童謡と唱歌のちがいとは?かんたんにわかる歴史と、歌い方のちがい
「童謡と唱歌って、何がちがうの?」 「童謡とは何か、かんたんに知りたい」
子どものころから親しんできた歌でも、それが童謡なのか、唱歌なのか、あまり考えたことがない方は多いと思います。最近では「童謡・唱歌」とまとめてよばれることも多く、ちがいがわかりにくくなっています。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。童謡のコンクールでは、童謡も唱歌も、どちらも歌われることがよくあります。
この記事では、童謡とは何か、唱歌とはどうちがうのかを、かんたんな歴史といっしょにまとめます。そのうえで、それぞれの歌の歌い方のポイントも紹介します。お子様と歌うときや、曲をえらぶときの参考にしてみてください。
童謡とは?かんたんに言うと
子どものためにつくられた、子どもの心の歌
童謡とは、かんたんに言うと、子どものためにつくられた歌のことです。とくに、大正時代に広がった「子どものための、心のこもった歌をつくろう」という動きの中から、たくさんの童謡が生まれました。
そのころの童謡は、詩人や作曲家が、子どもの気持ちや、身近な自然、季節のうつりかわりなどを、やさしいことばで表したものが多いのが特徴です。
「童謡唱歌」とは?いまは広い意味でつかわれることも
いまでは「童謡」ということばは、もっと広い意味でつかわれています。
- 大正時代から昭和のはじめにつくられた童謡
- 戦後につくられた、子ども向けの歌
- 学校で歌われてきた唱歌
- むかしから歌いつがれてきた、わらべうた
こうした歌をまとめて「童謡」とよぶことも、めずらしくありません。本やCD、コンクールなどでも、「童謡」の中に唱歌がふくまれていることがよくあります。
唱歌とは?童謡とのちがい
学校で歌うためにつくられた歌
唱歌とは、もともと、学校の音楽の時間に歌うためにつくられた歌のことです。明治時代に学校の教育がはじまったころ、子どもたちが歌うための歌が、たくさんつくられました。
とくに、国(当時の文部省)がつくった教科書にのせられた歌は、「文部省唱歌」とよばれています。
童謡と唱歌のちがいを、かんたんに
童謡と唱歌のちがいを、かんたんにまとめると、こうなります。
- 唱歌:学校で歌うことを考えてつくられた歌。明治時代からはじまった
- 童謡:子どもの心を大切にしようという思いからつくられた歌。大正時代に大きく広がった
唱歌には、季節や自然の美しさ、ふるさとを思う気持ちなどを、ととのったことばで歌う歌が多くあります。むかしのことばや、少しかたい言いまわしが出てくることもあります。
一方で童謡は、子どもが話すようなことばや、子どもの目から見た世界を大切にした歌が多いと言われています。
わらべうたとのちがい
もうひとつ、よくにたものに「わらべうた」があります。わらべうたは、だれがつくったかわからないまま、子どもたちの遊びの中で、むかしから歌いつがれてきた歌です。手あそびや、まりつき、なわとびなどの遊びといっしょに歌われてきました。
まとめると、こんなイメージです。
- わらべうた:むかしから遊びの中で歌いつがれてきた歌。つくった人がわからないことが多い
- 唱歌:学校で歌うためにつくられた歌
- 童謡:子どもの心を大切にしてつくられた歌
かんたんにわかる、童謡と唱歌の歴史
明治時代:学校の歌として唱歌が生まれる
明治時代に、学校で音楽を教えるようになると、子どもが歌うための歌が必要になりました。そこで、外国のメロディーに日本語の歌詞をつけた歌や、日本でつくられた歌が、唱歌として教科書にのせられるようになりました。
その後、文部省がつくった教科書にも、たくさんの唱歌がのせられました。「ふるさと」や「春の小川」「もみじ」など、いまも多くの人に親しまれている歌があります。
大正時代:童謡の運動が広がる
大正時代になると、「学校の歌だけでなく、子どもの心にひびく、芸術としての歌をつくろう」という動きが広がりました。
このころ、子どものための雑誌「赤い鳥」が生まれ、詩人や作曲家が、子どものための詩や歌を発表するようになりました。北原白秋や野口雨情、西條八十といった詩人が、たくさんの童謡の詩を書いたことで知られています。
「赤とんぼ」や「七つの子」「シャボン玉」など、いまも歌われている童謡の多くが、このころから昭和のはじめにかけて生まれています。
昭和から今:歌いつがれ、新しい歌も生まれる
戦後になってからも、子ども向けの新しい歌がたくさんつくられ、テレビやラジオなどを通して広がりました。「ぞうさん」のように、戦後に生まれて、長く親しまれている歌もあります。
いまでは、むかしの童謡や唱歌も、新しい子どもの歌も、家庭や保育園・幼稚園、学校、地域の歌の会などで、いっしょに歌われています。
童謡と唱歌、歌い方のちがい
童謡と唱歌は、どちらも「子どもが歌う歌」ですが、つくられた目的がちがうので、歌うときに大切にしたいことも、少しちがいます。もちろん曲によってちがうので、ここでは大まかなポイントとして読んでください。
唱歌を歌うときのポイント
- ことばを、ていねいに、はっきり歌う
- 一つひとつの音を、まっすぐきれいにのばす
- テンポを急がず、落ちついて歌う
- 1番、2番、3番と、季節や場面のうつりかわりを感じて歌う
唱歌は、きちんとしたリズムと、ととのったことばでできている歌が多いので、まじめに、すなおに歌うと、歌のよさが伝わりやすくなります。
むかしのことばが出てくることも多いので、歌う前に意味をしらべておくのがおすすめです。「この歌は、どんな景色を歌っているのかな」と、お子様と話しながら読んでみると、気持ちをこめやすくなります。むかしのことばのしらべ方は、こちらの記事にまとめています。童謡の昔のことばを子どもに伝える。意味のしらべ方と、気持ちのこめ方
童謡を歌うときのポイント
- 話しかけるように、ことばを大切に歌う
- 歌の中の子どもや動物の気持ちを、想像してみる
- やさしい声、明るい声など、場面に合わせて声の色をかえる
- 大きな声で歌いきるより、ことばの意味が伝わることを大切にする
童謡は、子どもの気持ちや、身近なできごとを歌ったものが多いので、まるでお話を語るように歌うと、聞いている人の心にとどきやすくなります。
たとえば、さびしい気持ちが歌われているところでは、少しやわらかい声で歌ってみる。楽しい場面では、表情を明るくして歌ってみる。そんなふうに、ことばに合わせて歌い方を少しかえてみましょう。童謡を上手に歌うコツは、こちらの記事でもくわしく書いています。童謡を上手に歌うコツ。「ことば」を大切にすると歌はかわる
どちらにも共通して大切なこと
- 歌詞をよく読んで、何を歌っているのかを知る
- むりのない高さで歌う
- 大きな声を出しすぎない
- 歌う人自身が、歌を楽しむ
童謡でも唱歌でも、いちばん大切なのは、歌の中のことばや景色を、自分の心で感じて歌うことです。
子どもと歌うときにできること
歌のうまれた時代を話してみる
お子様と童謡や唱歌を歌うとき、「この歌は、ずっとむかしに、学校で歌うためにつくられたんだよ」「この歌は、子どものためにつくられたんだって」と、少し話してあげるだけでも、歌への興味がわいてきます。
歌詞の景色を絵にしてみる
小さなお子様には、歌詞の景色を絵にかいてもらうのも、楽しい方法です。「春の小川って、どんな川かな」「赤とんぼは、どこをとんでいるのかな」と話しながら絵にすると、歌うときに景色を思いうかべやすくなります。
むりに「ちがい」を教えなくてもいい
童謡と唱歌のちがいは、大人でもくわしく知らないことが多いものです。お子様に正しく覚えさせようとしなくても、だいじょうぶです。まずは、いっしょに歌って楽しむことを大切にしてください。
まとめ
- 童謡とは、子どものためにつくられた歌。大正時代に大きく広がった
- 唱歌とは、学校で歌うためにつくられた歌。明治時代からはじまった
- わらべうたは、むかしから遊びの中で歌いつがれてきた歌
- いまは、唱歌やわらべうたもふくめて「童謡」とよぶことが多い
- 唱歌は、ことばをていねいに、落ちついて歌うと、よさが伝わりやすい
- 童謡は、お話を語るように、気持ちを想像して歌うと伝わりやすい
- どちらも、歌詞をよく読んで、むりのない声で楽しむことが大切
童謡や唱歌を歌うのが好きになったら、だれかに聞いてもらう場をつくってみるのも楽しいものです。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られる歌のコンクールです。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由なので、童謡でも唱歌でも応募できます。講評とデジタル賞状がとどくので、お子様の歌のよいところを知るきっかけにもなると思います。こどもの歌声グランプリ