練習・発声のコツ

表情筋を使うボイトレ。顔をほぐして、歌の声を明るくする練習

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「歌うとき、顔がかたいと言われた」 「表情筋のボイトレって、どんなことをするの?」

最近は、表情筋を使うボイトレが「美顔ボイトレ」として話題になることがあります。顔をうごかしながら声を出すので、歌の練習にもなり、顔の体操にもなると感じる方がいるようです。

わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。ステージで歌う人を見ていると、表情がやわらかい人ほど、声も明るく、ことばもはっきり聞こえることが多いと感じます。

この記事では、歌と表情筋の関係と、歌う前にできる表情筋のボイトレのやり方をまとめます。声の高さや話し声のトーンについては別の記事でお話ししていますので、ここでは「顔の体操」にしぼってしょうかいします。

歌と表情筋の関係

表情筋ってなに?

表情筋は、顔のいろいろな表情をつくる筋肉のことです。笑う、おどろく、口をとがらせるなど、わたしたちはふだんから表情筋を使っています。

歌うときも、口を開けたり、ほおを上げたりして、表情筋をたくさん使います。

顔がかたいと、どうなる?

顔の力が入りすぎていたり、ぎゃくにうごきが少なかったりすると、歌にこんなことが起こりやすくなります。

  • 口が小さく開いて、声がこもって聞こえる
  • ことばがはっきりしない
  • 声が暗く、平たく聞こえる
  • 顔のこわばりが、あごやのどにもつたわる

ほおが上がると、声が明るく聞こえやすい

歌の先生から「ほおを上げて」「笑顔で歌って」と言われることがあります。ほおを少し上げると、口の中にすきまができて、声が明るくひびきやすくなるといわれています。

もちろん、悲しい歌を、ずっと笑顔で歌うわけではありません。顔がやわらかくうごくようになると、曲に合わせた表情をつくりやすくなる、ということです。

表情筋ボイトレをはじめる前に

鏡を用意する

表情筋のボイトレは、鏡を見ながらするのがおすすめです。自分の顔がどのくらいうごいているかは、思っているよりわかりにくいものです。

力を入れすぎない

顔の体操は、強くやればいいというものではありません。ぎゅっと力を入れすぎると、かえって顔やあごがつかれてしまいます。気持ちよく感じるくらいの力でおこないましょう。

痛みがあるときはやめる

あごに痛みがある、口を大きく開けると音がする、という方は、むりに大きくうごかさないでください。痛みや違和感がつづくときは、歯医者さんやお医者さんに相談しましょう。

歌う前にできる表情筋ボイトレ

全部をやっても5分ほどでできます。歌う前の準備運動として、取り入れてみてください。

1 顔全体をほぐす

まずは、手で顔をやさしくほぐします。

  • 両手のひらを、ほおにあてる
  • 円をかくように、ゆっくりさする
  • こめかみ、おでこ、あごのまわりも同じようにさする

顔があたたかくなってくると、うごかしやすくなります。

2 「ぎゅっ」と「ぱっ」の体操

顔をちぢめたり広げたりして、表情筋をうごかします。

  • 目と口をぎゅっととじて、顔を中心に集めるようにする(3秒)
  • 目と口を大きく開いて、顔を外に広げるようにする(3秒)
  • これを3回ほどくり返す

おどろいた顔と、すっぱいものを食べた顔を、交互にするイメージです。

3 ほおを上げる練習

歌で大切な、ほおを上げるうごきの練習です。

  • 鏡を見ながら、口を少し開けて、にっこり笑う
  • 上の歯が少し見えるくらい、ほおを上げる
  • その形のまま5秒キープして、ゆるめる
  • 3回くり返す

目もいっしょに笑うようにすると、自然な表情になりやすいです。

4 「あ・い・う・え・お」を大きく

口のまわりの筋肉をうごかす、定番の練習です。

  • 声を出さずに、口の形だけで「あ・い・う・え・お」をゆっくりつくる
  • 1つずつ、大げさなくらいはっきりうごかす
  • なれてきたら、小さな声を出してやってみる

「い」ではほおを横に、「う」では口を前につき出すように、と意識してみてください。

5 舌の体操

舌も、ことばや声のひびきに関わる大切な部分です。

  • 口をとじたまま、舌で歯ぐきの外側をなぞるように、ぐるりと回す
  • 右回りを5回、左回りを5回

ほおの内側から、表情筋がうごいているのを感じられると思います。

6 くちびるのブルブル

くちびるをとじて、息で「ぷるるる」とふるわせる練習です。口のまわりの力がぬけ、声を出す準備にもなります。うまくできないときは、ほおを指でかるくおさえるとやりやすくなります。

声を出しながらの表情筋ボイトレ

顔がほぐれたら、声を出しながら練習してみましょう。

ほおを上げたまま「まー」

  • ほおを少し上げて、にっこりした顔をつくる
  • その顔のまま、らくな高さで「まー」と声をのばす
  • 次に、ほおを下げた顔で「まー」と言ってみる

2つの声を聞きくらべると、ほおを上げたほうが、明るく聞こえることに気づく方も多いです。スマホで録音してくらべると、わかりやすくなります。

表情をかえて、短いフレーズを歌う

好きな歌の1フレーズを、表情をかえて歌ってみましょう。

  • うれしい顔で歌う
  • さびしい顔で歌う
  • おどろいた顔で歌う

同じメロディーでも、表情によって声の感じがかわります。曲の気持ちに合った表情をさがす練習にもなります。

口の開け方を、鏡でたしかめる

歌いながら、鏡で口の開け方を見てみましょう。高い音で口がせまくなっていないか、ことばの終わりで顔がかたまっていないかを、たしかめます。ことばをはっきりさせる練習については、こちらの記事もどうぞ。歌の滑舌をよくする練習。ことばがはっきり伝わる歌い方

美顔ボイトレとして楽しむときのポイント

「顔の体操」として気軽に

表情筋ボイトレをつづけると、「顔がすっきりした気がする」「表情がやわらかくなった」と感じる方もいます。ただ、見た目の変化には個人差があり、必ずそうなるとはいえません。美容のためだけと考えず、「歌のための顔の体操」として、気軽に楽しむのがおすすめです。

やりすぎない

効果を早く感じたいと思って、何十分もつづけると、顔やあごがつかれてしまいます。1日5分ほどを、毎日のように少しずつ、がつづけやすいペースです。

ほかの練習と組み合わせる

表情筋ボイトレだけで歌が上手になるわけではありません。姿勢、息、発声など、ほかの練習と組み合わせることで、歌の土台がととのっていきます。

表情筋ボイトレでよくあるなやみ

顔がうまくうごかない

はじめは、思うように顔がうごかなくても、だんだんうごくようになっていきます。ふだん、あまり表情をかえずにすごしている方ほど、さいしょはぎこちなく感じるものです。毎日少しずつつづけて、うごきになれていきましょう。

笑顔をつくると、声がかたくなる

ほおを上げようとして、口のまわりやあごにまで力が入ってしまう方もいます。そんなときは、ほおを上げる量を少しへらして、「ほほえむくらい」から練習してみてください。目もとがやさしく笑っていれば、口はそれほど大きく横に引かなくてもだいじょうぶです。

本番になると、顔がかたまってしまう

人前で歌うと、きんちょうで顔がこわばるのは、よくあることです。本番の前に、顔をさする、「ぎゅっ」と「ぱっ」の体操をするなど、いつもの練習と同じ準備をしておくと、気持ちもおちつきやすくなります。

お子様と楽しむ表情筋ボイトレ

表情筋の体操は、お子様といっしょにやっても楽しい練習です。

  • 「おこった顔」「わらった顔」など、顔あてゲームにする
  • 鏡の前で、お父様・お母様といっしょに変顔をする
  • 歌の前に「お顔の体操しよう」と声をかける

遊びの気分でやると、歌う前のきんちょうがほぐれることもあります。小さなお子様の場合は、強くひっぱったり、長くつづけたりしないように見てあげてください。

まとめ

  • 表情筋は、歌の声の明るさや、ことばの聞こえ方に関わる
  • 鏡を見ながら、力を入れすぎずにおこなう
  • 顔をほぐす、「ぎゅっ」と「ぱっ」、ほおを上げる、「あいうえお」、舌の体操、くちびるのブルブルを5分ほどで
  • 声を出しながら、表情をかえて歌う練習もしてみる
  • 美顔の効果は個人差がある。歌のための顔の体操として楽しむ
  • あごの痛みや違和感がつづくときは、お医者さんに相談する

顔の使い方は、先生に見てもらうと、自分では気づかないくせがわかることがあります。教室は、こちらからさがせます。歌の教室さがし表情ゆたかに歌えるようになったら、こどもの歌声グランプリにもちょうせんしてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。動画なので、歌っているときの表情もしっかりつたわります。講評とデジタル賞状がとどくので、練習の成果をたしかめるきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ

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