練習・発声のコツ

鼻濁音とは?日本の歌をやわらかく歌うコツと、練習のしかた

更新日:2026年11月7日 ・ 書いた人:うみ

「合唱の練習で、『そこは鼻濁音で』と言われたけれど、よくわからなかった」 「童謡を歌うとき、が行の音がかたく聞こえてしまう」

日本の歌を歌っていると、鼻濁音(びだくおん)ということばを耳にすることがあります。でも、ふだんの会話であまり意識しないので、「鼻濁音とは何か」がよくわからない方も多いと思います。

わたしは、息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。日本語の歌では、ことばのひびきがやわらかいだけで、歌ぜんたいの印象がかわることがあります。

この記事では、鼻濁音とは何か、歌のどこでつかうことが多いのか、そして、やわらかく出すためのコツと練習のしかたを、やさしくまとめました。

鼻濁音とは

が行の音を、鼻にぬけるように出す

鼻濁音とは、「が・ぎ・ぐ・げ・ご」の音を、鼻にぬけるように、やわらかく出す発音のことです。

ふつうの「が」は、舌のおくで息を一度止めて、ぱっとはなすように出します。少しかたく、強い音です。いっぽう鼻濁音の「が」は、息を止めずに、鼻のほうへ音をぬきながら出します。「ん」と「が」が、まざったような音です。

本などでは、鼻濁音を「か゜」のように、半濁点(まる)をつけて書くことがあります。

歌で大切にされてきた理由

鼻濁音は、ことばの音をやわらかく、なめらかにしてくれます。そのため、童謡や唱歌、合唱、日本の歌曲などでは、むかしから大切にされてきました。

  • ことばのつながりが、なめらかになる
  • が行の音が、まわりの音から飛び出しにくくなる
  • しずかな曲や、やさしい曲の雰囲気をこわしにくい

アナウンサーの話し方などでも、鼻濁音をつかうことがあります。

つかわない人がいても、まちがいではない

鼻濁音は、地域や世代によって、ふだんの会話でつかう人とつかわない人がいます。「自分は鼻濁音をつかっていなかった」という方も、少なくありません。それは、まちがいでも、はずかしいことでもありません。

歌で鼻濁音をつかうかどうかも、曲や先生、合唱団の考え方によってちがいます。「歌の表現のひとつ」として、知っておくとよい、くらいに考えてみてください。

歌で鼻濁音をつかうところの目安

つかうことが多いところ

  • 単語のとちゅうや、おわりのが行(たとえば「かがみ」「うさぎ」「たまご」「ながい」)
  • 「〜が」の「が」(たとえば「空が青い」「花が咲く」)

助詞の「が」は、歌詞の中にとてもよく出てきます。ここをやわらかくするだけでも、歌のひびきがかわります。

つかわないことが多いところ

  • 単語のはじめのが行(たとえば「がっこう」「ぎんいろ」「ごはん」)
  • 外国から来たことば(たとえば「ギター」「ゲーム」)
  • 数の「五」(たとえば「じゅうご」)
  • 「ぎらぎら」のように、音をくりかえすことば

合わさったことばは、まよいやすい

2つのことばが合わさってできたことばは、あとの部分のはじめが、もとの単語のはじめなので、鼻濁音にしないことがあります。たとえば「こうとう」と「がっこう」が合わさった「こうとうがっこう」の「が」などです。

ただ、ここは人や辞書によって考え方がちがうところもあります。まよったときは、アクセント辞典などでしらべたり、先生にたしかめたりするのがおすすめです。歌詞の中でまよったところには、楽譜にしるしをつけておきましょう。

鼻濁音の出し方のコツ

「ん」をつけてから「が」

いちばんわかりやすいのは、「が」の前に、小さく「ん」をつける方法です。

  • 「ん」とハミングするように声を出す
  • そのまま口をあけて「が」とつなげる
  • 「んが」「んぎ」「んぐ」「んげ」「んご」とゆっくり言う
  • なれてきたら、「ん」を短く、目立たないようにする

さいごは、「ん」が聞こえないくらい自然に、やわらかい「が」になるのが目標です。

鼻に手をあてて、たしかめる

鼻のわきに、軽く指をあてて「が」と言ってみましょう。鼻濁音のときは、鼻のあたりが、ふるえるような感じがします。ふつうの「が」とくらべてみると、ちがいがわかりやすくなります。

舌のおくの動きを感じる

鼻濁音は、舌のおくを、うわあごのおくにそっとつけたまま、音を鼻へぬいてから、はなすように出します。ぐっと強くおしつけるのではなく、軽くふれるくらいのイメージです。

「な行」に近づきすぎない

鼻にかけようとしすぎると、「が」が「な」のように聞こえてしまうことがあります。あくまで「が」の音であることを、わすれないようにしましょう。録音して聞いてみると、たしかめやすくなります。

おうちでできる練習

1 ことばで練習する

まずは、歌わずに、ことばを読んで練習します。

  • かがみ
  • うさぎ
  • たまご
  • みぎ
  • ながれ
  • ひがし

ふつうの「が」と鼻濁音の「が」を、交互に言ってみると、ちがいがよくわかります。

2 短い文で練習する

つぎに、助詞の「が」が入った短い文で練習してみましょう。

  • 空が青い
  • 鳥が鳴く
  • 風が吹く
  • 月がきれい

「が」のところで、声がとぎれずに、なめらかにつながっているかを意識してみてください。

3 メロディーにのせる

ことばでできるようになったら、ゆっくりした音階に「んが・んが・んが」とのせて歌ってみましょう。そのあと、練習している歌の、が行が出てくるところだけを、ゆっくり歌ってみます。

4 歌詞に、しるしをつける

歌詞を見て、鼻濁音にするところに、小さなまるをつけておくと、歌うときにわすれにくくなります。先生に「ここは鼻濁音にする?」とたしかめてから書きこむと安心です。

お子様と練習するときは

小さなお子様には、むずかしいことばで説明するより、「ここは、やさしい『が』で歌ってみようか」と声をかけてみてください。お父様・お母様がやわらかく歌ってみせて、まねっこしてもらうと、自然に身につきやすくなります。できなくても、むりに直す必要はありません。

うまくいかないときのなやみ

どうしても「な」に聞こえてしまう

鼻にぬく音が長すぎると、「な」や「んな」のように聞こえやすくなります。「ん」の時間をできるだけ短くして、すぐに「が」へうつるように意識してみてください。はじめはゆっくり、なれてきたら、ふつうの速さで言ってみましょう。

鼻にかかっているのか、自分ではわからない

自分の声は、自分では聞きとりにくいものです。スマホで録音して、ふつうの「が」と、鼻濁音のつもりの「が」を、ならべて聞いてみてください。ちがいが小さいときは、鼻に指をあてる方法とあわせてためしてみると、わかりやすくなります。それでもわからないときは、レッスンで先生に聞いてもらうのがいちばんです。

速い曲だと、まにあわない

テンポの速い曲では、鼻濁音を意識する時間がみじかくなります。まずはゆっくりのテンポで、が行の出てくるところだけをくりかえし練習しましょう。体がおぼえてくると、速い曲でも自然にできるようになっていきます。むりにすべてを鼻濁音にしようとせず、ゆっくりの曲から少しずつとりいれていくのもよい方法です。

方言やふだんの話し方とちがって、なれない

ふだん鼻濁音をつかわない方にとっては、はじめは少しふしぎな感じがするかもしれません。歌のときだけ、ことばの「よそゆきの服」に着がえるような気持ちで、たのしんでみてください。ふだんの話し方を、むりにかえる必要はありません。

鼻濁音とあわせて意識したいこと

ことばぜんたいを大切に

鼻濁音は、ことばをていねいに歌うための、ひとつの方法です。が行の音だけでなく、歌詞ぜんたいのことばを大切にすると、歌の伝わり方がかわってきます。童謡のことばを大切にする歌い方は、こちらの記事でもしょうかいしています。童謡を上手に歌うコツ。「ことば」を大切にすると歌はかわる

母音と子音のバランス

鼻濁音にばかり気をとられると、ほかの音がおろそかになることもあります。母音をしっかりひびかせ、子音をはっきり伝えることも、あわせて意識してみてください。歌の母音と子音をきれいに。ことばがはっきり伝わる歌い方のコツ

のどに力を入れない

鼻濁音を出そうとして、のどや鼻のまわりに力が入りすぎることがあります。つかれたら休み、むりをしないようにしましょう。声のかすれや痛みがつづくときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。

まとめ

  • 鼻濁音とは、が行の音を、鼻にぬけるようにやわらかく出す発音
  • 単語のとちゅうやおわり、助詞の「が」でつかうことが多い
  • 単語のはじめ、外国から来たことば、数の「五」などでは、つかわないことが多い
  • 地域や世代でつかわない人もいて、まちがいではない。歌の表現のひとつとして知っておく
  • 「んが」から練習し、ことば、短い文、メロディーの順にすすめる
  • まようところは、辞典や先生でたしかめる

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