お子様が「発表会に出たくない」と言ったら。理由の聞き方と、出るかどうかのえらび方
「今年の発表会、出たくない」 お子様からこんなことばを聞くと、お父様・お母様はどきっとしますよね。「せっかく習っているのに」「出たら楽しいのに」と思う気持ちと、「むりに出させてもいいのかな」という気持ちのあいだで、まよってしまうこともあると思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌の習い事で、お子様が発表会に出たくないと言ったときに、どう理由を聞けばよいか、そして、出るか出ないかを親子でどう決めていけばよいかをまとめます。本番の日にこわくなって泣いてしまうときのことは、こちらの記事に書いています。発表会や本番で泣いてしまう子供へ。歌のステージがこわい気持ちとのつきあい方ここでは、もっと前の「出るかどうか」を話し合う時間にしぼってお話しします。
「出たくない」には、かならず理由がある
すぐに答えを出さなくてよい
お子様が「出たくない」と言ったとき、その場で「出なさい」「じゃあ出なくていいよ」と決めてしまうと、本当の気持ちが聞けないままになってしまいます。発表会のもうしこみまで日にちがあるなら、まずは「そうなんだね、教えてくれてありがとう」と受けとめて、話を聞く時間をつくりましょう。
子供の「出たくない」はことばが少ない
小さなお子様ほど、自分の気持ちをうまくことばにできません。「出たくない」の中には、こわい、はずかしい、めんどう、つかれた、ほかにやりたいことがある、など、いろいろな気持ちがまざっています。お子様自身も、なぜなのかはっきりわかっていないこともあります。
理由のやさしい聞き方
聞く場所と時間をえらぶ
話を聞くのは、お子様がおちついているときがよいです。
- おふろの時間や、ねる前のゆっくりした時間
- いっしょに歩いているときや、車の中
- おやつを食べながら、のんびりしているとき
向かいあって「どうして?」と聞くより、となりにならんで、なにげなく話すほうが、本当の気持ちが出てきやすいことがあります。
「なんで?」より、えらべる聞き方を
「なんで出たくないの?」と聞かれると、お子様はせめられているように感じることがあります。こんな聞き方もためしてみてください。
- 「発表会の、どんなところがいやなのかな」
- 「歌うのがいや?それとも、人がたくさんいるのがいや?」
- 「もし出るとしたら、何があったら少し安心できそう?」
えらべる形にすると、ことばにするのが苦手なお子様でも答えやすくなります。
気持ちを否定しない
「そんなのたいしたことないよ」「みんな出てるよ」と言いたくなる気持ちは、とてもよくわかります。でも、まずは「そうか、それがいやなんだね」と、そのまま受けとめることが大切です。受けとめてもらえたと感じると、お子様は少しずつ話してくれるようになります。
よくある理由と、考え方
人前で歌うのがはずかしい、こわい
いちばん多いのが、この理由かもしれません。たくさんの人に見られることを考えるだけで、どきどきしてしまうお子様もいます。
- おうちで家族の前だけで歌ってみる
- 先生と、ステージに立つ練習をしてみる
- 1人ではなく、何人かで歌う形があるか先生に聞いてみる
いきなり大きな発表会ではなく、小さな場から少しずつなれていく方法もあります。
曲が好きではない、むずかしい
発表会の曲が、お子様の好みに合っていなかったり、むずかしく感じていたりすることもあります。この場合は、先生に相談すれば、曲を考えなおしてもらえることもあります。
練習がたいへん、つかれている
学校や、ほかの習い事でいそがしい時期には、発表会の練習がおもたく感じられることがあります。お子様の1週間の予定を、いっしょにふりかえってみましょう。
お友だちとくらべてしまう
同じ教室のお友だちが上手に見えて、「自分は出たくない」と感じるお子様もいます。そのときは、お友だちとではなく、「前のお子様自身」とくらべて、できるようになったことを伝えてあげてください。
前の発表会でいやなことがあった
前回の発表会で、歌詞をわすれた、声が出なかった、などの思い出があると、もう一度出るのがこわくなることがあります。そのときのことを、むりにわすれさせようとせず、「あのときもさいごまでステージにいたね」と、がんばったところに目を向けてみましょう。
出る・出ないを親子で決めるときのポイント
お子様の気持ちを中心におく
発表会は、お子様のための場です。お父様・お母様の「出てほしい」という気持ちも大切ですが、それだけで決めてしまうと、歌そのものがいやになってしまうこともあります。お子様が自分で「決めた」と感じられるようにすることが、つぎの一歩につながります。
えらべる道をいくつか出してみる
「出る」「出ない」の2つだけでなく、あいだの道もいっしょに考えてみましょう。
- 今回は出ないで、客席で見てみる
- 短い曲や、なれた曲で出る
- 何人かで歌う形で出る
- つぎの発表会をめざして練習をつづける
- おうちで小さな発表会をしてみる
おうちで小さな発表会をひらくやり方は、こちらの記事にもまとめています。おうちで小さな発表会をひらこう。家族の前で歌う練習と、楽しくする工夫
出ないことも、まちがいではない
話し合って「今回は出ない」と決めても、それは失敗ではありません。習い事をつづけながら、もう少し時間をかけて自信を育てていくのも、ひとつの道です。発表会に出なくても、レッスンでの毎週の歌は、ちゃんとお子様の力になっています。
「やってみる」と決めたときは
お子様が「出てみる」と決めたら、その気持ちを大切にして、安心できるようにささえてあげましょう。当日うまくいくかどうかより、「自分で決めて、やってみた」ことを、いっしょによろこんであげてください。
先生への相談のしかた
早めに伝える
発表会には、もうしこみや曲の準備、プログラムづくりなどがあります。出るかまよっているときは、できるだけ早めに先生に伝えておくと、先生も考える時間がとれます。
伝え方の例
「いつもありがとうございます。じつは、娘が今回の発表会に出るかどうかまよっていて、人前で歌うのが少しこわいようです。家でも話を聞いているところですが、先生からも何かアドバイスをいただけるとうれしいです。」
先生は、同じようにまよっているお子様に、これまでにも向き合ってきていることが多いです。教室の中での小さな工夫を、いっしょに考えてくれることもあります。
費用やきまりもたしかめておく
発表会は、参加費や衣装などの費用がかかることがあります。もうしこみのあとに出ないことになったときのあつかいも、教室によってちがいます。決める前に、教室のきまりをたしかめておきましょう。
話し合いのあとに、気をつけたいこと
決めたことを、あとからせめない
「出ない」と決めたあとに、「やっぱり出ればよかったのに」と言われると、お子様は自分の決めたことに自信をなくしてしまいます。反対に、「出る」と決めて、本番でうまくいかなかったときも、「だから言ったのに」とは言わないようにしたいですね。どちらをえらんでも、自分で考えて決めたことを、まずはみとめてあげましょう。
気持ちが変わることもある
はじめは「出たくない」と言っていたお子様が、練習をつづけるうちに「やっぱり出てみたい」と言いだすこともあります。そのぎゃくもあります。もうしこみのしめきりまでは、ときどき「いまはどう思う?」と、かるく聞いてみるのもよいと思います。気持ちが変わるのは、わがままではなく、お子様がしっかり考えているしるしでもあります。
歌を好きな気持ちを、いちばん大切に
発表会に出るかどうかより、大切なのは、お子様が歌を好きでいられることです。発表会のことで話し合いがつづくと、家の中で歌の話がおもくなってしまうこともあります。発表会とはべつに、好きな歌をいっしょに口ずさんだり、車の中で歌ったりと、歌を楽しむ時間もわすれずにつくってあげてください。
まとめ
- 「出たくない」には理由がある。すぐに答えを出さず、まず受けとめる
- 理由は、おちついた時間に、えらべる形でやさしく聞く
- 気持ちを否定せず、「それがいやなんだね」とそのまま受けとめる
- 理由ごとに、小さな場でなれる、曲を相談するなどの工夫ができる
- 出る・出ないの間にも、いろいろな道がある
- 出ないことも、まちがいではない
- 先生には、早めに、正直に相談する
発表会に出るかどうかは、お子様のペースで決めてよいことです。もし「大きなステージはまだこわいけれど、歌を聞いてもらいたい」という気持ちがあるなら、こどもの歌声グランプリのような、おうちでとった動画で出られる場もあります。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様が自分の歌のよさに気づくきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ