伴奏者がまちがえたとき。本番で歌う人ができることと、あわてないための準備
「本番で、伴奏の音がとちゅうでとまってしまった」 「伴奏がまちがえて、どこを歌えばいいのか、わからなくなった」
ピアノ伴奏で歌う本番では、こんなことが起きることもあります。伴奏を弾く人も人間ですから、どんなに練習していても、本番でまちがえることはあります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、本番で伴奏者がまちがえたときに、歌う人ができることをまとめました。伴奏ミスが起きたときの考え方、その場での合わせ方、ふだんからできる準備、終わったあとの声のかけ方までお話しします。伴奏者をせめるためではなく、歌う人と伴奏者が、おたがいに安心して本番にのぞむためのヒントとして読んでみてください。
伴奏のミスは、だれにでも起こりうること
伴奏者も、きんちょうしている
本番できんちょうするのは、歌う人だけではありません。伴奏者も、歌う人の息に合わせようと、いっしょうけんめい弾いています。会場のピアノが、ふだんとちがう弾きごこちのこともあります。
- 鍵盤の重さが、練習のピアノとちがう
- 楽譜をめくるときに、手がすべった
- 歌う人のテンポが、練習とかわった
- 照明で、楽譜が見えにくかった
こうしたことが重なると、伴奏がまちがえることもあります。だれのせいということではなく、本番ではいろいろなことが起きる、と考えておきましょう。
歌と伴奏は、ふたりでひとつの音楽
歌と伴奏は、ふたりでいっしょにつくる音楽です。どちらかがまちがえたときは、もう一人がささえる。そのくらいの気持ちでいると、本番の心のゆとりがちがってきます。
ピアノ伴奏者との合わせ方のきほんは、こちらの記事にまとめています。ピアノ伴奏者との合わせ方|はじめての伴奏合わせで気をつけることと、当日までの準備
伴奏がまちがえたとき、まず大切なこと
歌をとめない
伴奏がまちがえても、歌う人は、できるだけ歌をとめないようにしましょう。少しのまちがいなら、歌がそのまま続いていれば、客席の人はほとんど気づかないことも多いです。
歌う人がとまってしまうと、伴奏者は、どこから弾けばいいのかわからなくなってしまいます。歌が続いていることが、伴奏者にとっての道しるべになります。
顔に出さない
伴奏がまちがえた瞬間に、ふり返ったり、おどろいた顔をしたりすると、客席の人にも「何かあったのかな」と伝わってしまいます。
表情は、歌の気持ちのままでいましょう。何もなかったように歌いつづけることが、伴奏者をいちばん助けることになります。
自分の歌をしっかり持つ
伴奏がずれても、自分のテンポと音の高さを、心の中でしっかり持ちつづけましょう。歌う人がゆれずにいると、伴奏者もそこに合わせて、もどってきやすくなります。
よくある伴奏ミスと、歌う人ができること
伴奏の音を少しまちがえたとき
和音や音が少しちがっても、テンポが合っていれば、そのまま歌いつづけてかまいません。歌う人が気にしすぎて声が小さくなったり、音程がゆれたりするほうが、目立ってしまうこともあります。
聞こえてくる音にまどわされず、練習してきた自分の音を信じて歌いましょう。
伴奏がとびこえたり、くり返したりしたとき
伴奏者が楽譜の場所を見うしなって、先にとんだり、同じところをくり返したりすることがあります。こんなときは、次のことを意識してみてください。
- 伴奏が今どこを弾いているか、耳でよく聞く
- 区切りのいいところで、伴奏に合わせて入りなおす
- わからないときは、次の歌いだしまで、少しだけ待つ
むりに歌を合わせようとせず、伴奏が落ちつくのを待ってから、区切りのいい場所で入りなおすほうが、きれいにつながることが多いです。
伴奏がとまってしまったとき
伴奏がとまってしまったときは、歌う人がどうするかで、その後の流れがかわります。
- 短いとまり方なら、そのまま歌いつづけて、伴奏が入ってくるのを待つ
- 長くとまってしまったら、伴奏者のほうを見て、うなずいて合図する
- どうしても合わないときは、区切りのいい場所から、もう一度はじめる
どうするかは、場面によってちがいます。前もって、伴奏者と「とまったときは、ここから入りなおそう」と決めておくと、あわてずにすみます。
テンポが速くなったり、おそくなったりしたとき
伴奏者がきんちょうして、テンポが速くなったり、おそくなったりすることもあります。少しのちがいなら、歌う人が合わせてあげるとよいでしょう。
ただ、歌えないほど速いときは、歌う人がゆったり歌って、伴奏にもとのテンポを思い出してもらう方法もあります。息つぎの場所で、少しだけ間をとるのも、ひとつの合図になります。
あわてないために、ふだんからできる準備
歌詞と音を、伴奏なしでも歌えるようにしておく
伴奏がまちがえても歌いつづけるには、伴奏なしでも、自分の歌を最後まで歌えることが大切です。
- 伴奏なしで、通して歌ってみる
- 歌いだしの音を、自分で思い出せるようにしておく
- 前奏や間奏の長さを、体でおぼえておく
伴奏がなくても歌えると、本番で何が起きても、気持ちのよりどころになります。
入りなおせる場所を決めておく
曲の中で、区切りのいい場所をいくつか決めておきましょう。番の変わり目や、間奏のあと、もり上がりの前などが、入りなおしやすい場所です。
伴奏者と楽譜を見ながら、「もし何かあったら、ここから入ろう」と話し合っておくと、おたがいに安心できます。楽譜に、小さなしるしをつけておくのもよいと思います。
合図を決めておく
本番では、ことばで話すことができません。うなずきや目線など、ふたりの間で通じる合図を決めておくと、何かあったときにも合わせやすくなります。
- 歌いだしの前に、目を合わせる
- うなずいたら、次から入る
- 間をとりたいときは、少し息を吸うしぐさを見せる
リハーサルのときに、合図をためしておくと、本番でも自然にできるようになります。
わざとずれた伴奏で練習してみる
伴奏者にお願いできるなら、練習のときに、わざとテンポをかえたり、とちゅうでとめたりしてもらうのもひとつの方法です。
ずれたときに、どう合わせるかを一度でも経験しておくと、本番であわてにくくなります。ゲームのような気持ちで、楽しく練習してみてください。
自分のまちがいへのそなえも
本番では、伴奏者だけでなく、歌う人がまちがえることもあります。自分がまちがえたときの立て直し方は、こちらの記事にくわしくまとめています。本番で歌詞を忘れた・まちがえたとき。あわてないための準備と、その場での立て直し方
本番が終わったあとの、伴奏者への声のかけ方
まずは「ありがとう」を伝える
本番が終わったら、まちがいがあってもなくても、まずは「ありがとうございました」と伝えましょう。伴奏者は、まちがえたことを、だれよりも気にしていることが多いです。
歌う人から「いっしょに歌えてよかったです」と声をかけてもらえると、伴奏者の気持ちはずいぶん楽になります。
まちがいのことを、責めない
本番のあとに、まちがいのことを強く言ったり、ほかの人の前で話したりするのはさけましょう。おたがいに気持ちよく次の本番をむかえるためにも、まちがいは「いっしょにのりこえたこと」として受けとめるのがよいと思います。
お子様の伴奏者の場合
お子様の伴奏を、先生やほかの方にお願いしているときは、お父様・お母様からも、感謝の気持ちを伝えてください。お子様が伴奏のまちがいを気にしているようなら、「先生も、いっしょうけんめい弾いてくれたね」「最後まで歌えて、すごかったね」と声をかけてあげましょう。
次につなげる話し合いは、落ちついてから
もし次の本番もいっしょにのぞむなら、少し時間をおいて、落ちついてから話し合いましょう。「このあたりは、テンポを確認しておきたいです」「入りなおす場所を、もう一つ決めておきましょう」など、次にどうするかを、前向きに話すとよいと思います。
まとめ
- 伴奏のミスは、だれにでも起こりうること。伴奏者も、きんちょうしている
- 伴奏がまちがえても、歌をとめず、顔に出さず、自分のテンポと音を持ちつづける
- 伴奏がとんだり、とまったりしたら、区切りのいい場所で入りなおす
- ふだんから伴奏なしでも歌えるようにし、入りなおす場所と合図を決めておく
- 終わったら、まずは「ありがとう」。まちがいのことは責めない
歌と伴奏は、ふたりでつくる音楽です。何かあったときにささえ合えると、本番はぐっと心強くなります。伴奏のことも相談できる先生をさがしたいときは、こちらのページもつかってみてください。歌の教室さがしまた、こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られるので、伴奏者といっしょに、なれた場所で落ちついて録画できます。幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、次の本番への自信にもつながると思います。こどもの歌声グランプリ