伴奏の音が大きくて声が聞こえにくいとき。歌と伴奏のバランスの整え方
「伴奏の音が大きくて、自分の声がかき消されてしまう」 「録画を見返したら、ピアノばかり聞こえて、歌がほとんど聞こえなかった」
歌の練習や本番で、こんななやみを感じたことはありませんか。伴奏が大きくて声が聞こえないと、歌う人は思わず声を張り上げてしまい、のどに負担がかかることもあります。
わたしは息子といっしょに、たくさんのコンクールに出てきました。
この記事では、歌と伴奏のバランスにしぼってお話しします。伴奏の音が大きく聞こえるわけ、ピアノ伴奏や伴奏音源のときの整え方、会場や録画でのたしかめ方、そして声をむりに大きくしないための考え方をまとめました。お子様の発表会やコンクールの準備をしているお父様・お母様にも、役立てていただけるとうれしいです。
伴奏が大きくて声が聞こえないのは、なぜ起きる?
ピアノは、もともと大きな音が出る楽器
ピアノは、とても大きな音が出せる楽器です。ふたをあけて、しっかり弾くと、会場いっぱいに音がひびきます。いっぽう、人の声は、とくに子どもの声や、歌いはじめたばかりの方の声は、それほど大きくありません。
そのため、ふつうに弾いているつもりでも、歌より伴奏のほうが大きく聞こえてしまうことがあります。
部屋や会場によって、聞こえ方がかわる
同じ伴奏でも、部屋の広さや形、かべやゆかの材料によって、音の聞こえ方はかわります。
- 小さな部屋では、ピアノの音がこもって大きく感じやすい
- かたいかべの部屋では、音がはね返ってひびきやすい
- 広い会場では、声が遠くまでとどきにくいことがある
- カーテンやじゅうたんが多い部屋では、音がすいこまれやすい
練習の部屋ではちょうどよかったのに、本番の会場では伴奏が大きく感じた、ということもめずらしくありません。
歌う人と伴奏者で、聞こえ方がちがう
ピアノのそばにいる伴奏者と、少しはなれて立つ歌う人とでは、聞こえている音がちがいます。さらに、客席の人の聞こえ方も、またちがいます。
歌う人には自分の声が大きく聞こえていても、客席では伴奏にうもれている、ということもあります。だれの耳で聞くかによって、バランスの感じ方がかわることを知っておきましょう。
ピアノ伴奏のときのバランスの整え方
伴奏者に、正直に伝える
伴奏が大きいと感じたら、えんりょせずに伴奏者に伝えましょう。伴奏者も、歌が聞こえるように弾きたいと思っています。言いにくいときは、「わたしの声が小さいので」と、自分のことを主語にして伝えると、角が立ちにくくなります。
- 「このあたりは、声が小さくなるので、少しおさえてもらえると助かります」
- 「客席で聞いてもらったら、歌が聞こえにくかったみたいです」
- 「ここは、ピアノがもり上がるところなので、歌とのバランスをいっしょにたしかめたいです」
具体的な場所を伝えると、伴奏者も弾き方を考えやすくなります。伴奏者との合わせ方のきほんは、こちらの記事でもくわしくまとめています。ピアノ伴奏者との合わせ方|はじめての伴奏合わせで気をつけることと、当日までの準備
場所ごとに、強さを決めておく
歌の中には、声が出しやすい高い音のところもあれば、低くて声がひびきにくいところもあります。伴奏の強さを、曲の場所ごとに決めておくと、バランスが整いやすくなります。
- 低い音で歌うところは、伴奏をひかえめにする
- 歌がやすんでいる前奏や間奏は、伴奏がしっかり弾く
- 歌の大事なことばが出てくるところは、伴奏を少しおさえる
- 最後のもり上がりは、歌と伴奏がいっしょに大きくなる
楽譜に、強さのしるしを書きこんでおくと、本番でも思い出しやすくなります。
ピアノのふたの開け方を相談する
グランドピアノの場合、ふたを大きくあけると、音が遠くまでひびきます。歌の伴奏では、ふたを少しだけあけたり、しめたりして、音の大きさを調整することがあります。
どうするかは、会場や曲、伴奏者の考え方によってちがいます。会場で使えるかどうかもふくめて、伴奏者や先生と相談してみてください。
伴奏音源のときのバランスの整え方
音源の音量を、少しずつためす
伴奏音源で歌うときは、再生する機械の音量で、バランスがかわります。いきなり大きな音にせず、小さめからはじめて、少しずつ上げていきましょう。
自分の声と伴奏が、どちらも気持ちよく聞こえるところをさがすのがポイントです。歌いながら「伴奏の音に負けないように」と声を張り上げているなら、伴奏の音が大きすぎるかもしれません。
スピーカーの位置をかえてみる
スピーカーを歌う人のすぐうしろや、すぐ横に置くと、伴奏が大きく聞こえやすくなります。少しはなれた場所に置いたり、向きをかえたりするだけで、聞こえ方がかわることがあります。
- スピーカーを、歌う人より少し前に置く
- スピーカーの向きを、かべや客席のほうに向ける
- 床にじかに置かず、台の上に置く
部屋のつくりによって合う場所はちがうので、いくつかためしてみてください。
伴奏音源の用意のしかたについては、こちらの記事にまとめています。伴奏音源はどうする?歌のコンクールでカラオケが使えない理由と、5つの用意のしかた
録画で歌うときのバランスの整え方
スマホとの距離を考える
動画で審査を受けるときは、スマホのマイクが、歌と伴奏をどう拾うかが大切です。スマホがピアノやスピーカーのすぐそばにあると、伴奏ばかりが大きく録音されてしまいます。
スマホは、歌う人の前に置き、ピアノやスピーカーからは少しはなすのがおすすめです。何回か場所をかえて録画し、いちばんバランスのよい位置をさがしてみてください。
録画して、必ず聞き返す
その場で聞いている音と、録画された音は、ちがうことがよくあります。録画したら、イヤホンだけでなく、スマホのスピーカーでも聞き返してみましょう。
- 歌詞のことばが聞きとれるか
- 声の小さいところが、伴奏にうもれていないか
- 伴奏が、歌をじゃましていないか
家族に聞いてもらって、「歌がよく聞こえるか」を聞いてみるのもよいと思います。
会場でのたしかめ方
リハーサルで、客席から聞いてもらう
本番の会場でリハーサルができるときは、だれかに客席に座ってもらい、歌と伴奏のバランスを聞いてもらいましょう。前の席と、うしろの席では聞こえ方がちがうので、できれば何か所かで聞いてもらえると安心です。
先生やお父様・お母様に聞いてもらうときは、「どのあたりで、歌が聞こえにくかったか」を具体的に教えてもらうと、なおしやすくなります。
立つ位置をくふうする
歌う人の立つ位置も、バランスに関係します。ピアノのすぐ前に立つと、自分の声が伴奏にかくれてしまうことがあります。
ピアノから少しはなれて、客席に近い位置に立つと、声がとどきやすくなることがあります。会場のルールや、伴奏者との合わせやすさも考えながら、立つ位置をたしかめておきましょう。
声をむりに大きくしないために
張り上げるより、ひびかせる
伴奏が大きいと、声を張り上げたくなります。でも、むりに大きな声を出すと、のどに力が入って、声がかたくなったり、つかれやすくなったりします。
大きな声を出そうとするより、口の中を広くして、声をひびかせる意識を持つと、聞こえやすい声になることが多いです。くわしい声の出し方は、先生に相談してみてください。
ことばをはっきり伝える
声の大きさだけでなく、ことばがはっきりしていると、歌は聞こえやすくなります。子音をていねいに発音したり、ことばのはじめを大切にしたりすると、伴奏の中でも歌詞がとどきやすくなります。
のどに違和感があるときは、休む
声を張り上げる練習が続いて、のどに痛みやかすれが続くときは、むりをせず、声を休めましょう。なかなか治らないときは、耳鼻科などのお医者さんに相談してください。
まとめ
- 伴奏が大きくて声が聞こえないのは、楽器の特ちょうや部屋のひびき、聞く位置のちがいで起きる
- ピアノ伴奏では、伴奏者に具体的な場所を伝え、強さを場所ごとに決めておく
- 伴奏音源では、音量を小さめからためし、スピーカーの位置もくふうする
- 録画では、スマホを伴奏から少しはなし、録画したら必ず聞き返す
- 会場では、客席から聞いてもらい、立つ位置もたしかめる
- 声は張り上げず、ひびきとことばで伝える。のどの痛みが続くときはお医者さんへ
歌と伴奏のバランスが整うと、歌のよさがぐっと伝わりやすくなります。録画で歌を届けるときも、バランスをたしかめる習慣は大きな力になります。こどもの歌声グランプリは、オンラインの動画審査だけで出られて、幼児からシニア(65歳以上)までの8部門があり、ジャンルは自由です。講評とデジタル賞状がとどくので、バランスを整えて録画した歌を、ぜひ聞いてもらってください。こどもの歌声グランプリ