発達がゆっくりなお子様・障害のあるお子様の歌の習い事。教室のえらび方と、相談のしかた
「うちの子は歌が大好き。でも、ほかの子といっしょにレッスンを受けられるかな」 「発達がゆっくりなことを、教室にどう伝えたらいいのかわからない」
お子様が歌を楽しんでいるすがたを見て、「習い事にしてみたい」と思ったとき、こんなふうに迷うお父様・お母様は、少なくないと思います。発達の特性や障害のあるお子様の音楽の習い事は、さがし方や相談のしかたがわかりにくく、一歩をふみ出しにくいこともありますよね。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。その中で、歌はどんなお子様にとっても、自分を表すことのできる大切な時間になりうるものだと感じています。
この記事では、発達がゆっくりなお子様や、障害のあるお子様が歌の習い事をはじめるときの、教室のえらび方と、事前の相談のしかたをまとめました。お子様の特性や、ご家庭の考え方は、それぞれちがいます。ここに書いたことは、あくまでひとつの考え方として、お子様に合うところだけ取り入れていただけたらうれしいです。
はじめに、大切にしたいこと
習い事のいちばんの目的は「楽しい」でいい
音楽の習い事について調べていると、「音楽が発達によい」といった話を目にすることがあるかもしれません。ただ、音楽や歌がお子様にどんな変化をもたらすかは、一人ひとりちがいます。習い事は、医療や療育のかわりになるものではありません。
この記事では、歌の習い事を「お子様が楽しめる時間」「好きなことにふれる場所」として考えています。お子様が歌うことを楽しみにしている、それだけでも、習い事をする十分な理由になると思います。
医療や療育のことで気になることがあるときは、かかりつけのお医者さんや、ふだん相談している専門の方に聞いてみてください。
お子様のペースを、いちばん大切に
歌の上達のスピードは、どんなお子様でも人それぞれです。ほかのお子様とくらべず、「きのうのわが子」とくらべて、小さな「できた」を見つけていくことが大切です。
- 教室に入れた
- 先生にあいさつできた
- 1曲のうち、すきなところだけ歌えた
- 音に合わせて体をゆらせた
こうした一つひとつが、お子様にとっての大きな一歩です。
決めるのは、お子様とご家族
だれかに「やったほうがいい」「やめたほうがいい」と言われても、最後に決めるのは、お子様とご家族です。お子様の気持ちや、通うためのご家族の負担もふくめて、無理のない形をえらんでいいのだと思います。
どんな教室の形があるか
歌の習い事には、いくつかの形があります。お子様の特性によって、合う形はちがいます。
個人レッスン
先生とお子様が1対1でレッスンをする形です。お子様のペースに合わせて進めてもらいやすく、まわりの目や音が気になりにくいのがよいところです。そのぶん、月謝はグループより高めになることが多いです。
グループレッスン
何人かのお子様といっしょに歌う形です。ほかのお子様の歌を聞いたり、いっしょに声を合わせたりする楽しさがあります。人数が多いと、音やまわりの動きが気になるお子様もいるので、少人数のクラスがあるか聞いてみるとよいと思います。
個人とグループのちがいについては、こちらの記事にくわしくまとめています。歌のレッスン、個人とグループのちがい。どっちが合う?えらび方のポイント
オンラインレッスン
おうちで受けられるので、なれた場所で安心してレッスンを受けられるよさがあります。移動の負担がないのも助かりますね。一方で、画面ごしだと集中しにくいお子様もいるので、体験してみてからえらぶのがおすすめです。
発達や障害のあるお子様向けのクラス
教室によっては、発達の特性や障害のあるお子様を受け入れているクラスや、そうしたお子様へのレッスン経験がある先生がいるところもあります。音楽療法をうたう教室もありますが、内容や考え方は教室によってちがうので、くわしく話を聞いてからえらびましょう。
教室をえらぶときに見ておきたいこと
先生が、お子様の話を聞いてくれるか
いちばん大切なのは、先生がお子様一人ひとりを見て、合わせてくれるかどうかです。
- お子様の「好き」「にがて」を聞いてくれるか
- できないことより、できたことを伝えてくれるか
- お子様がとまどったとき、待ってくれるか
- 進め方を、お子様に合わせて変えてくれるか
先生の経験や資格も参考になりますが、それ以上に、お子様への接し方を見てみてください。
教室の環境
- 教室の広さや明るさ
- まわりの音(ほかの部屋の楽器の音など)
- 休める場所があるか
- 入口やトイレの使いやすさ
- 車いすやベビーカーで入れるか
音や光に敏感なお子様もいれば、せまい場所がにがてなお子様もいます。お子様にとって過ごしやすい環境かどうか、見学のときに見ておきましょう。
レッスンの時間と回数
はじめから長い時間のレッスンだと、お子様がつかれてしまうこともあります。30分くらいの短めのレッスンから選べるか、途中で休けいを入れてもらえるかなども、聞いておくと安心です。
お父様・お母様がいっしょにいられるか
なれるまでは、お父様・お母様がそばにいたほうが安心できるお子様も多いです。レッスン中に同じ部屋にいてもよいか、見学できるかは、教室によってちがいます。
教室への事前の相談のしかた
相談は、体験レッスンの前に
体験レッスンの当日に、はじめてお子様のことを伝えると、先生も準備ができず、お子様もとまどってしまうことがあります。できれば、申しこみのときや、体験の前に、電話やメールで相談しておくのがおすすめです。
伝えておくとよいこと
すべてを話す必要はありません。レッスンを受けるうえで、知っておいてもらえると助かることを、伝えられるはんいで伝えましょう。
- お子様が好きなこと、好きな歌
- にがてなこと(大きな音、急な予定の変更など)
- 落ちつけるときの工夫(好きなものを持つ、少し休むなど)
- ことばでのやりとりのしかた(短いことばだと伝わりやすい、など)
- 体のことで気をつけてほしいこと
診断名を伝えるかどうかは、ご家族が決めてよいことです。診断名よりも、「どんなときに困りやすいか」「どうすると安心できるか」を具体的に伝えるほうが、先生もイメージしやすいことが多いです。
相談するときの例
たとえば、こんなふうに伝えてみてはいかがでしょうか。
「体験レッスンを申しこみたいと思っています。息子は歌が大好きなのですが、大きな音がにがてで、はじめての場所では少し時間がかかります。なれるまで、わたしもそばにいてよいでしょうか。」
「娘は、ことばでのやりとりがまだゆっくりです。短いことばで伝えていただけると、わかりやすいと思います。こうした子のレッスン経験があるか、教えていただけたらうれしいです。」
返事から、教室のふんいきがわかる
相談したときの教室の返事は、教室えらびの大切な手がかりになります。ていねいに話を聞いてくれる、できること・できないことを正直に伝えてくれる、そんな教室だと安心ですね。
もし「うちではむずかしいです」と言われても、それはその教室との相性の話です。お子様に合う場所は、きっとほかにあります。
体験レッスンで見ておきたいこと
お子様の表情
レッスンのあいだ、お子様がどんな表情をしているかを見てみてください。上手に歌えたかどうかより、楽しそうだったか、また来たいと思っているか、を大切にしたいですね。
先生の声かけ
- お子様のペースを待ってくれていたか
- できたことを、ことばにしてほめてくれたか
- お子様がとまどったとき、どんなふうにかかわってくれたか
体験レッスンで見ておきたいことは、こちらの記事にもまとめています。歌の体験レッスンで見るべき5つのこと。聞いておきたい質問リストつき
その日に決めなくていい
体験のあと、お子様が「行きたい」と言うか、少し時間をおいて様子を見てもよいと思います。何回か体験してみてから決める、というのもひとつの方法です。
通いはじめてからの工夫
はじめは、短い時間から
なれるまでは、レッスンに入れただけでも十分です。少しずつ時間をのばしたり、歌う曲をふやしたりと、お子様のペースで進めていきましょう。
先生と、こまめに話す
レッスンのあとに少し話す時間をつくると、お子様の様子を共有しやすくなります。おうちでの様子や、最近好きな歌などを伝えると、先生もレッスンに生かしやすくなります。
おうちでも、歌を楽しむ
おうちで好きな歌をいっしょに歌ったり、音楽をかけて体を動かしたり。練習というより、歌を楽しむ時間をつくることが、教室に通う楽しみにもつながります。
休むこと、やめることも、えらんでいい
体調や気持ちの波で、行きたくない日があるのは自然なことです。お休みしたり、しばらく休会したり、合わないと感じたら教室を変えたりするのも、お子様を大切にしたえらび方です。
まとめ
- 歌の習い事の目的は「楽しい」でいい。医療や療育のかわりではない
- お子様のペースを大切に、小さな「できた」を見つける
- 個人・グループ・オンラインなど、お子様に合う形をえらぶ
- 先生の接し方と、教室の環境を見る
- 体験レッスンの前に、教室に相談しておく
- 診断名より「困りやすいこと」「安心できること」を具体的に伝える
- 決めるのは、お子様とご家族
歌は、どんなお子様にとっても、自分の気持ちを表すことのできる時間です。お子様に合いそうな教室を、ゆっくりさがしてみてください。歌の教室さがしこどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるので、なれた場所で、お子様がいちばん落ちついているときの歌を届けることができます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様の歌のよいところを知るきっかけにしていただけたらうれしいです。こどもの歌声グランプリ