ピアノ伴奏者との合わせ方|はじめての伴奏合わせで気をつけることと、当日までの準備
「コンクールに出ることになって、ピアノの伴奏の方と合わせることになった。でも、何をすればいいのかわからない」
歌のコンクールや発表会では、ピアノの伴奏の方といっしょに歌うことがあります。ふだんは伴奏音源や、先生のピアノで練習していても、はじめての伴奏者と「合わせ」をするとなると、少しきんちょうしますよね。お子様が出るときは、お父様・お母様が伴奏者とのやりとりをすることも多いと思います。
わたしは息子といっしょに、たくさんの歌のコンクールに出てきました。そのなかで、伴奏の方と気持ちよく合わせられると、歌い手も落ちついて歌えると感じてきました。歌は、歌い手ひとりでつくるものではなく、伴奏の方といっしょにつくるものなのだと思います。
この記事では、コンクールや発表会に出る方に向けて、はじめての伴奏合わせの前にしておきたい準備、合わせの日の流れ、つたえ方のコツ、本番までに気をつけたいことをまとめます。
伴奏合わせってなに?
歌とピアノを、ひとつの音楽にする時間
伴奏合わせ(「合わせ」とも言います)は、歌い手と伴奏者が、いっしょに曲を通してみて、テンポや間(ま)、強弱などをすりあわせる時間です。
一人ひとりが別々に練習してきた歌とピアノを、はじめて重ねる時間でもあります。おたがいに「この曲をこう歌いたい」「ここはこうひきたい」という考えがあるので、それを話しあいながら、ひとつの音楽にしていきます。
伴奏者は「いっしょに歌をつくる人」
伴奏者は、歌い手の声に合わせてくれる人であると同時に、音楽をいっしょにつくる仲間です。「合わせてもらう」というより、「いっしょにつくる」という気持ちでのぞむと、話しあいもしやすくなります。
伴奏の方は、教室の先生が紹介してくれることもあれば、コンクールの主催者が用意していることもあります。どこでどうたのむかは、コンクールや教室によってちがいます。
合わせの前にしておきたい準備
歌は、しっかりおぼえておく
伴奏合わせの日には、歌詞と音程を、ほぼおぼえている状態で行くのが理想です。楽譜を見ながらでないと歌えない状態だと、ピアノの音を聞く余裕がなくなってしまいます。
- 歌詞を見ないで歌える
- 音程やリズムが、ある程度ととのっている
- 息つぎの場所が決まっている
歌詞と曲をおぼえるコツは、こちらの記事にまとめています。子どもが歌詞と曲を早くおぼえるコツ。暗譜がにがてな子も楽しくできる6つの方法
楽譜をそろえておく
伴奏者と同じ楽譜をつかっているかどうかは、とても大切です。同じ曲でも、出版社や編曲によって、調(キー)や前奏の長さ、くりかえしの回数がちがうことがあります。
- 伴奏者に、前もって楽譜をおわたしする
- 調(キー)をかえているときは、そのことをつたえる
- くりかえしやカットがあるところは、楽譜に書いておく
- 楽譜に小節の番号をふっておくと、合わせのときに話しやすい
楽譜をおわたしするときは、できるだけ早めにすると、伴奏者も準備の時間がとれます。
自分の歌い方を、ことばにしておく
合わせの日に「どう歌いたいですか?」と聞かれて、こまってしまうことがあります。先生と相談しながら、前もって次のことを考えておくと安心です。
- テンポは、速め・ゆっくりめのどちらが歌いやすいか
- ゆっくりにしたいところ、間をとりたいところはどこか
- いちばん盛りあげたいところはどこか
- 息つぎで、少し時間がほしいところはどこか
楽譜にえんぴつで、小さく書きこんでおくのもよい方法です。
伴奏音源で練習してきた方は
ふだん伴奏音源で練習している方は、ピアノの生の音とのちがいに、とまどうことがあるかもしれません。音源はいつも同じテンポですが、生のピアノは、歌い手に合わせてゆれてくれます。そのぶん、歌い手も「自分がどう歌いたいか」をもっていることが大切になります。伴奏音源のつかい方は、こちらの記事に書いています。伴奏音源はどうする?歌のコンクールでカラオケが使えない理由と、5つの用意のしかた
合わせの日の流れ
1. あいさつと、さいしょの確認
はじめて会う伴奏者とは、まずあいさつをしてから、つかう楽譜や、くりかえし・カットの確認をします。お子様が歌うときは、お子様自身も「よろしくおねがいします」と言えるとよいですね。
2. まずは1回、通して歌ってみる
はじめは、止まらずに1回通してみることが多いです。こまかいところが気になっても、まずは全体の流れをつかむために、さいごまで歌いきりましょう。
3. 気になるところを、話しあう
通したあとに、気になったところを話しあいます。
- テンポは合っていたか
- 前奏から歌いはじめるところで、とまどわなかったか
- 間をとるところで、ずれなかったか
- 声とピアノの大きさのバランスはどうか
伴奏者から「ここはどうしますか?」と聞かれることもあります。わからないときは、「先生と相談してみます」と答えてもかまいません。
4. 部分ごとに練習して、もう一度通す
話しあったところを、部分ごとにためしてみて、さいごにもう一度通します。合わせの時間はかぎられていることが多いので、とくに大切なところから練習するとよいと思います。
5. 録音や録画をしておく
伴奏者の了解をいただいてから、合わせのようすを録音・録画しておくと、家での練習にとても役立ちます。伴奏といっしょに歌ったときのテンポや間を、何度でもたしかめられるからです。
つたえ方のコツ
歌いはじめの合図を決める
歌い手と伴奏者のあいだで、いちばんずれやすいのが、歌いはじめと、曲のとちゅうで間をとるところです。
- 前奏のおわりで、歌い手が息をすうのを見て、伴奏者が合わせてくれることが多い
- 歌い手は、すう息を少し見せるように意識する
- 間をとるところでは、目で合図をするか、息で合図をするかを決めておく
ステージでは、伴奏者は歌い手のうしろや横にいることが多いので、ずっと顔を見ることはできません。息のすい方や、体のうごきが合図になります。
「もう少しゆっくり」など、具体的に言う
「なんだか歌いにくい」とだけつたえても、伴奏者はどうすればいいかわかりません。
- 「サビの前を、少しゆっくりにしてもらえますか」
- 「〇小節目の息つぎで、少し待ってもらえますか」
- 「さいごの音を、もう少しのばしたいです」
このように、場所とやってほしいことを具体的につたえると、話がすすみやすくなります。楽譜の小節の番号が、ここで役に立ちます。
おたがいの考えを大切に
伴奏者から、「ここはこうしたほうが、歌いやすいかもしれません」と提案をいただくこともあります。経験のある伴奏者の意見は、とても参考になります。いったんためしてみて、どちらがよいかをいっしょに考えてみましょう。
お子様が伴奏合わせをするとき
お父様・お母様の役わり
お子様の場合、楽譜の準備や連絡、日にちの調整などは、お父様・お母様がされることが多いと思います。合わせの当日は、次のことに気をつけるとよいでしょう。
- 合わせの時間におくれないように、早めに着く
- お子様ののどの調子を、前もってととのえておく
- 合わせの最中は、お子様と伴奏者のやりとりを見守る
- 気になったことは、合わせのあとに先生と相談する
合わせのあいだに、お父様・お母様が横からたくさん口を出してしまうと、お子様がとまどってしまうことがあります。見守る気持ちでいてあげてください。
お子様には「ピアノの音をよく聞いてね」
小さなお子様は、自分の歌に一生けんめいで、ピアノの音を聞く余裕がないことがあります。「ピアノさんといっしょに歌おうね」「前奏をよく聞いてから歌いはじめようね」と声をかけてあげると、伴奏を意識しやすくなります。
のどに、むりをさせない
合わせの日は、何度も通して歌うことがあります。とくに本番が近いときは、歌いすぎてのどをいためないよう、こまめに水をのみ、休けいをはさんでください。声のかすれやいたみがつづくときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談しましょう。
本番までに気をつけたいこと
合わせの回数のめやす
合わせの回数は、曲のむずかしさや、伴奏者・コンクールのつごうによってちがいます。本番の前に1回だけのこともあれば、何回か合わせをすることもあります。何回くらいがよいかは、先生や伴奏者と相談して決めるのがよいと思います。
本番の前の日と当日
- 本番の前の日は、合わせの録音を聞きながら、軽く歌って流れを確認する
- 当日は、会場での音出しやリハーサルがあるかを、前もって確認しておく
- 本番の前に、伴奏者と最後の確認(テンポや合図)をする
ステージの上では、きんちょうして、いつもより速く歌ってしまうことがあります。「さいしょの息を、ゆっくりすってから歌いはじめる」と決めておくと、落ちつきやすくなります。本番できんちょうしやすいお子様へのことばかけは、こちらの記事にまとめています。本番で緊張する子へのことば。歌のコンクール前に親ができること
伴奏者への気づかい
伴奏の方は、本番のために時間をかけて準備をしてくださっています。
- 楽譜や日程の連絡は、早めに、ていねいにする
- 合わせや本番のあとには、お礼をつたえる
- お礼の形や、謝礼などについては、先生や主催者に前もって聞いておく
お礼のしかたは、教室やコンクールによって考え方がちがうことがあります。わからないときは、えんりょせずに先生に相談してみてください。
まとめ
- 伴奏合わせは、歌とピアノをひとつの音楽にする時間。伴奏者は「いっしょにつくる人」
- 合わせの前に、歌をおぼえ、楽譜をそろえ、自分の歌い方をことばにしておく
- 合わせの日は、通して歌う、話しあう、部分ごとに練習する、もう一度通す、の流れが多い
- 歌いはじめや間をとるところは、息や目で合図を決めておく
- つたえるときは、場所とやってほしいことを具体的に
- お子様のときは、お父様・お母様は見守り役に。のどにはむりをさせない
- 合わせの回数やお礼のしかたは、先生や主催者に相談する
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