コンコーネ50番とは?声楽の練習曲の使い方と、むりのないすすめ方
「声楽の先生から、コンコーネ50番を用意してくださいと言われた」 「コンコーネって、よく聞くけれど、どんな本なのかな」
声楽を習いはじめると、わりと早いうちに名前を聞くのが「コンコーネ」です。歌の練習曲の本として、長いあいだ、たくさんの教室で使われてきました。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、コンコーネ50番とはどんな本なのか、どうやって練習をすすめていけばよいのかを、はじめての方にもわかるように、やさしくまとめます。お子様が声楽を習っているお父様・お母様にも、大人になってから声楽をはじめた方にも、読んでいただけたらうれしいです。
コンコーネ50番とは?
歌のための「練習曲」の本
コンコーネ50番は、歌の練習のためにつくられた、短い曲が50曲入った本です。ピアノでいうと、ツェルニーやブルグミュラーのような「練習曲」に近い立ち位置だと思うと、わかりやすいかもしれません。
ふつうの歌とちがって、もともとは決まった歌詞がついていません。「ア」などの母音や、「ドレミ」の階名で歌うことが多いです。ことばの意味を考えなくてよいぶん、声の出し方や、なめらかなつなぎ方に気持ちを向けやすくなります。
作曲したのは、ジュゼッペ・コンコーネ
作曲したのは、19世紀のイタリアの作曲家、ジュゼッペ・コンコーネです。作曲家であり、歌の先生でもありました。パリで歌を教えていた時期があり、その中で、生徒のための練習曲をたくさん書きました。
「50番」というのは、50曲入っている本、という意味です。コンコーネには、50番のほかにも、25番や15番、低い声の人むけの40番など、いくつかの練習曲集があります。いちばんよく使われているのが50番なので、「コンコーネ」とだけ言うと、50番のことをさすことが多いです。
ピアノ伴奏がついている
コンコーネ50番の曲には、ピアノの伴奏がついています。伴奏があるので、練習曲といっても、ちゃんと「曲」として歌うことができます。メロディーもきれいなものが多く、「練習なのに、歌っていて楽しい」と感じる方も多い本です。
なぜ声楽のレッスンで使われるの?
声をなめらかにつなぐ練習になる
声楽では、音から音へ、声をとぎれさせずにつないで歌うことを大切にします。これを「レガート」といいます。コンコーネ50番には、なめらかに歌う曲が多く、レガートの練習にとても向いています。
音の跳びや、リズムになれる
曲によって、となりの音へすすむもの、少しはなれた音へ跳ぶもの、細かい音がつづくものなど、いろいろな形が出てきます。1曲ずつ歌っていくうちに、いろいろなメロディーの形になれていきます。
ことばの前に、声をととのえられる
イタリア語やドイツ語の歌を歌うときは、発音や意味も考えなければなりません。はじめのうちは、それだけで手いっぱいになることもあります。コンコーネは、ことばを使わずに歌えるので、まず声そのものに集中できます。
声楽の発声のきほんについては、こちらの記事にまとめています。コンコーネの練習とあわせて読むと、つながりがわかりやすいと思います。声楽の発声のきほん。はじめての人がおさえたいコツと練習
本をえらぶときに知っておきたいこと
声の高さに合わせた本がある
コンコーネ50番は、もともと声の中くらいの高さに合うように書かれた本です。ですが、今では、高い声の人むけ、中くらいの声の人むけ、低い声の人むけなど、高さをかえた本も出ています。
- 高い声の人むけ(ソプラノ・テノールなど)
- 中くらいの声の人むけ
- 低い声の人むけ(アルト・バリトンなど)
どれをえらべばよいかは、自分ではわかりにくいものです。本を買う前に、先生に「どの高さの本がいいですか」と聞いておくと安心です。
先生と同じ本をそろえる
同じコンコーネ50番でも、本によって、のっている解説や、書きこまれた息つぎの印などが少しずつちがいます。レッスンでは、先生と同じ本を使ったほうが、ページや印を合わせやすくなります。先生から指定があるときは、それに合わせましょう。
お子様が使うときは
お子様の場合は、声の高さや、声がわりの時期かどうかによって、合う本がかわることがあります。また、お子様には、まだ練習曲より、童謡や子どもむけの歌をたくさん歌うほうが合う時期もあります。いつごろからコンコーネを使うかは、先生の考え方によってちがいます。
コンコーネ50番のすすめ方
1番から順番に、が多い
コンコーネ50番は、1番から順番にすすめていく先生が多いです。ただし、生徒の声やなやみに合わせて、とばしたり、前の曲にもどったりすることもあります。決まりがあるわけではないので、先生のすすめ方に合わせましょう。
1曲を、いくつかの段階に分けて練習する
1曲をいっきに仕上げようとすると、たいへんです。次のように、何回かに分けて練習するとすすめやすくなります。
- まず、ピアノや音源でメロディーを聞いて、曲のふんいきをつかむ
- 階名(ドレミ)で、ゆっくり歌って、音をたしかめる
- 「ア」などの母音で、なめらかにつないで歌う
- 息つぎの場所を決めて、楽譜に印をつける
- 強弱や、もり上がるところを考えながら歌う
どの順番で練習するかは、先生によってちがいます。階名で歌うか、母音で歌うかも、先生の考え方しだいです。
1曲にかける時間は、人それぞれ
1曲にどのくらい時間をかけるかは、人によってまったくちがいます。何回かのレッスンで次の曲にすすむこともあれば、ひとつの曲をじっくり練習することもあります。早くすすめばよい、というものではありません。
ページをめくる速さより、「前より声がなめらかにつながった」「息つぎが楽になった」など、小さな変化を大切にしてください。
おうちでの練習のコツ
はじめは小さめの声で、ゆっくり
家で練習するときは、いきなり大きな声で歌わず、小さめの声で、ゆっくりはじめましょう。テンポをおとして歌うと、音のつながりや、息の流れをたしかめやすくなります。
伴奏を聞きながら歌う
ピアノを弾ける方は、伴奏や、メロディーだけを弾きながら歌ってみましょう。弾けない方は、先生にお願いして、レッスンで伴奏を録音させてもらうのもひとつの方法です。録音してもよいかは、先に先生に聞いておきましょう。
自分の歌を録音して聞く
自分の歌をスマホで録音して聞くと、歌っているときには気づかなかったことがわかります。
- 音と音のあいだで、声がとぎれていないか
- 息つぎで、メロディーが止まっていないか
- 高い音で、声がかたくなっていないか
はじめは、聞くのが少しはずかしいかもしれません。でも、録音は、自分の歌を知るための大切な道具です。
先生に言われたことを書いておく
レッスンで言われたことは、楽譜にえんぴつで小さく書いておきましょう。「ここで息をすう」「ここはやわらかく」など、短いことばでかまいません。家で練習するときに、その書きこみを見ながら歌うと、レッスンの内容を思い出しやすくなります。
コンコーネを練習するときに気をつけたいこと
音をとることだけにならない
はじめのうちは、正しい音で歌うことで、いっぱいいっぱいになりがちです。でも、コンコーネは、声の出し方やつなぎ方を練習するための本です。音がとれてきたら、「どんな声で歌うか」にも気持ちを向けてみてください。
むりに高い音を出さない
高い音がくるところで、のどに力が入ってしまうことがあります。苦しいときは、むりをせず、その日はそこまでにしましょう。高さが合わないと感じるときは、本の高さがあっているか、先生に相談してみてください。
のどがつかれたら休む
練習のあとに、のどがつかれたと感じたら、声を休めましょう。水をのむ、話す時間を少しへらすなど、のどをいたわってください。痛みやかすれが何日もつづくときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
コンコーネのあとは、どうつながる?
コンコーネ50番で声をととのえながら、イタリア歌曲などの、ことばのある歌に少しずつすすむことが多いです。コンコーネと、ことばのある歌を、同じ時期にならべて練習する先生もいます。
練習曲で身につけた、なめらかな声のつなぎ方は、ことばのある歌を歌うときにも、そのまま生きてきます。コンコーネは、ほかの歌のための「土台」になってくれる本だといえます。
まとめ
- コンコーネ50番は、歌の練習のための短い曲が50曲入った本
- 作曲したのは、19世紀のイタリアの作曲家で歌の先生でもあった、ジュゼッペ・コンコーネ
- 母音や階名で歌うことが多く、声のなめらかなつなぎ方の練習に向いている
- 高い声・中くらいの声・低い声など、高さのちがう本があるので、先生に聞いてからえらぶ
- 1曲を、聞く・階名・母音・息つぎ・表現と、何回かに分けて練習する
- すすむ速さより、小さな変化を大切にする
- のどの痛みやかすれがつづくときは、お医者さんに相談する
コンコーネのような練習曲は、ひとりでもすすめられますが、先生に聞いてもらうと、声のくせや、息のつかい方に気づきやすくなります。声楽を見てもらえる教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし練習してきた歌を、だれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ