バラードの歌い方のコツ。気持ちが伝わる、しっとりした歌声にするには
「バラードを歌うと、なんだか平らな感じになってしまう」 「しっとり歌いたいのに、声が小さくなるだけで、気持ちが伝わらない」
カラオケや発表会で、バラードをえらぶ方はとても多いと思います。ゆったりしたメロディに、心にしみることば。歌っていて気持ちのよいジャンルですが、いざ人に聞いてもらうと、思ったように伝わらないと感じることもあるかもしれません。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、バラードの歌い方のコツにしぼって、しっとりした声の出し方、ことばの伝え方、曲の中での盛り上げ方などをまとめました。テンポの遅い曲全体の歌い方ではなく、バラードというジャンルならではのポイントをお話しします。
バラードとは?どんな歌のジャンル?
物語や気持ちを、ゆったり伝える歌
バラードは、ゆったりしたテンポで、気持ちや物語をていねいに伝える歌のことを言うことが多いです。恋の歌、家族への思い、別れや旅立ちなど、心の中の大切な気持ちを歌う曲がたくさんあります。
バラードによくある曲の形
ポップスのバラードには、よく見られる流れがあります。
- はじめは、ピアノやギターだけの静かな伴奏で、語るように歌いはじめる
- まん中あたりで、少しずつ音がふえて、気持ちが高まっていく
- サビで、いちばん大きく、思いをはき出すように歌う
- さいごは、また静かにもどって、余韻をのこして終わる
この「静かにはじまり、大きく広がり、静かに終わる」という流れを知っておくと、バラードの歌い方がぐっと考えやすくなります。
バラードらしい、しっとりした声の出し方
息を少しまぜた、やわらかい声
バラードの静かな部分では、息を少しまぜた、やわらかい声がよく合います。話し声よりも少しだけ息を多めにして、ふわっと声を出すイメージです。
ただし、息をまぜすぎると、声がかすれて聞こえにくくなったり、すぐに息が足りなくなったりします。「やさしいけれど、ことばはちゃんと聞こえる」くらいのバランスをさがしてみてください。息の多い声のつかい方は、こちらの記事でもくわしく紹介しています。ウィスパーボイスの出し方。息の多いやさしい声のつかい方と、のどを守る注意
小さな声でも、ささえをなくさない
しっとり歌おうとすると、声といっしょに体の力までぬけてしまうことがあります。声が小さくても、おなかのまわりで息をささえる感じは保っておきましょう。ささえがあると、小さな声でも音程がゆれにくく、遠くまでとどきやすくなります。
口の中を広く、やわらかく
口の中をせまくしたまま小さな声を出すと、こもった声になりやすいです。あくびをするときのように、口の奥を少し広げるイメージを持つと、小さな声でもあたたかいひびきになります。
語りかけるように、ことばを伝える
だれに向けて歌うのかを決める
バラードは、ことばがとても大切なジャンルです。歌いはじめる前に、「この歌は、だれに向けて歌っているのか」を決めておきましょう。目の前にいる大切な人に、そっと話しかけるような気持ちで歌うと、声のトーンが自然にやわらかくなります。
話すように歌うところを決める
バラードの歌い出しは、歌うというより、話すように歌うと気持ちが伝わりやすくなります。ことばのアクセントを、ふだん話すときと同じように意識してみてください。メロディの流れの中でも、ことばが自然に聞こえると、聞いている人の心にすっと入っていきます。
子音をていねいに
小さな声で歌うときほど、子音(しいん)がぼやけやすくなります。子音とは、「か」の「k」や「さ」の「s」のように、母音の前につく音のことです。とくに歌い出しのことばの子音を、やさしく、でもはっきり出すようにすると、ことばが聞きとりやすくなります。
語尾で気持ちをのこす
バラードでは、フレーズの終わりの語尾がとても印象にのこります。ぷつっと切らずに、すっと消えていくように終えると、しっとりした余韻が生まれます。語尾ののばし方や切り方は、こちらの記事でくわしくまとめています。歌の語尾をきれいに。のばし方・切り方・ビブラートとのつなぎ方
曲の中での盛り上げ方
いちばん大きく歌うところを決める
バラードで平らに聞こえてしまう原因のひとつは、どこも同じような強さで歌ってしまうことです。まずは曲全体を見わたして、「ここがいちばんの山場」というところを決めましょう。多くの場合、さいごのサビのあたりになることが多いです。
はじめから全力にしない
山場を決めたら、そこから逆に考えて、はじめのほうはおさえて歌います。歌い出しから大きな声を出してしまうと、サビで盛り上げる余地がなくなってしまいます。「まだ出せるけれど、出さない」くらいの気持ちで、少しずつ高めていきましょう。
声の大きさだけでなく、声の色をかえる
盛り上げるというと、声を大きくすることだけを考えがちです。でも、バラードでは、声の色をかえることも大切です。静かな部分はやわらかく息まじりに、サビではまっすぐ芯のある声に、と声の色をかえていくと、気持ちの高まりが伝わりやすくなります。
さいごは、ふたたび静かに
サビで大きく歌ったあと、さいごのフレーズは、また静かな声にもどることが多いです。大きな声のまま終わるのではなく、気持ちを落ちつけるように歌うと、曲全体にまとまりが生まれます。
マイクをつかって歌うときのコツ
静かな部分は、マイクを少し近づける
カラオケやステージでバラードを歌うときは、マイクのつかい方も大切です。静かな部分では、マイクを口に少し近づけると、小さな声でもやわらかく、はっきりと聞こえます。
大きな声の部分は、少しはなす
サビで大きな声を出すときは、マイクを口から少しはなすと、音がわれにくくなります。声の大きさに合わせて、マイクとの距離をかえることで、聞いている人にとって聞きやすい歌になります。
息の音に気をつける
マイクは、息をすう音もひろいます。バラードは静かな部分が多いので、息つぎの音が目立ちやすいジャンルです。息をすうときは、マイクを少し下げたり、顔の向きを少しかえたりすると、息の音がおさえられます。
バラードでよくあるなやみ
気持ちが入りすぎて、声がふるえる
大切な思いを歌うバラードでは、気持ちが入りすぎて、声がふるえたり、泣きそうになったりすることもあります。そんなときは、ことばの意味を感じつつも、少しだけ外から自分を見るような気持ちで歌ってみてください。歌い手が落ちついているほうが、聞いている人の心にとどくこともあります。
音程があいまいになる
息まじりの声や小さな声で歌うと、音程がぼやけやすくなります。練習のときは、一度ふつうの声ではっきり歌って、音程をたしかめてから、やわらかい声にかえていくと安心です。
曲の長さのわりに、あきられてしまう
バラードは、くりかえしが多い曲もあります。一番と二番で、まったく同じ歌い方をするのではなく、二番では少し強く、少し語るようにと、歌い方に変化をつけると、さいごまで聞いてもらいやすくなります。
お子様がバラードを歌うとき
お子様がバラードを歌うときは、歌詞の意味をいっしょに読んでみてください。むずかしいことばがあれば、お父様・お母様がやさしく説明してあげると、お子様なりに気持ちをこめやすくなります。
大人のような、息の多い声をまねしようとすると、のどに力が入ってしまうことがあります。お子様らしい、すなおでまっすぐな声で歌うバラードにも、たくさんのよさがあります。
のどを守りながら練習する
小さな声で歌うときに、のどをしめてしまうことがあります。のどにつかれを感じたら、練習を休み、水分をとりましょう。痛みやかすれが続くときは、むりをせず、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- バラードは、静かにはじまり、大きく広がり、静かに終わる流れが多い
- 静かな部分は、息を少しまぜたやわらかい声で、ささえはなくさない
- だれに向けて歌うかを決め、話すようにことばを伝える
- 子音をていねいに出し、語尾で余韻をのこす
- 山場を決めて、そこから逆に考えて、はじめはおさえる
- 声の大きさだけでなく、声の色もかえて盛り上げる
- マイクとの距離を、声の大きさに合わせてかえる
- のどにつかれや痛みを感じたら休み、続くときはお医者さんに相談する
バラードは、歌う人の気持ちがそのまま声にあらわれる、すてきなジャンルです。練習してきたバラードをだれかに聞いてもらいたくなったら、こどもの歌声グランプリものぞいてみてください。オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、気持ちがどんなふうに伝わったかを知るきっかけになると思います。こどもの歌声グランプリ