シャンソンを歌ってみたい。大人がはじめる、語りかけるような歌い方
「シャンソンの、あのしっとりした歌い方にあこがれる」 「シャンソンを習ってみたいけれど、フランス語ができなくてもだいじょうぶかな」
シャンソンは、大人になってから歌をはじめる方に、ひそかに人気のあるジャンルです。若いころとはちがう、いまの自分だからこそ歌える歌がある。そう感じて、シャンソンに心ひかれる方も多いのではないでしょうか。
わたしは、息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。いろいろな歌を聞いてきて思うのは、歌の上手さは、声の高さや大きさだけでは決まらないということです。シャンソンは、まさに「ことばを伝える力」が大切にされる歌です。
この記事では、シャンソンを歌ってみたい大人の方に向けて、シャンソンの歌い方のコツと、シャンソンを習うときのポイントを、やさしくお話しします。
シャンソンとは、どんな歌?
フランスで生まれた「ことばの歌」
シャンソンは、フランス語で「歌」という意味のことばです。日本では、フランスで生まれて親しまれてきた、大人のための歌をさすことが多いです。
恋や別れ、町のくらし、人生のよろこびやかなしみなど、身近なできごとを、物語のように歌うものがたくさんあります。
メロディーより「ことば」が主役
シャンソンの大きな特ちょうは、ことばがとても大切にされることです。きれいなメロディーを聞かせるというより、歌詞のひとつひとつを、聞いている人に語りかけるように歌います。
そのため、声の高さがとくべつ高くなくても、声量がとくべつ大きくなくても、楽しめるジャンルです。
日本でも長く親しまれてきた
日本でも、シャンソンは長いあいだ親しまれてきました。日本語の歌詞をつけて歌うことも多く、シャンソンを歌う人の集まりや、ライブを聞けるお店もあります。
シャンソンが大人に向いている理由
人生の経験が、そのまま歌の味になる
シャンソンの歌詞には、大人だからこそ気持ちがわかる内容が多くあります。これまでのうれしかったこと、つらかったこと。そうした経験が、歌に深みをあたえてくれます。
声の変化を気にしすぎなくていい
年をとると、高い声が出にくくなったり、声が少しかすれたりすることがあります。シャンソンでは、そうした声も「その人らしさ」として生かせることがあります。むりに若いころの声をめざさなくても、いまの声で楽しめます。
自分に合った高さで歌える
シャンソンは、ひとりで歌うことが多い歌です。伴奏の高さを、自分の声に合わせて変えて歌うことも、よくあります。むりのない高さで歌えるのも、大人にとってうれしいところです。
シャンソンの歌い方のコツ
1. まず、歌詞を「読んで」みる
シャンソンを歌うときは、メロディーをつける前に、歌詞を声に出して読んでみましょう。
- だれが、だれに話しているのか
- どんな場面なのか
- どんな気持ちで話しているのか
こうしたことを考えながら読むと、歌うときにも、ことばに気持ちがのりやすくなります。
2. 話すように、語りかける
シャンソンでは、話し声に近い自然な声で、語りかけるように歌うことが多いです。目の前にいるだれかに、話しかけるイメージで歌ってみましょう。
声楽のように、大きくひびかせる歌い方とは、少しちがいます。でも、声の土台になる息のつかい方や姿勢は同じなので、発声の練習もあわせてしていくと安心です。
3. ことばのはじまりを、ていねいに
ことばをはっきり伝えるには、1つ1つのことばのはじまりを、ていねいに歌うことが大切です。とくに、文のさいしょのことばや、いちばん伝えたいことばは、少しだけ大事におくるイメージで歌ってみましょう。
4. 強い・弱いの変化をつける
シャンソンは、同じ強さで歌いつづけるより、強いところと弱いところの変化をつけることで、物語らしさが出てきます。
- 静かに語るところは、声を小さく、やわらかく
- 気持ちが高まるところは、少し強く
- さいごのことばは、ていねいにおさめる
大きな声を出しつづける必要はありません。むしろ、小さな声で語る部分が、聞く人の心にひびくことも多いです。
5. 「間(ま)」を大切にする
ことばとことばのあいだの、ほんの少しの「間」も、シャンソンでは大切な表現になります。あわてて次のことばに進まず、気持ちをこめて少し待つ。それだけで、歌にゆとりが生まれます。
ただ、伴奏とずれてしまうこともあるので、どこで間をとるかは、先生や伴奏の方と相談しながら決めていくとよいでしょう。
6. 表情や目線も、歌の一部
シャンソンは、お芝居に近いところもあります。顔の表情や目線、手の動きなども、歌といっしょに気持ちを伝えてくれます。ただ、やりすぎると、かえってことばが伝わりにくくなることもあります。はじめは、自然な表情で歌うことを心がけてみてください。
歌に気持ちをこめるコツは、こちらの記事にもまとめています。歌に気持ちをこめるには?歌詞の読みこみ方と、表情・声の色のつけ方
日本語で歌う?フランス語で歌う?
はじめは日本語の歌詞がおすすめ
シャンソンには、日本語の歌詞がついた歌がたくさんあります。はじめのうちは、日本語で歌うと、ことばの意味がそのまま伝わるので、語りかける感じをつかみやすいと思います。
フランス語に挑戦するなら
なれてきたら、フランス語で歌ってみるのもすてきです。フランス語には、日本語にない音がたくさんあるので、はじめは先生に読み方を教えてもらいながら、ゆっくり進めましょう。
- まずは歌詞を、ゆっくり読む練習から
- 意味を日本語でたしかめておく
- 1曲まるごとではなく、1つのフレーズからはじめる
どちらで歌っても、シャンソンを楽しむことにちがいはありません。自分が気持ちよく歌える方をえらんでみてください。
シャンソンを習うには
シャンソンを教えている歌の教室
歌の教室の中には、シャンソンのレッスンをしているところがあります。個人レッスンの形が多く、自分の声に合った高さの楽譜を用意してくれることもあります。
声楽やボーカルの教室で相談する
シャンソンだけのクラスがなくても、声楽やボーカルの教室で「シャンソンを歌いたい」と相談すると、対応してくれる先生もいます。発声のきほんから学べるので、長く歌いたい方にはよいと思います。
教室えらびで見ておきたいこと
- シャンソンを教えた経験がある先生か
- 歌詞の読み方や、表現のしかたまで教えてくれるか
- 自分の声に合った高さで歌わせてくれるか
- 発表会やライブで歌う機会があるか
- 通いやすい場所と時間か
レッスンの回数や費用は、教室によってちがいます。体験レッスンで、先生のふんいきや教え方をたしかめてから決めると安心です。
近くの歌の教室をさがすときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがし
家でできるシャンソンの練習
歌詞を朗読してみる
いちばん手軽な練習は、歌詞を朗読することです。メロディーをつけずに、物語を読むように声に出してみましょう。どこで気持ちが変わるのか、どのことばを大切にしたいのかが、見えてきます。
録音して、ことばが伝わるかを聞く
自分の歌を録音して聞いてみましょう。そのとき、「声がきれいか」よりも、「ことばが聞きとれるか」「気持ちが伝わるか」に耳をむけてみてください。
いろいろなシャンソンを聞く
同じシャンソンでも、歌う人によって、ずいぶんちがって聞こえます。いろいろな歌い方を聞きくらべると、自分はどんなふうに歌いたいのか、少しずつ見えてきます。
のどをいたわる
語りかける歌い方でも、長い時間歌うと、のどはつかれます。水をこまめにのむ、つかれたら休むなど、のどをいたわってください。痛みやかすれが何日も続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- シャンソンは、フランスで生まれた、ことばを大切にする大人の歌
- 人生の経験や、いまの声を生かして楽しめる
- 歌詞を読み、話すように語りかけて歌うのがポイント
- 強い・弱いの変化や「間」で、物語らしさが出る
- はじめは日本語の歌詞からがおすすめ。なれたらフランス語にも挑戦できる
- シャンソンを教える教室のほか、声楽やボーカルの教室で相談する方法もある
シャンソンは、大人になってから、何歳からでもはじめられる歌です。まずは、シャンソンを教えてくれる教室をさがして、体験レッスンに行ってみてください。そして、歌ってきた歌をだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由なので、シャンソンでも出られます。講評とデジタル賞状がとどくので、自分の歌のよいところを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ