表情筋を使うボイトレ。顔をほぐして、歌の声を明るくする練習
「歌うとき、顔がかたいと言われた」 「表情筋のボイトレって、どんなことをするの?」
最近は、表情筋を使うボイトレが「美顔ボイトレ」として話題になることがあります。顔をうごかしながら声を出すので、歌の練習にもなり、顔の体操にもなると感じる方がいるようです。
わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。ステージで歌う人を見ていると、表情がやわらかい人ほど、声も明るく、ことばもはっきり聞こえることが多いと感じます。
この記事では、歌と表情筋の関係と、歌う前にできる表情筋のボイトレのやり方をまとめます。声の高さや話し声のトーンについては別の記事でお話ししていますので、ここでは「顔の体操」にしぼってしょうかいします。
歌と表情筋の関係
表情筋ってなに?
表情筋は、顔のいろいろな表情をつくる筋肉のことです。笑う、おどろく、口をとがらせるなど、わたしたちはふだんから表情筋を使っています。
歌うときも、口を開けたり、ほおを上げたりして、表情筋をたくさん使います。
顔がかたいと、どうなる?
顔の力が入りすぎていたり、ぎゃくにうごきが少なかったりすると、歌にこんなことが起こりやすくなります。
- 口が小さく開いて、声がこもって聞こえる
- ことばがはっきりしない
- 声が暗く、平たく聞こえる
- 顔のこわばりが、あごやのどにもつたわる
ほおが上がると、声が明るく聞こえやすい
歌の先生から「ほおを上げて」「笑顔で歌って」と言われることがあります。ほおを少し上げると、口の中にすきまができて、声が明るくひびきやすくなるといわれています。
もちろん、悲しい歌を、ずっと笑顔で歌うわけではありません。顔がやわらかくうごくようになると、曲に合わせた表情をつくりやすくなる、ということです。
表情筋ボイトレをはじめる前に
鏡を用意する
表情筋のボイトレは、鏡を見ながらするのがおすすめです。自分の顔がどのくらいうごいているかは、思っているよりわかりにくいものです。
力を入れすぎない
顔の体操は、強くやればいいというものではありません。ぎゅっと力を入れすぎると、かえって顔やあごがつかれてしまいます。気持ちよく感じるくらいの力でおこないましょう。
痛みがあるときはやめる
あごに痛みがある、口を大きく開けると音がする、という方は、むりに大きくうごかさないでください。痛みや違和感がつづくときは、歯医者さんやお医者さんに相談しましょう。
歌う前にできる表情筋ボイトレ
全部をやっても5分ほどでできます。歌う前の準備運動として、取り入れてみてください。
1 顔全体をほぐす
まずは、手で顔をやさしくほぐします。
- 両手のひらを、ほおにあてる
- 円をかくように、ゆっくりさする
- こめかみ、おでこ、あごのまわりも同じようにさする
顔があたたかくなってくると、うごかしやすくなります。
2 「ぎゅっ」と「ぱっ」の体操
顔をちぢめたり広げたりして、表情筋をうごかします。
- 目と口をぎゅっととじて、顔を中心に集めるようにする(3秒)
- 目と口を大きく開いて、顔を外に広げるようにする(3秒)
- これを3回ほどくり返す
おどろいた顔と、すっぱいものを食べた顔を、交互にするイメージです。
3 ほおを上げる練習
歌で大切な、ほおを上げるうごきの練習です。
- 鏡を見ながら、口を少し開けて、にっこり笑う
- 上の歯が少し見えるくらい、ほおを上げる
- その形のまま5秒キープして、ゆるめる
- 3回くり返す
目もいっしょに笑うようにすると、自然な表情になりやすいです。
4 「あ・い・う・え・お」を大きく
口のまわりの筋肉をうごかす、定番の練習です。
- 声を出さずに、口の形だけで「あ・い・う・え・お」をゆっくりつくる
- 1つずつ、大げさなくらいはっきりうごかす
- なれてきたら、小さな声を出してやってみる
「い」ではほおを横に、「う」では口を前につき出すように、と意識してみてください。
5 舌の体操
舌も、ことばや声のひびきに関わる大切な部分です。
- 口をとじたまま、舌で歯ぐきの外側をなぞるように、ぐるりと回す
- 右回りを5回、左回りを5回
ほおの内側から、表情筋がうごいているのを感じられると思います。
6 くちびるのブルブル
くちびるをとじて、息で「ぷるるる」とふるわせる練習です。口のまわりの力がぬけ、声を出す準備にもなります。うまくできないときは、ほおを指でかるくおさえるとやりやすくなります。
声を出しながらの表情筋ボイトレ
顔がほぐれたら、声を出しながら練習してみましょう。
ほおを上げたまま「まー」
- ほおを少し上げて、にっこりした顔をつくる
- その顔のまま、らくな高さで「まー」と声をのばす
- 次に、ほおを下げた顔で「まー」と言ってみる
2つの声を聞きくらべると、ほおを上げたほうが、明るく聞こえることに気づく方も多いです。スマホで録音してくらべると、わかりやすくなります。
表情をかえて、短いフレーズを歌う
好きな歌の1フレーズを、表情をかえて歌ってみましょう。
- うれしい顔で歌う
- さびしい顔で歌う
- おどろいた顔で歌う
同じメロディーでも、表情によって声の感じがかわります。曲の気持ちに合った表情をさがす練習にもなります。
口の開け方を、鏡でたしかめる
歌いながら、鏡で口の開け方を見てみましょう。高い音で口がせまくなっていないか、ことばの終わりで顔がかたまっていないかを、たしかめます。ことばをはっきりさせる練習については、こちらの記事もどうぞ。歌の滑舌をよくする練習。ことばがはっきり伝わる歌い方
美顔ボイトレとして楽しむときのポイント
「顔の体操」として気軽に
表情筋ボイトレをつづけると、「顔がすっきりした気がする」「表情がやわらかくなった」と感じる方もいます。ただ、見た目の変化には個人差があり、必ずそうなるとはいえません。美容のためだけと考えず、「歌のための顔の体操」として、気軽に楽しむのがおすすめです。
やりすぎない
効果を早く感じたいと思って、何十分もつづけると、顔やあごがつかれてしまいます。1日5分ほどを、毎日のように少しずつ、がつづけやすいペースです。
ほかの練習と組み合わせる
表情筋ボイトレだけで歌が上手になるわけではありません。姿勢、息、発声など、ほかの練習と組み合わせることで、歌の土台がととのっていきます。
表情筋ボイトレでよくあるなやみ
顔がうまくうごかない
はじめは、思うように顔がうごかなくても、だんだんうごくようになっていきます。ふだん、あまり表情をかえずにすごしている方ほど、さいしょはぎこちなく感じるものです。毎日少しずつつづけて、うごきになれていきましょう。
笑顔をつくると、声がかたくなる
ほおを上げようとして、口のまわりやあごにまで力が入ってしまう方もいます。そんなときは、ほおを上げる量を少しへらして、「ほほえむくらい」から練習してみてください。目もとがやさしく笑っていれば、口はそれほど大きく横に引かなくてもだいじょうぶです。
本番になると、顔がかたまってしまう
人前で歌うと、きんちょうで顔がこわばるのは、よくあることです。本番の前に、顔をさする、「ぎゅっ」と「ぱっ」の体操をするなど、いつもの練習と同じ準備をしておくと、気持ちもおちつきやすくなります。
お子様と楽しむ表情筋ボイトレ
表情筋の体操は、お子様といっしょにやっても楽しい練習です。
- 「おこった顔」「わらった顔」など、顔あてゲームにする
- 鏡の前で、お父様・お母様といっしょに変顔をする
- 歌の前に「お顔の体操しよう」と声をかける
遊びの気分でやると、歌う前のきんちょうがほぐれることもあります。小さなお子様の場合は、強くひっぱったり、長くつづけたりしないように見てあげてください。
まとめ
- 表情筋は、歌の声の明るさや、ことばの聞こえ方に関わる
- 鏡を見ながら、力を入れすぎずにおこなう
- 顔をほぐす、「ぎゅっ」と「ぱっ」、ほおを上げる、「あいうえお」、舌の体操、くちびるのブルブルを5分ほどで
- 声を出しながら、表情をかえて歌う練習もしてみる
- 美顔の効果は個人差がある。歌のための顔の体操として楽しむ
- あごの痛みや違和感がつづくときは、お医者さんに相談する
顔の使い方は、先生に見てもらうと、自分では気づかないくせがわかることがあります。教室は、こちらからさがせます。歌の教室さがし表情ゆたかに歌えるようになったら、こどもの歌声グランプリにもちょうせんしてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。動画なので、歌っているときの表情もしっかりつたわります。講評とデジタル賞状がとどくので、練習の成果をたしかめるきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ