楽譜を見ながら歌うときのコツ。譜面台の高さと、顔の向きのととのえ方
「楽譜を見ながら歌うと、どうしても下を向いてしまう」 「譜面台の高さって、どのくらいがいいの?」
合唱の練習や、歌の教室のレッスン、シニアの歌の会など、楽譜を見ながら歌う場面はたくさんあります。楽譜を見ること自体は、悪いことではありません。ただ、見方や置き方によって、声の出やすさや、聞いている人への伝わり方が、ずいぶんかわります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、楽譜を見ながら歌うときにしぼって、譜面台の高さのめやす、置く場所と角度、顔の向き、楽譜から目をはなすタイミングなどをまとめます。立ち方や手の位置など、体ぜんたいの姿勢については、こちらの記事でくわしくお話ししています。歌うときの立ち方・手・目線。見た目でかわる歌の伝わり方
楽譜を見ながら歌うと、なぜ声が出にくくなるの?
首が前にたおれると、のどがせまくなりやすい
楽譜を見るために下を向くと、首が前にたおれます。すると、あごが引けすぎて、のどのまわりがきゅっとつまったような感じになりやすいです。声がこもる、高い音が出にくい、と感じるときは、まず顔の向きを見なおしてみましょう。
声が床にむかってしまう
声は、顔が向いている方向に、まっすぐとどきやすいものです。下を向いて歌うと、声が床や譜面台にあたってしまい、前の人まで、とどきにくくなります。
目が楽譜にくぎづけになる
楽譜を目で追うことに一生けんめいになると、まわりの音や、伴奏、指揮が聞こえにくくなります。音がずれたり、入るところをまちがえたりする原因になることもあります。
譜面台の高さのめやす
基本は「あごより少し下」
譜面台の高さは、人の背の高さや、楽譜の大きさによってちがいますが、ひとつのめやすは「楽譜のいちばん上が、あごより少し下にくる高さ」です。
- 顔を少しだけ下に向ければ、楽譜がよめる
- 首を大きくまげなくてよい
- 前を見たとき、楽譜のむこうに聞いている人が見える
この3つがそろうと、声も目線も、前に出やすくなります。
高すぎるときに起きやすいこと
譜面台を高くしすぎると、顔がかくれてしまいます。聞いている人から表情が見えにくくなり、声も譜面台にあたって、こもりやすくなります。目の高さより上にあるときは、少し下げてみましょう。
低すぎるときに起きやすいこと
低すぎると、どうしても首が前にたおれます。背の高い方や、大人の方が、子ども用の高さのままで使っていることもあります。練習のはじめに、1回ずつ高さをたしかめるくせをつけると安心です。
お子様の場合
お子様は、大人用の譜面台だと、いちばん下にしても高すぎることがあります。そのときは、お父様・お母様が、楽譜をとめる位置を少し下にずらすなど、くふうしてあげてください。成長とともに背が伸びるので、ときどき高さを見なおしましょう。
すわって歌うとき
シニアの歌の会や、合唱の練習では、いすにすわって歌うこともあります。すわるときも、考え方は同じです。背もたれにもたれず、少し浅めにこしかけて、楽譜があごより少し下にくるようにしましょう。ひざの上に楽譜をおくと、首がたおれやすいので、できれば譜面台をつかうのがおすすめです。
置く場所と角度
体の正面より、少しななめ前
譜面台は、体の真正面にぴったりおくより、ほんの少しななめ前におくと、顔をあげたときに視界がひらけやすくなります。ただ、合唱など、まわりの人とならぶときは、全体のならび方に合わせましょう。
体からのきょり
近すぎると、楽譜を見るたびに顔が下を向き、遠すぎると、字が見えにくくなります。うでをのばして、指先が楽譜にとどくか、とどかないかくらいのきょりが、ひとつのめやすです。目の見え方は人によってちがうので、無理なく文字がよめる場所をさがしてください。
角度は、少しおこす
譜面台の板を、たいらに近い角度にすると、上からのぞきこむような姿勢になります。少しおこして、顔に向けるような角度にすると、目線だけで楽譜をよみやすくなります。
顔の向きと目線のコツ
目だけを下げて、顔はできるだけ前へ
楽譜を見るときは、首をまげるのではなく、目だけを下げるイメージを持ってみましょう。顔はなるべく前を向いたまま、目線だけを楽譜にうつします。はじめは少しむずかしく感じますが、なれてくると、とても楽になります。
「見る」と「前を向く」を行ったり来たり
ずっと楽譜を見つづけるのではなく、ときどき前を向くことが大切です。
- フレーズのはじめだけ楽譜を見て、あとは前を向く
- 息つぎのところで楽譜を見て、つぎの歌い出しをたしかめる
- 長くのばす音のときは、顔をあげる
このように、見るところと、前を向くところを決めておくと、目線があちこちしにくくなります。
楽譜に「顔をあげる」しるしをつける
前を向きたいところに、えんぴつで小さな目のマークや矢印を書いておくのもよい方法です。楽譜への書きこみ方は、こちらの記事でもまとめています。楽譜への書きこみ方。息つぎ・強弱・先生のアドバイスのメモ
指揮者や先生が見えるように
合唱では、指揮者を見ることがとても大切です。楽譜と指揮者が、目線を少し動かすだけで行き来できる位置に、譜面台をおきましょう。楽譜のむこうに指揮者が見えるくらいの高さが、ちょうどよいことが多いです。
楽譜を手で持つときのコツ
ひじを少しはなして、胸の前で持つ
譜面台がないときは、楽譜を手で持って歌います。ひじをわきに少しすきまができるくらいにはなし、胸の前、あごより少し下の高さで持つと、首がたおれにくくなります。
ファイルやかたい台紙に入れる
紙のままだと、ふにゃっとまがったり、めくるときに音が出たりします。黒やこげ茶など、目立ちにくい色のファイルに入れると、持ちやすく、見た目もすっきりします。
うでがつかれたら、ひと休み
長い時間持っていると、うでがつかれて、だんだん楽譜が下がってきます。練習のときは、曲と曲のあいだに、うでを下ろして休みましょう。
ページのめくり方
めくる場所を先に決めておく
歌っているとちゅうでページをめくると、そこで声がとぎれたり、音を出してしまったりしがちです。休みの小節や、伴奏だけのところなど、めくる場所を前もって決めておきましょう。
めくりやすくするくふう
- ページのはしを少しだけ折っておく
- 見開きで歌いきれるように、コピーをならべる(コピーのきまりはたしかめる)
- めくる少し前から、指をページのはしにそえておく
本番の舞台で、楽譜をつかってよいかどうかは、会やコンクールによってちがいます。きまりがあれば、それにしたがいましょう。
楽譜を見ながら歌う練習のしかた
1 まずは楽譜だけを見て、声に出さずに追う
曲を流しながら、目だけで楽譜を追ってみます。どこで息をすうか、どこでページをめくるかを、ここでたしかめます。
2 鏡の前で、顔の向きをたしかめる
鏡の前に譜面台をおいて、歌ってみましょう。下を向きすぎていないか、顔がかくれていないかを、自分の目で見ることができます。
3 スマホで録音・録画してみる
声がこもっていないか、楽譜を見ているところと前を向いているところで、声の聞こえ方がかわらないかをたしかめます。
4 少しずつ、楽譜を見ないところをふやす
さいしょは楽譜をたくさん見てもだいじょうぶです。くりかえすうちに、おぼえたところから、少しずつ前を向く時間をふやしていきましょう。
よくあるなやみ
字が小さくて見えにくい
楽譜を少し大きくコピーしたり、歌詞の部分だけ、見やすい大きさで書きうつしたりする方法もあります。あかりが暗い場所では、楽譜がよみにくくなるので、練習の場所の明るさにも気をつけてみてください。
楽譜を見ると、表情がかたくなる
楽譜をよむことに集中すると、顔がこわばりやすくなります。前を向くところで、ほんの少し口角を上げることを意識すると、表情がやわらかく見えます。
首や肩がこる
長い時間の練習で首や肩がこるときは、譜面台の高さが合っていないことがあります。休けいのときに、肩をゆっくり回すなど、体をほぐしましょう。首の痛みが続くときは、むりをしないでください。
まとめ
- 楽譜を見て下を向くと、声がこもり、前にとどきにくくなる
- 譜面台の高さは「楽譜のいちばん上が、あごより少し下」がめやす
- 少しななめ前に、板を少しおこしておくと、目線だけでよみやすい
- 首をまげずに目だけを下げ、見るところと前を向くところを決める
- 手で持つときは、胸の前で、目立ちにくいファイルに入れる
- めくる場所を前もって決め、少しずつ楽譜を見ない時間をふやす
楽譜の見方がととのってくると、声が前に出て、表情も伝わりやすくなります。練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ