょう。小さな声でもゆれずに出せるようになると、本番でも声がおちつきやすくなります。
人前に近い形で練習する
家でひとりで歌うときと、人前で歌うときでは、体の感じがちがいます。ふだんから、本番に近い形で練習しておくと、なれていきます。
- 立って、本番と同じ姿勢で歌う
- スマホで動画をとりながら歌う
- 家族に聞いてもらう
- 歌う前に、おじぎや立ち位置まで通してやってみる
録音して、震えるところを見つける
録音を聞くと、どこで声が震えやすいかがわかります。高い音、長くのばす音、フレーズの終わりなど、震えやすい場所がわかったら、そこだけをとり出して練習します。
震えやすい場所の前で、どこで息をすうかを楽譜や歌詞に書きこんでおくのもおすすめです。息が足りなくなる前に、あわてずに息をすえるようになると、声もおちつきやすくなります。
声の震えが続くとき
緊張していないときにも声が震える、話すときにも声がゆれる、のどに何かがつまった感じが続く、といったときは、歌の練習だけで何とかしようとせずに、耳鼻咽喉科などのお医者さんに相談してください。
また、のどの痛みやかすれがあるときは、むりに歌の練習を続けないことが大切です。
まとめ
- 歌うと声が震えるのは、緊張で体がかたくなったり、息が浅くなったりするため
- 本番の前は、肩を落とす、顔をゆるめる、足のうらで床を感じる、はく息を長くする
- 震えてきたら、息を前へ流す、声を少し大きめにする、目線を遠くにおく
- 学校の歌のテストでは、出だしの音と息つぎを、体におぼえさせておく
- ふだんから、人前に近い形で練習しておくと、なれていく
- 震えやのどの不調が続くときは、耳鼻咽喉科などに相談する
人前で歌う経験は、少しずつかさねていくことで、なれていくものです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるので、会場の緊張が苦手な方でも、おうちで落ちついて歌を録画して参加できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、人前で歌う練習の一歩としても、ためしてみてください。こどもの歌声グランプリ