5トーンスケールの発声練習とは?やり方とコツを、はじめての方にやさしく
「ボイトレで、5トーンスケールという練習が出てきたけれど、どういうもの?」 「ドレミファソを歌うだけで、本当に練習になるの?」
歌の教室や動画で、「5トーンスケール」ということばを目にしたことがある方も多いと思います。名前だけ聞くと、むずかしそうに感じるかもしれません。でも、やり方はとてもシンプルで、お子様から大人の方まで、だれでもとり入れやすい発声練習です。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。歌の練習では、こうしたシンプルな発声練習を、毎日少しずつ続けることが大切だと感じています。
この記事では、発声練習の5トーンスケールとは何か、そのやり方とコツ、よくある失敗と直し方まで、やさしくまとめてお話しします。
5トーンスケールとは
5つの音をのぼって、おりる練習
5トーンスケールとは、「5つの音」の「音階」という意味です。ドから数えて5つの音、つまり「ド・レ・ミ・ファ・ソ」をのぼって、また「ソ・ファ・ミ・レ・ド」とおりてくる練習です。
ドレミファソファミレド
これを1セットとして、1回歌うごとに、はじまりの音を半音ずつ上げたり、下げたりしていきます。
なぜ5つの音なの?
ドからソまでの5つの音は、はばがせまく、だれでも歌いやすい音のはんいです。いきなり広いはんいを歌うと、のどに力が入りやすくなりますが、5つの音なら、むりなく声を動かすことができます。
また、少しずつ高さをかえていくことで、低い声から高い声まで、声全体をまんべんなく動かすことができます。
5トーンスケールでできるようになること
5トーンスケールの練習を続けると、つぎのようなことを意識しやすくなります。
- 声の高さが、なめらかにつながる
- 音と音のあいだを、ていねいに移る
- 高くなっても、声の色をかえずに歌う
- 音の高さを、正しくとらえる
もちろん、練習の効果は人によってちがいます。ただ、毎日の発声練習の土台として、多くの教室でとり入れられている練習のひとつです。
5トーンスケールのやり方
準備するもの
- ピアノやキーボード(なければ、スマホの鍵盤アプリでもよい)
- 鏡(口の形や姿勢をたしかめるため)
- 水
ネットには、5トーンスケールの伴奏音源もたくさんあります。音源に合わせて歌うのも、やりやすい方法です。
基本のやり方
- まっすぐ立ち、肩の力をぬく
- 鼻からゆっくり息をすう
- 出しやすい高さの「ド」から、「ドレミファソファミレド」と歌う
- 1回歌いおえたら、息をすって、半音上の音から同じように歌う
- 苦しくなる手前まで、少しずつ上げていく
- こんどは、半音ずつ下げながら、もとの高さまでもどってくる
はじまりの高さは、ふだん話すときの声に近い、らくに出せる高さがおすすめです。
どんな音で歌う?
5トーンスケールは、「ドレミ」と歌うだけでなく、いろいろな音で歌うことができます。
- 「マ」「ナ」:口を大きく動かしやすく、ひびきを感じやすい
- 「ウ」「ル」:口をすぼめるので、やわらかい声になりやすい
- ハミング(んー):のどにやさしく、練習のはじめにぴったり
- くちびるブルブル:息の流れを感じやすい
はじめは、ハミングやくちびるブルブルからはじめて、なれてきたら「マ」や「ナ」にかえていく、という流れがおすすめです。
速さはゆっくりから
はじめは、1音ずつ、ていねいに歌いましょう。音と音のあいだを、なめらかにつなぐことを意識してください。なれてきたら、少し速くして、1息で軽く歌う練習もしてみましょう。
うまくできないときのコツ
高くなると、のどがしまる
高い音に近づくと、のどがきゅっとしまったり、あごが上がったりすることがあります。
- あごを少しひいて、首のうしろを長くするイメージを持つ
- 高い音ほど、「上にのばす」より「前に流す」イメージで歌う
- 苦しいと感じたら、それ以上は上げない
高い音は、毎日少しずつ広がっていくものです。今日出なかった音を、むりに出そうとしなくても、だいじょうぶです。
声がひっくり返る
声が、とちゅうで急にうら声にかわってしまうことがあります。これは、多くの人がけいけんすることなので、心配しなくてだいじょうぶです。
- ひっくり返るあたりの高さで、小さめの声で何回か歌ってみる
- ハミングや「ウ」の音で歌ってみる
- 声を大きくしすぎないようにする
音の高さがずれる
とくに「ファ」や、おりてくるときの「ミ」「レ」で、音の高さがずれやすくなります。ピアノの音をよく聞いてから歌う、1音ずつピアノといっしょに歌う、など、ゆっくりたしかめながら練習してみてください。
高くなると声の色がかわる
低いところではやわらかい声なのに、高くなると、きつい声になってしまうことがあります。高くなっても、低いところと同じ口の形、同じ声の色で歌うことを目指しましょう。録音して聞いてみると、声の色のちがいに気づきやすくなります。
5トーンスケールを、毎日の練習にとり入れる
5分でできる練習の例
- ハミングで5トーンスケール(低めから中くらいの高さまで)
- くちびるブルブルで5トーンスケール
- 「マ」で5トーンスケール(少し高めまで)
- 半音ずつ下げながら、もとの高さにもどる
- 練習している歌を1曲歌う
時間がない日は、1と3だけでもよいと思います。大切なのは、長い時間やることより、毎日少しずつ続けることです。
音のはんいを広げたいとき
5トーンスケールになれてきたら、「ドからドまで」の8つの音を歌う練習に進んでもよいと思います。音のはんいを広げる練習については、こちらの記事にまとめています。歌の音域を広げる方法。高い音・低い音を少しずつのばす練習
子どもと大人、それぞれのコツ
お子様の場合
お子様と練習するときは、「階段をのぼって、おりてこよう」と声をかけると、イメージしやすくなります。手で階段の形を作りながら歌うのも楽しいです。
お子様の声は、まだ育っているとちゅうです。高い声をむりに出させず、らくに出せるはんいで練習してください。お父様・お母様が先に歌って、まねをしてもらう形でもだいじょうぶです。
大人の場合
大人の方は、ひとりで練習すると、つい力が入ったり、高くまで上げすぎたりしがちです。鏡で姿勢をたしかめたり、録音して聞いたりしながら、自分の声のくせを知っていくのがおすすめです。
ひとりでの練習にまよったら、教室で先生に見てもらうのもよい方法です。5トーンスケールのような基本の練習も、先生に聞いてもらうと、自分では気づきにくいところを教えてもらえます。歌の教室さがし
5トーンスケールでよくある質問
何回くらい歌えばいいの?
決まった回数はありません。はじまりの音を半音ずつ上げていき、らくに出せる高さまでいったら、半音ずつ下げてもどってくる、という1往復だけでも、じゅうぶんな練習になります。時間があるときは、音の種類をかえて、2〜3往復してもよいと思います。
ピアノがなくてもできる?
できます。スマホの鍵盤アプリや、5トーンスケールの伴奏音源をつかう方法があります。また、音の高さを正しく合わせることにこだわりすぎず、「自分の声で、のぼっておりる」感じをつかむだけでも、声をならす練習になります。
歌う前と、歌ったあと、どちらにやるの?
5トーンスケールは、歌う前の発声練習としてつかわれることが多いです。歌ったあとに、低めの音でやさしくハミングの5トーンスケールをすると、声を落ちつかせる時間にもなります。
気をつけたいこと
- 大きな声で歌いすぎない
- 苦しくなる高さまで、むりに上げない
- 練習のあいだに、水をのむ
- のどに痛みやかすれを感じたら、その日はお休みする
- 痛みやかすれが何日も続くときは、耳鼻科などのお医者さんに相談する
まとめ
- 5トーンスケールとは、「ドレミファソファミレド」の5つの音をのぼっておりる発声練習
- 1回ごとに、はじまりの音を半音ずつ上げ下げしていく
- ハミングやくちびるブルブルからはじめ、「マ」や「ナ」にかえていくのがおすすめ
- 高くなっても、あごを上げず、声の色をかえないように意識する
- 苦しくなる手前で止めて、毎日少しずつ続ける
- のどの痛みやかすれが続くときは、お医者さんに相談する
5トーンスケールは、シンプルだからこそ、毎日続けやすい発声練習です。練習で声がととのってきたら、その声で歌った歌を、だれかに聞いてもらうのもよい目標になります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、日ごろの練習の成果をたしかめるきっかけにしてみてください。こどもの歌声グランプリ